昭和においては当たり前のように存在した運動部における体罰。
しかし、決して過去の問題ではなく、現在でもたびたび繰り返され問題化している。
この体罰の常態化の原因を運動部の構造的な問題として捉え、この状態がどのように発生してきたかを新聞・雑誌はもとより、部史・学校史、さらには選手たち（古くは中澤不二雄から新しくは鳥谷敬まで。長嶋・王まで登場）の自伝・体験談までを網羅して実証的に検証する。
近代日本の国技とも言える野球の伝来からの歴史を概観しつつ、学生野球が興隆していく中で社会とのかかわりの変化に伴って構造的な変質が生じ、こうしたところから体罰が発生し常態化していく経緯について、多くの実例を踏まえて考察を進めていく手順は読み応えがある。
この問題がどのように解決されていくべきかを考えていくうえで、学生野球憲章や学生野球の行動規範の歴史を長年研究してきた著者の研究は踏まえておくべきもので、まさに必読の一冊といえる。
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