薄い岩波新書である。あとがきを含めて162頁。
〇届いた時はちょっと薄すぎるように思ったが、読み終えてみると、ちょうど良い分量だった。これ以上はちょっときつい感じ。
〇花粉症の歴史本としては、花粉症の科学史と花粉症の文化史が考えられる。題名を見たときは文化史中心の本かと思ったが、中身は科学史が多い。著者は理系の研究者なので、これはやむを得ないか。
〇なお、花粉症はHeufieberと呼ばれ、明治以来「枯草熱」と訳されてきた(サンリオ文庫レム『枯草熱』)が、本書では、「枯草熱」でなく、「干し草熱」という訳語を使っている。
一、概要
〇第1章 花粉礼讃
1は花粉総論、2が花粉発見の科学史、3は日本の花粉史で科学史+宮沢賢治の登場する文化史。
〇第2章 人類、花粉症と出会う
古代の話で、文化史。
〇第3章 ヴィクトリア朝の貴族病?ーイギリスー
完全な科学史。1819年ボストックが、持病である花粉症を「夏カタル」として報告。9年後に28人の患者の治療を報告。干し草熱と同じ病気とした。19世紀後半にブラックレイは自分の体を使って実験して、牧草の花粉が夏カタル(干し草熱)の原因であることを突き止める。
〇第4章 ブタクサの逆襲ーアメリカー
花粉症リゾートやエアコン開発も含む科学史。1866年ワイマンは夏カタルのあとで起きる秋カタルを報告。原因はブタクサ。花粉症は上流階級の病気とされ、花粉症リゾートビジネスが繁栄した。
〇第5章 スギ花粉になることができた日本人
科学史+文化史。1920年代以後の日本の花粉症史。1964年にスギ花粉症報告。
〇第6章 花粉光環の先の世界
略
二、私的結論
〇科学史中心で文化史も加えた、手頃な分量の花粉症の歴史。
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花粉症と人類 (岩波新書 新赤版 1869) 新書 – 2021/2/22
小塩 海平
(著)
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購入オプションとあわせ買い
目はかゆく、鼻水は止まらない。この世に花粉症さえなければ――。毎年憂鬱な春を迎える人も、「謎の風邪」に苦しみつつ原因究明に挑んだ一九世紀の医師たちの涙ぐましい努力や、ネアンデルタール人以来の花粉症との長い歴史を知れば、きっとその見方は変わるだろう。古今東西の記録を博捜し、花粉症を愛をもって描く初めての本。
- 本の長さ162ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2021/2/22
- 寸法10.7 x 0.8 x 17.3 cm
- ISBN-104004318696
- ISBN-13978-4004318699
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2021/2/22)
- 発売日 : 2021/2/22
- 言語 : 日本語
- 新書 : 162ページ
- ISBN-10 : 4004318696
- ISBN-13 : 978-4004318699
- 寸法 : 10.7 x 0.8 x 17.3 cm
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上位レビュー、対象国: 日本
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2021年3月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
花粉症患者にとっては、また辛い季節がやってきた。私は本書の内容紹介文の「ネアンデルタール人以来の花粉症との長い歴史」を見て、花粉症はてっきり現代病だと思っていたのに、私たちホモ・サピエンスと混血したネアンデルタール人にも、花粉症に罹っていたという何らかの証拠・痕跡でもあるのか?花粉症は、ネアンデルタール人にまで遡る古い病気だったのか?とびっくりし、実は、それが私が本書を買おうと思った大きな動機のうちの一つだった。
しかし、『はじめに』を読んでみると、筆者は、「「花粉」は、人類が地上に足跡をとどめるようになるはるか以前、太古の昔から、この世に存在していた先住民なのである」という当たり前のことを言っているだけであり、別に「花粉症」が太古の昔からこの世に存在していたと言っているわけではなかった。実際、『第2章 人類、花粉症と出会う』の『ネアンデルタール人は花粉症だった?』で筆者は、ネアンデルタール人の埋葬遺跡に、死者に手向けられたと思われる花の花粉があり、その中に、鼻炎や気管支喘息に効く成分が含まれるマオウの花粉もあったことから、「(花を愛でた)ネアンデルタール人が、花を愛するあまり、思わず花粉を吸い込んで涙ぐむことも、まったくなかったとは言い切れまい」「(花粉症)対策として…マオウを摂取していたのではないかと想像するのは愉快な思いつきではないだろうか」と言っているだけだった。出版社がよく使う手ではあるが、ほとんど冗談レベルのこんな内容にこんな内容紹介文を付して読者を釣るのは、いい加減やめてほしい。
