21世紀初頭に実施された「平成の司法改革」に関する初めての総括的研究である。
著者らの多くは司法改革の渦中でその推進に尽力した人たちであり、本書には著者らの意図通りに改革が実現せずに挫折した無念さととともに、改革を総括して新たに前進する展望を示す努力が感じられる。
すなわち、本書は司法改革が「失敗」で従前の制度に戻すべきだと主張しているのではなく、改革のさらなる徹底と前進を求めているのである。
例えば、改革のうちもっとも順調に進んだと言われる裁判員裁判については、刑事裁判に大きな変化をもたらしたと評価される(特に、一般人である裁判員にわかりやすい訴訟運営と審理は法律専門家のみの訴訟慣行を大きく変えたと言える)が、裁判を変えるだけでなく国民の司法参加を強化して国民的基盤を確立していく必要があるとされる。
また、もっとも苦悩している法曹養成制度については、かつての司法試験中心の選抜から法科大学院を中核とする法曹専門教育重視の改革がめざされたが、根強い試験信仰の中で法科大学院の存在意義が疑われるに至っているとし、司法試験教育への傾斜から臨床法学教育重視へ転換する方策を検討する(司法試験予備試験が試験信仰を強めており、司法修習の存在が法曹志願者の時間的経済的負担を増やしていると私は思う。予備試験を廃止してルートを法科大学院に1本化し、司法修習は研修医のようなOJT研修制度に代替するべきである)。
「令和の司法制度改革」として本書が提言するものについては、泉徳治元最高裁判事の論考が示唆的である。掲げられた項目を以下に示す。
1 訴訟法を改正し条約違反を上告理由に加える
2 被疑者取調べ中の弁護人立会権を法律で明記する
3 民事審判委員会を新設する
4 司法試験予備試験を廃止する
5 個人通報制度を導入し国内人権機関を設置する
6 裁判官任命諮問審議会を設置する
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平成司法改革の研究 理論なき改革はいかに挫折したのか 単行本 – 2022/9/27
須網 隆夫
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司法制度改革審議会の最終意見書から20年。法曹人口増、法科大学院、裁判員制度など矢継ぎ早に行われた平成期の司法改革が、いずれもうまく行かなかったのはなぜか。実定法学、基礎法学、政治学等、多彩な分野の研究者やジャーナリスト、実務家が結集。「失敗の原因」を探り、それを踏まえて新たな改革提言を行う。
- 本の長さ398ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2022/9/27
- 寸法2.6 x 14.8 x 21 cm
- ISBN-10400024728X
- ISBN-13978-4000247283
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著者について
須網隆夫(スアミ タカオ)
早稲田大学大学院法務研究科教授.1954年生.EU 法・国際経済法.主な著書にGlobal Constitutionalism from European and East Asian Perspectives(共編著,Cambridge,2018),『EU と新しい国際秩序』(共編,日本評論社,2021年)など.
早稲田大学大学院法務研究科教授.1954年生.EU 法・国際経済法.主な著書にGlobal Constitutionalism from European and East Asian Perspectives(共編著,Cambridge,2018),『EU と新しい国際秩序』(共編,日本評論社,2021年)など.
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2022/9/27)
- 発売日 : 2022/9/27
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 398ページ
- ISBN-10 : 400024728X
- ISBN-13 : 978-4000247283
- 寸法 : 2.6 x 14.8 x 21 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 480,814位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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