内なる偏見と差別が油断をすると出てくる傾向があるので
常に内省をしつつ内なる光を当てて優生思想と対峙する
断固としての決断が必要であると短いリーフレットながら
歴史を鑑みてそのような結論に至るであろう。遍在化して
悪循環に陥るのを防ぐ必要性があろう。

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相模原事件とヘイトクライム (岩波ブックレット) 単行本(ソフトカバー) – 2016/11/3
保坂 展人
(著)
2016年7月に起こった相模原事件は、重度の知的障害者が襲撃され、19名が亡くなるという戦後最悪の被害を出した。怒りと悲しみが渦巻くなかで、加害者の障害者抹殺論を肯定する声も聞かれている。日本社会に蔓延する差別意識が最も残酷な形で現れたのが相模原事件だったのではないか。事件の本質を探り、障害者差別の根を断つ方途を考える。
- 本の長さ64ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2016/11/3
- 寸法14.8 x 0.5 x 21 cm
- ISBN-104002709590
- ISBN-13978-4002709598
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2016/11/3)
- 発売日 : 2016/11/3
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 64ページ
- ISBN-10 : 4002709590
- ISBN-13 : 978-4002709598
- 寸法 : 14.8 x 0.5 x 21 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 456,836位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年8月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
相模原障害者殺害事件について、「『事件そのもの』に触れるのは最小限にして、『事件の波紋』の方(p.7)」を追って急ぎ出版されたブックレット。
事件と、ナチスによる障害者「安楽死」作戦や、優生思想、優生保護法との関連も述べられる。それは、本書のなかで障害当事者が語っている言葉を借りれば、「特異な部分」ではなく「特異さだけでは片付けられない部分(p.22)」について考えることだ。そして、著者が、事件や、事件を生み出した思想や制度に対置して、目指すべき社会への手がかりとするのは国連障害者権利条約と障害者差別解消法である。
「『開けられたパンドラの箱』は、(どちらかというと)本書で言う『特異な部分』に注目していたのだな」と気づく。この事件の全容を知るにはその両方が欠かせないのだろうが、どちらかというと、「特異さだけでは片付けられない部分」にこそ目を向ける必要があるだろうと私は思う。
全体に、著者の「なんとかしないといけない」というひりひりとした切迫感が伝わってくる。
事件と、ナチスによる障害者「安楽死」作戦や、優生思想、優生保護法との関連も述べられる。それは、本書のなかで障害当事者が語っている言葉を借りれば、「特異な部分」ではなく「特異さだけでは片付けられない部分(p.22)」について考えることだ。そして、著者が、事件や、事件を生み出した思想や制度に対置して、目指すべき社会への手がかりとするのは国連障害者権利条約と障害者差別解消法である。
「『開けられたパンドラの箱』は、(どちらかというと)本書で言う『特異な部分』に注目していたのだな」と気づく。この事件の全容を知るにはその両方が欠かせないのだろうが、どちらかというと、「特異さだけでは片付けられない部分」にこそ目を向ける必要があるだろうと私は思う。
全体に、著者の「なんとかしないといけない」というひりひりとした切迫感が伝わってくる。
2018年12月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
戦後最悪の大量殺人事件から、二年が過ぎているが、裁判は未だに開かれていない。
植松被告は、法廷でも逮捕時と同じ主張を繰り広げるだろうから、今後の展開を見守るしかない。
確かに、被告の主張は側から見ると狂った思想であるが、その狂った思想の下、障害者を国家ぐるみで組織的に抹殺した国がヨーロッパにあった。
ナチスドイツである。
ナチスドイツというと、ユダヤ人へのホロコーストが有名であるが、ナチスはそれに先駆けて、障害者を安楽死させたのがT4作戦である。
犠牲者の数は、公式な資料に残されているだけでも70273人にも及び、その後も継続された安楽死政策により、15万人から20万人以上が犠牲になったと推計される。
ナチスは、障害者やユダヤ人だけでなく、同性愛者や売春婦、ナチスの政敵など自分達に都合の悪い人物、若しくは、なりそうな人物達を片っ端ぱしから粛清したのである。