筆者は第3章では、イギリスの「夏カタル」あるいは「干し草熱」と言われていた花粉症の原因が農地や牧草地が飛躍的に拡大したことによる牧草の花粉であったことやその対策などについて、第4章では、アメリカの「秋カタル」と言われていた花粉症の原因がフロンティア開発によって繁茂した裸地を好む侵入雑草ブタクサであったことやその対策などについて、第5章では、(ここまでが長く、かつ英米より解説が短かったが)日本人の花粉症研究史やスギ花粉症が日本人の国民病となるまでなどについて、最終第6章では、現在日本で進められ、あるいは研究されているという花粉症患者待望のスギ花粉症の根本的対策などについて、それぞれ語っている。
筆者によると、現在日本では、無花粉スギ、少花粉スギの植林事業が進められているのだが、林業従事者の減少によって伐採や植林作業は遅々として進まず、仮に労力的に可能としても数百年を要する大事業となるはずなのだそうだ。また筆者は、林野庁が進めているスギ黒点病菌を利用して雄花を選択的に枯らす研究を、失敗したときにリセットすることができず非常に心配だとし、社会実装が難しそうなのはむしろ幸いだとしている。一方、筆者が研究開発した食品添加物の一種を散布すると、スギの雄花のみを枯死させ、他の生物にもほとんど影響がなく、地下水汚染の懸念もなく、不具合が起こってもリセットできるものの、浜松市のスギ林への全面散布だけでも100億円かかるため、さらに一桁以上のコストダウンを実現すべく研究を続けている段階なのだそうだ。花粉症患者は、当面、マスクや花粉症用メガネを装着して自衛し、それでも我慢できなければ、医者にかかるという生活を続けるしかなさそうだ。
しかし、『はじめに』を読んでみると、筆者は、「「花粉」は、人類が地上に足跡をとどめるようになるはるか以前、太古の昔から、この世に存在していた先住民なのである」という当たり前のことを言っているだけであり、別に「花粉症」が太古の昔からこの世に存在していたと言っているわけではなかった。実際、『第2章 人類、花粉症と出会う』の『ネアンデルタール人は花粉症だった?』で筆者は、ネアンデルタール人の埋葬遺跡に、死者に手向けられたと思われる花の花粉があり、その中に、鼻炎や気管支喘息に効く成分が含まれるマオウの花粉もあったことから、「(花を愛でた)ネアンデルタール人が、花を愛するあまり、思わず花粉を吸い込んで涙ぐむことも、まったくなかったとは言い切れまい」「(花粉症)対策として…マオウを摂取していたのではないかと想像するのは愉快な思いつきではないだろうか」と言っているだけだった。出版社がよく使う手ではあるが、ほとんど冗談レベルのこんな内容にこんな内容紹介文を付して読者を釣るのは、いい加減やめてほしい。
筆者は第3章では、イギリスの「夏カタル」あるいは「干し草熱」と言われていた花粉症の原因が農地や牧草地が飛躍的に拡大したことによる牧草の花粉であったことやその対策などについて、第4章では、アメリカの「秋カタル」と言われていた花粉症の原因がフロンティア開発によって繁茂した裸地を好む侵入雑草ブタクサであったことやその対策などについて、第5章では、(ここまでが長く、かつ英米より解説が短かったが)日本人の花粉症研究史やスギ花粉症が日本人の国民病となるまでなどについて、最終第6章では、現在日本で進められ、あるいは研究されているという花粉症患者待望のスギ花粉症の根本的対策などについて、それぞれ語っている。
筆者によると、現在日本では、無花粉スギ、少花粉スギの植林事業が進められているのだが、林業従事者の減少によって伐採や植林作業は遅々として進まず、仮に労力的に可能としても数百年を要する大事業となるはずなのだそうだ。また筆者は、林野庁が進めているスギ黒点病菌を利用して雄花を選択的に枯らす研究を、失敗したときにリセットすることができず非常に心配だとし、社会実装が難しそうなのはむしろ幸いだとしている。一方、筆者が研究開発した食品添加物の一種を散布すると、スギの雄花のみを枯死させ、他の生物にもほとんど影響がなく、地下水汚染の懸念もなく、不具合が起こってもリセットできるものの、浜松市のスギ林への全面散布だけでも100億円かかるため、さらに一桁以上のコストダウンを実現すべく研究を続けている段階なのだそうだ。花粉症患者は、当面、マスクや花粉症用メガネを装着して自衛し、それでも我慢できなければ、医者にかかるという生活を続けるしかなさそうだ。
2021年5月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書をきっかけとして花粉症に関する本を読み始めたのだが、思いがけず新型コロナウイルス対応の参考になる、感染症の基本的な書籍を知ることができた。
本書の全6章のうち、英国、米国、日本の花粉症の歴史をそれぞれ紹介した3章は興味深い内容であった。ただし、著者ではなく出版社の責任であろうが、「ネアンデルタール人も花粉症? 愛と涙あふれる壮大な文明史的考察」という本書カバー(帯)の宣伝文句は、羊頭狗肉の典型であろう。聖書の記述に関する考察なども不十分に感じた。
本書で内容の一部を批判されているが(P.78)、「名著」と言及されている『文明とアレルギー病 杉花粉症と日本人』(井上栄、1992、講談社)を読んでみた。確かに名著だった。同書カバーの宣伝文句「現代の業病、アレルギーはなぜ拡がったのか? 杉は日本固有の木であり、最も有用な木として、日本人の暮らしに役立ってきた。その杉が現代人を苦しめるようになった理由は何か?」にふさわしい内容だった。(1)杉花粉症とはどんな病気か?、(2)杉の博物学、(3)文明とアレルギー病の順番で、ウイルス学や疫学の研究者の視点から、非専門家にもわかりやすく展開されていた。著者の研究分野ではない杉の文化史的考察も興味深い内容だった。
同じ著者による『感染症 広がり方と防ぎ方』(井上栄、2006、2020増補版、中公新書)でも、一部のコラムで花粉症が紹介されていた。同書も名著であると感じた。日本人の生活習慣、マスクの効用、日本語の発音と感染症との関係などが科学的にわかりやすく説明されていた。新型コロナ感染が拡大した最近になって増補版が出版された理由がよくわかった。
本書の全6章のうち、英国、米国、日本の花粉症の歴史をそれぞれ紹介した3章は興味深い内容であった。ただし、著者ではなく出版社の責任であろうが、「ネアンデルタール人も花粉症? 愛と涙あふれる壮大な文明史的考察」という本書カバー(帯)の宣伝文句は、羊頭狗肉の典型であろう。聖書の記述に関する考察なども不十分に感じた。
本書で内容の一部を批判されているが(P.78)、「名著」と言及されている『文明とアレルギー病 杉花粉症と日本人』(井上栄、1992、講談社)を読んでみた。確かに名著だった。同書カバーの宣伝文句「現代の業病、アレルギーはなぜ拡がったのか? 杉は日本固有の木であり、最も有用な木として、日本人の暮らしに役立ってきた。その杉が現代人を苦しめるようになった理由は何か?」にふさわしい内容だった。(1)杉花粉症とはどんな病気か?、(2)杉の博物学、(3)文明とアレルギー病の順番で、ウイルス学や疫学の研究者の視点から、非専門家にもわかりやすく展開されていた。著者の研究分野ではない杉の文化史的考察も興味深い内容だった。
同じ著者による『感染症 広がり方と防ぎ方』(井上栄、2006、2020増補版、中公新書)でも、一部のコラムで花粉症が紹介されていた。同書も名著であると感じた。日本人の生活習慣、マスクの効用、日本語の発音と感染症との関係などが科学的にわかりやすく説明されていた。新型コロナ感染が拡大した最近になって増補版が出版された理由がよくわかった。
2021年2月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
はっきり言って、現在、花粉症に悩む人には向かない。花粉症の文化史を学んでも、著者の目論むように、花粉に親しんだり、花粉症になるのも悪いことではない、などとは思えないからだ。折角なので、内容で印象深かったところを章ごとに挙げれば、以下の通りである。第1章、花粉認識の歴史。花粉の役割を見出したのは、ドイツのカメラリウスというあまり有名でない学者だが、リンネは花粉という専門用語を作った(スウェーデンでもpollenだったのだろうか?)。第2章、ネアンデルタール人は死者に花を手向けた。中世には薔薇風邪が奇病として知られていた。第3章、19世紀のイギリスでは、夏カタルと呼ばれ、アングロ・サクソン限定の貴族病と思われた。花粉が原因と突きとめたのは、イギリスのブラックレイでありダーウィンに賞賛されたが、エリートの患う神経症と考えた。病原体説もあったが、やがて免疫アレルギー疾患として位置づけられた。(この辺りがちょっと端折ってあるように思う)。第4章、アメリカでは、秋カタルと呼ばれてブタクサが強力な原因だとされ、自然開発に対する報復であった。ブタクサは農薬に対する耐性を獲得し、グローバル化する現代文明に乗って世界に拡散している。第5章、日本では、1980年ごろまで珍病、奇病であった。