此れを、聞くとナチスが如何に狂った国家だったかと嫌悪感を抱く人も居るかもしれないが優生思想は何もナチスだけの専売特許ではなかった。
何故なら、米英両国、北欧諸国、カナダ、オーストラリア、エストニア、スイスで知的障碍者や精神障碍者などに対して強制不妊や強制断種が行われていたのである。
日本でも、僅か、21年前まで、優生保護法が存在し、多くの人々が子供を産む機会を奪われて裁判を起こしているのだから、欧米諸国の事を非難出来ない。
更に、妊婦の9割が、胎児に障害が見つかったらだ堕胎すると答えているみたいだから、優生思想は形を変えて今も脈々と生きているという事を私達は知っておかなければならない。
植松被告は、法廷でも逮捕時と同じ主張を繰り広げるだろうから、今後の展開を見守るしかない。
確かに、被告の主張は側から見ると狂った思想であるが、その狂った思想の下、障害者を国家ぐるみで組織的に抹殺した国がヨーロッパにあった。
ナチスドイツである。
ナチスドイツというと、ユダヤ人へのホロコーストが有名であるが、ナチスはそれに先駆けて、障害者を安楽死させたのがT4作戦である。
犠牲者の数は、公式な資料に残されているだけでも70273人にも及び、その後も継続された安楽死政策により、15万人から20万人以上が犠牲になったと推計される。
ナチスは、障害者やユダヤ人だけでなく、同性愛者や売春婦、ナチスの政敵など自分達に都合の悪い人物、若しくは、なりそうな人物達を片っ端ぱしから粛清したのである。
此れを、聞くとナチスが如何に狂った国家だったかと嫌悪感を抱く人も居るかもしれないが優生思想は何もナチスだけの専売特許ではなかった。
何故なら、米英両国、北欧諸国、カナダ、オーストラリア、エストニア、スイスで知的障碍者や精神障碍者などに対して強制不妊や強制断種が行われていたのである。
日本でも、僅か、21年前まで、優生保護法が存在し、多くの人々が子供を産む機会を奪われて裁判を起こしているのだから、欧米諸国の事を非難出来ない。
更に、妊婦の9割が、胎児に障害が見つかったらだ堕胎すると答えているみたいだから、優生思想は形を変えて今も脈々と生きているという事を私達は知っておかなければならない。
2020年3月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読むのに1時間もかからないため内容は薄いが自分なりに考えされられることが多々あった。
障害者とはなにか、彼らは生きる意味があるのかなど、おおっぴらには中々話題にできないことを改めて考えるにはいいきっかけになる本だと思う。
障害者とはなにか、彼らは生きる意味があるのかなど、おおっぴらには中々話題にできないことを改めて考えるにはいいきっかけになる本だと思う。
2016年11月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
優生思想の恐ろしさが、前面に語られている。T4 作戦と相模原事件に、共通して根付いているのも優生思想である。
無関心を乗り越え、障がい者を「権利の主体として認識し、差別をなくし、人権を守るために社会的障壁の除去や合理的配慮の措置を取る」ことを社会の隅々まで、徹底することが求められている。
無関心を乗り越え、障がい者を「権利の主体として認識し、差別をなくし、人権を守るために社会的障壁の除去や合理的配慮の措置を取る」ことを社会の隅々まで、徹底することが求められている。
2016年11月16日に日本でレビュー済み
世田谷区長の保坂展人氏が、元施設職員が障害者を無差別に19人も殺したという事件を受けて、
蔓延するヘイトクライムについて、ブログに書いた文章をまとめなおしたのが本書になります。
そもそもブログというツールで急いで書いたものなので、それほど深い内容ではないですが、
行き詰った資本主義が招いている人々の分断に対し、保坂氏がかなりの切迫感を持って書いた事は窺えます。
ここではヘイトクライムの典型例として、ナチスドイツの優生思想が挙げられていて、ユダヤ人の前に、手始めに
障害者をガス室送りにしていた「T4作戦」について詳しく書かれています。
この優生思想というのは、どこから現れたのかということが大事で、実はドイツが第一次世界大戦に敗れ、
敗戦国として大きな負債を抱え、にっちもさっちもいかなくなったそんな状態から生まれています。
つまり自分たちが負け組にされているという一種の劣等感がその源泉となっているというわけです。
ならば今、なぜ日本で例えば中国、韓国にたいするヘイトが蔓延してきたのかと考えると、やはりアジアの中で、
早々と先進国としてトップを走っていた日本が、中韓に追いつかれたからに他なりません。
日本人の悪い意味でのプライドみたいなものがその根っこにはあるわけです。
認めたくない事実を解消するために、ヘイトする人々は、とりわけ弱者に向かいます。
そして今回の相模原事件の場合、植松容疑者は最も身近に接してきた障害者にその矛先は向かったのですが、
これも「障害者なんかを守っているからこの国はダメになる」という思想が大元にはあるのだと思います。
それにしてもヘイトスピーチなども含めて、なぜここまで理性を否定するような酷いことが多発するのかというと、