1986年にスギ花粉症発見者の斎藤洋三は、スギ花粉症を発症したのは日本人だけだと書いた。第6章、スギは日本の秘宝であり、花粉症は自然との共生を示唆してくれる、といった感じ。全体的に古典の引用が多く、それで読ませるようなところがあり、よく調べたものだと思う反面、花粉オタク以外にはどうでもよい細部が多く、論旨にまとまりを欠く傾向もあって、何が言いたいのかわからなくなるところもある。また、中心的なメッセージである「環境や生態系のダメージによって引き起こされた危機に対処するための、極めて適切な身体の防御反応」というあたりは、もっと説明して欲しかった。当レビューアーは、花粉症歴50年、ドイツでは麦の花粉で激しいアレルギーに悩まされ、イギリスでは家の中庭の可愛げのない樹の花にやられた。牧草とブタクサとスギだけに力点が置かれすぎているようにも思う。日本では、なぜ、1980年まで奇病だったのか、もっと説明して欲しかった。当時から、アレルギー性鼻炎だと言われていたので、自分の経験と一致しない。終わりの方の10ページに出てくる著者の研究経歴をもっと書いてもらった方がよかったとも思う。全体的には、新書としては薄く、多少欲求不満が残り、著者の言う通り、花粉症が良くならないばかりか、花粉症が悪くないとも思えなかった。やはり、花粉オタク向きの本かも知れない。
2021年2月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
丁寧な花粉症の歴史、一気に読んでしまわせるだけの内容を含んでいる。花粉症の発来機序、関連細胞、関連物質に
関する記述、その歴史がまったくない点、ここには日本人研究者の貢献も多いが、生物、医学関係者としては残念に思う。
関する記述、その歴史がまったくない点、ここには日本人研究者の貢献も多いが、生物、医学関係者としては残念に思う。
2022年1月6日に日本でレビュー済み
『世界』に連載されたものをまとめたもの。
花粉の植物学的な解説から、花粉症発見の歴史、そして現在のスギ花粉症までを解説する。
なんでもそうだが、花粉症という新種の病態に直面した当時の研究者たちの解釈が突飛でほほえましい。
花粉症の過去の解説が大半を占め、現在のスギ花粉症の解説は最後に少しだけ。
願わくばもう少し詳しく紙数をとってほしかった。
花粉の植物学的な解説から、花粉症発見の歴史、そして現在のスギ花粉症までを解説する。
なんでもそうだが、花粉症という新種の病態に直面した当時の研究者たちの解釈が突飛でほほえましい。
花粉症の過去の解説が大半を占め、現在のスギ花粉症の解説は最後に少しだけ。
願わくばもう少し詳しく紙数をとってほしかった。
2021年10月25日に日本でレビュー済み
この本によれば、日本で花粉症がポピュラーになったのは1980年代とかなり新しい(今となってはそうでもないか!?)。1980年にはまだ20代だった私の認識でも大学あたりまで花粉症という言葉自体あまり聞いたことがない。その後、聞くようになっても「なんか、かっこつけてるんじゃないの、鼻水たらしてるくせに」みたいな反応が一般的だった。それから40年経って、若年層の半数以上が花粉症だというから驚き(推定有病率61.6%)。迫ってくる花粉症の蔓延の波をギリギリ逃れた世代なのだと実感。
世界三大花粉症はイングランドの「牧草花粉症」、アメリカの「ブタクサ花粉症」、そして日本の「スギ花粉症」。原因が花粉という解明にはダーウィンもからんでいた。そしてなぜか文明化と花粉症がリンクしていることから花粉症の国=文明国みたいな優性思想も出現。アメリカでは、花粉が来ない場所に避暑ならぬ避花粉リゾートができた、ブタクサの除草剤の開発と除草剤耐性ブタクサのいたちごっこ・・など花粉症の歴史と文化人類学的考察が丁寧に語られる。それはそれで大変におもしろい。
ただし花粉症の人が、花粉症が良くなるヒントが書かれているのかなと思って読むと、そこはまったく書かれていません。著者は植物学者で、人間を翻弄する花粉の味方かもしれません・・・
世界三大花粉症はイングランドの「牧草花粉症」、アメリカの「ブタクサ花粉症」、そして日本の「スギ花粉症」。原因が花粉という解明にはダーウィンもからんでいた。そしてなぜか文明化と花粉症がリンクしていることから花粉症の国=文明国みたいな優性思想も出現。アメリカでは、花粉が来ない場所に避暑ならぬ避花粉リゾートができた、ブタクサの除草剤の開発と除草剤耐性ブタクサのいたちごっこ・・など花粉症の歴史と文化人類学的考察が丁寧に語られる。それはそれで大変におもしろい。
ただし花粉症の人が、花粉症が良くなるヒントが書かれているのかなと思って読むと、そこはまったく書かれていません。著者は植物学者で、人間を翻弄する花粉の味方かもしれません・・・