現政権が基本的にそういう人たちで組閣されているからだと思います。
この植松容疑者が、事件前に衆議院議長に対して出した手紙を見てみると分かるのですが、
障害者を自分が殺す正当性を「ぜひ安倍晋三様にお伝え頂ければと思います」とあり、安倍氏ならば自分の考えに
共感してくれるに違いないという植松容疑者の安倍氏に対するある種の信頼が窺える内容です。
反知性主義とも言われる安倍氏が長期政権を担っていることが、実は在特会にしてもそうですが、
彼らを勢いづけているということは疑いの余地がありません。、
安倍氏のいう「美しい国作り」に共感している人たちは、実は自分たちの没落への不満を、
日本の没落と摩り替えているのですが、安倍氏もまた第一次安倍政権をほっぽり出した後の、
力の源はおそらくそれらと共通する歪んだ思考の摩り替えによって、元気を取り戻したのだという事です。
ヘイトクライムの蔓延の中心にいるのが、日本国内閣総理大臣であるという事が最大の問題なのです。
蔓延するヘイトクライムについて、ブログに書いた文章をまとめなおしたのが本書になります。
そもそもブログというツールで急いで書いたものなので、それほど深い内容ではないですが、
行き詰った資本主義が招いている人々の分断に対し、保坂氏がかなりの切迫感を持って書いた事は窺えます。
ここではヘイトクライムの典型例として、ナチスドイツの優生思想が挙げられていて、ユダヤ人の前に、手始めに
障害者をガス室送りにしていた「T4作戦」について詳しく書かれています。
この優生思想というのは、どこから現れたのかということが大事で、実はドイツが第一次世界大戦に敗れ、
敗戦国として大きな負債を抱え、にっちもさっちもいかなくなったそんな状態から生まれています。
つまり自分たちが負け組にされているという一種の劣等感がその源泉となっているというわけです。
ならば今、なぜ日本で例えば中国、韓国にたいするヘイトが蔓延してきたのかと考えると、やはりアジアの中で、
早々と先進国としてトップを走っていた日本が、中韓に追いつかれたからに他なりません。
日本人の悪い意味でのプライドみたいなものがその根っこにはあるわけです。
認めたくない事実を解消するために、ヘイトする人々は、とりわけ弱者に向かいます。
そして今回の相模原事件の場合、植松容疑者は最も身近に接してきた障害者にその矛先は向かったのですが、
これも「障害者なんかを守っているからこの国はダメになる」という思想が大元にはあるのだと思います。
それにしてもヘイトスピーチなども含めて、なぜここまで理性を否定するような酷いことが多発するのかというと、
現政権が基本的にそういう人たちで組閣されているからだと思います。
この植松容疑者が、事件前に衆議院議長に対して出した手紙を見てみると分かるのですが、
障害者を自分が殺す正当性を「ぜひ安倍晋三様にお伝え頂ければと思います」とあり、安倍氏ならば自分の考えに
共感してくれるに違いないという植松容疑者の安倍氏に対するある種の信頼が窺える内容です。
反知性主義とも言われる安倍氏が長期政権を担っていることが、実は在特会にしてもそうですが、
彼らを勢いづけているということは疑いの余地がありません。、
安倍氏のいう「美しい国作り」に共感している人たちは、実は自分たちの没落への不満を、
日本の没落と摩り替えているのですが、安倍氏もまた第一次安倍政権をほっぽり出した後の、
力の源はおそらくそれらと共通する歪んだ思考の摩り替えによって、元気を取り戻したのだという事です。
ヘイトクライムの蔓延の中心にいるのが、日本国内閣総理大臣であるという事が最大の問題なのです。
2017年2月15日に日本でレビュー済み
60ページの小編(?)で、1時間ほどで読める本ですが...エッセンスが凝縮されていて読み応えがある本です。
障害者をガス室に送った「T4作戦」はナチス主導だとばかり思っていた(思い込んでいた)のですが...
浅学を反省させられながら、戦慄させられる背景があることを知りました。
無抵抗の障碍者を殺すということは二重の意味での「殺人」...1つは、人間の肉体的生命を奪う「生物学
的殺人」。もう一つは、人間の尊厳や生命に意味そのものを、優生思想によって否定する「実存的殺人」...
これはとても重い言葉ですし...なにより、ここでしょう。
2006年12月に国連で採択された障害者権利条約...
(障害者権利条約は、)"Nothing about us without us" [私たちのことを、私たち抜きで決めないで]。
当事者は誰か?
...自分のカウンセリングをふり返ってみると、目が覚めるような強烈な言葉を投げかけられた思いです。
障害者をガス室に送った「T4作戦」はナチス主導だとばかり思っていた(思い込んでいた)のですが...
浅学を反省させられながら、戦慄させられる背景があることを知りました。
無抵抗の障碍者を殺すということは二重の意味での「殺人」...1つは、人間の肉体的生命を奪う「生物学
的殺人」。もう一つは、人間の尊厳や生命に意味そのものを、優生思想によって否定する「実存的殺人」...
これはとても重い言葉ですし...なにより、ここでしょう。
2006年12月に国連で採択された障害者権利条約...
(障害者権利条約は、)"Nothing about us without us" [私たちのことを、私たち抜きで決めないで]。
当事者は誰か?
...自分のカウンセリングをふり返ってみると、目が覚めるような強烈な言葉を投げかけられた思いです。
2016年12月4日に日本でレビュー済み
2016年7月26日深夜、神奈川県相模原市の障害者施設「やまゆり園」で発生した、重度の障害者ばかりが狙われ同日中に19人の死亡が確認され、26人が重軽傷を負った事件は、犠牲者の数が戦後最大に上り、また加害者が障害者抹殺は正義であるかのようなヘイトクライム言動を残したことで衝撃を与えた。
この事件は犯罪防止、福祉政策のあり方をはじめ、われわれが20世紀に災厄を引き起こしてきた思想上の問題に至るまで様々な問題を提起したが、この世田谷区長・保坂展人氏によるブックレットはそれを一過性のものに終わらせず、各自が整理して考えておくために好適なハンドブックであり、ぜひ一読の上手元に置いておいてほしい。
ジャーナリスト出身で犯罪や福祉問題に長く関心を持ってきた保坂氏だけに、事件の第一報から「障害者殺し」という発想そのものがナチスによるユダヤ人大量虐殺の先行事例となった障害者虐殺の優性思想と結びついたものであることを感知、SNSを通じ活発な発信を続けた。この部分は本書の前半の焦点である。
さらにジャーナリスト感覚を活かし「障害当事者」にインタビューした保坂氏は、重度の障害者がひとところに集められていることが「大量殺人」につながったことの異常性をあらためて認識し、わが国の福祉政策のあり方が、そうした人々が地域で生活できるようにしているヨーロッパなどと比べて異常なものであることを思い出す。
障害者にとって、家族との関係はきれいごとばかりではない。インタビューを通じて浮き彫りになるのは、障害者一人一人の人権を考えたときに、われわれの社会がヒトを「稼ぎ手」としてのみ考える新自由主義的な人間観に毒されているのではないかいうことだ。保坂氏も指摘するとおり、わが国も国連障害者権利条約を批准している。事件を踏まえてわれわれがすべきことは障害者の人権の確立であり、お互いの認識を高める教育・啓発活動だ。
保坂氏は現職の地方公共団体の首長として「思いきりの力を出して、『相模原事件とヘイトクライム』を越える障害者福祉の充実と、障害者権利条約や障害者差別禁止法の啓発と普及とを、先人たちに負けずに築いていくべき時期」と述べている(56ページ)。奮闘を期待したい。
保坂展人『相模原事件とヘイトクライム』(2016年11月刊行、岩波ブックレット、520円+税)
この事件は犯罪防止、福祉政策のあり方をはじめ、われわれが20世紀に災厄を引き起こしてきた思想上の問題に至るまで様々な問題を提起したが、この世田谷区長・保坂展人氏によるブックレットはそれを一過性のものに終わらせず、各自が整理して考えておくために好適なハンドブックであり、ぜひ一読の上手元に置いておいてほしい。
ジャーナリスト出身で犯罪や福祉問題に長く関心を持ってきた保坂氏だけに、事件の第一報から「障害者殺し」という発想そのものがナチスによるユダヤ人大量虐殺の先行事例となった障害者虐殺の優性思想と結びついたものであることを感知、SNSを通じ活発な発信を続けた。この部分は本書の前半の焦点である。
さらにジャーナリスト感覚を活かし「障害当事者」にインタビューした保坂氏は、重度の障害者がひとところに集められていることが「大量殺人」につながったことの異常性をあらためて認識し、わが国の福祉政策のあり方が、そうした人々が地域で生活できるようにしているヨーロッパなどと比べて異常なものであることを思い出す。
障害者にとって、家族との関係はきれいごとばかりではない。インタビューを通じて浮き彫りになるのは、障害者一人一人の人権を考えたときに、われわれの社会がヒトを「稼ぎ手」としてのみ考える新自由主義的な人間観に毒されているのではないかいうことだ。保坂氏も指摘するとおり、わが国も国連障害者権利条約を批准している。事件を踏まえてわれわれがすべきことは障害者の人権の確立であり、お互いの認識を高める教育・啓発活動だ。
保坂氏は現職の地方公共団体の首長として「思いきりの力を出して、『相模原事件とヘイトクライム』を越える障害者福祉の充実と、障害者権利条約や障害者差別禁止法の啓発と普及とを、先人たちに負けずに築いていくべき時期」と述べている(56ページ)。奮闘を期待したい。
保坂展人『相模原事件とヘイトクライム』(2016年11月刊行、岩波ブックレット、520円+税)