「孤塁」とはただ1つ残った助けのない砦を意味する。
東日本大震災では福島県双葉町消防本部125人の消防士たちがその砦となった。
ここで「砦となった」と書いたがそれは結果で、その過程は何の説明も無く、自動的に、なし崩し的に、つまり日本的空気により「砦」にされてしまった。
これは大問題である。本来、地震や火災による被害者の救済等が消防士の職務であることは理解できる。しかし、原発事故や放射能汚染された状態での消防士の活動は基本的には彼等の職務外の行為。
勇気ある消防士たちはそのほとんどが東日本大震災下での活動を当然のように行ったが、これからの原発政策において議論すべきテーマは多い。
「街の消防士さん」の英雄的自己犠牲により成立する日本の原発政策をどう考えるのか。中央の論理ではない、現場の声を伝える貴重なルポルタージュ。
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孤塁 双葉郡消防士たちの3.11 単行本 – 2020/1/31
吉田 千亜
(著)
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われわれは生きて戻れるのか? ――原発が爆発・暴走するなか、地震・津波被害者の救助や避難誘導、さらには原発構内での給水活動や火災対応にもあたった福島県双葉消防本部一二五名の消防士たち。原発事故ゆえ他県消防の応援も得られず、不眠不休で続けられた地元消防の活動と葛藤を、消防士たちが初めて語った。一人ひとりへの丹念な取材にもとづく渾身の記録。
■著者からのメッセージ
2011年3月12日。東京電力福島第一原子力発電所の1号機爆発の映像は、誰もが驚きをもって見守っていたのではないでしょうか。その画面の向こう、爆発現場の数キロ地点で、住民避難誘導、避難広報、そして救助・救急搬送活動を必死に行なっていた消防士たちがいました。
その双葉消防本部のみなさんに初めて会ったのは、2018年10月のこと。そこから1年ほど通い、当時活動をしていた消防士66名から話を聞き、さまざまなことを教えてもらいました。その想像を絶する過酷な活動は、原発事故が「なかったこと」のように語られる現在こそ、知らなければならないと改めて感じています。
これまで、多くの被害者・避難者から、それぞれが抱えさせられた原発事故の被害を聞いてきました。そしていま、それぞれの立場の違いから「被害の語りにくさ」が色濃く広がっています。その一方で、「今、やっと話せる」ということもある。そういった事実を、一人の小さな声を、書き手としても、隣で生きる一人の人としても、大切に受け取りたいと思っています。
原発事故は終わっていない。そして、その事故をどう捉え、どう教訓を得るのかは、この時代に問われていると思います。どうか、この本を読んだみなさまが、ともに考えてくださることを願っています。
■編集部からのメッセージ
これまで全く表に出ていない話ばかりです。
チェルノブイリでも消防士の被ばくが大きな問題でしたが、福島第一原発の地元消防が、地震・津波・原発災害のなか、どのような状況におかれていたのか。丁寧な取材で消防士たちの思いをすくいとった本書の記述に、原稿整理をしながら何度も洟をすすりました。
『世界』連載中も大きな反響がありましたが、著者・吉田千亜さんは単行本化のためにさらに取材を敢行。総勢70名近い消防士のことばが、当時の危機的な状況を立体的に浮かび上がらせます。
地元を愛し、地元に暮らし、人命救助を使命としていた双葉郡の消防士たち。
著者が言うように、彼らが生きていてくれたからこそ聞けた話です。
そして、聞き取り伝えてくれた著者がいてこその本です。
ぜひこの本を、多くの人に読んでいただきますよう、心よりお願いいたします。
■読んでくださった方々の声
○「原発爆発を受けて「遺書」を書く消防士たちの姿が心から離れない。ノンフィクションにもかかわらず、現代文学の切っ先に触れたような衝撃だった。」――盛田隆二さん(小説家)
○「この「生」の翻弄に、いったい誰が責任を取ったのだろう。」――今井照さん(地方自治総合研究所主任研究員)
○「強いられた犠牲を「美談」にせず、忘れないための記録」――清水奈名子さん(宇都宮大学教員)
○「『孤塁』、いわゆるスーパーヒーローものではなく、登場する人たち一人一人が、生身だと感じさせてくれる。」――70代男性
○「『孤塁』は、3・11から10年目にして成し遂げられた、ルポルタージュのひとつの金字塔である。」――金平茂紀さん(ジャーナリスト)
○「事実、なのだ。この声も、涙も。生きて在ることの尊さに、魂が震え、自ずから両手が、祈りの形になりました。」――藤沢周さん(作家)
■目次
プロローグ
1 大震災発生──3月11日
2 暴走する原発──3月12日
3 原発構内へ──3月13日
4 三号機爆発──3月14日
5 「さよなら会議」──3月15日
6 四号機火災──3月16日
7 仕事と家族の間で──3月17日~月末
8 孤塁を守る
エピローグ
あとがき
参考文献
■著者からのメッセージ
2011年3月12日。東京電力福島第一原子力発電所の1号機爆発の映像は、誰もが驚きをもって見守っていたのではないでしょうか。その画面の向こう、爆発現場の数キロ地点で、住民避難誘導、避難広報、そして救助・救急搬送活動を必死に行なっていた消防士たちがいました。
その双葉消防本部のみなさんに初めて会ったのは、2018年10月のこと。そこから1年ほど通い、当時活動をしていた消防士66名から話を聞き、さまざまなことを教えてもらいました。その想像を絶する過酷な活動は、原発事故が「なかったこと」のように語られる現在こそ、知らなければならないと改めて感じています。
これまで、多くの被害者・避難者から、それぞれが抱えさせられた原発事故の被害を聞いてきました。そしていま、それぞれの立場の違いから「被害の語りにくさ」が色濃く広がっています。その一方で、「今、やっと話せる」ということもある。そういった事実を、一人の小さな声を、書き手としても、隣で生きる一人の人としても、大切に受け取りたいと思っています。
原発事故は終わっていない。そして、その事故をどう捉え、どう教訓を得るのかは、この時代に問われていると思います。どうか、この本を読んだみなさまが、ともに考えてくださることを願っています。
■編集部からのメッセージ
これまで全く表に出ていない話ばかりです。
チェルノブイリでも消防士の被ばくが大きな問題でしたが、福島第一原発の地元消防が、地震・津波・原発災害のなか、どのような状況におかれていたのか。丁寧な取材で消防士たちの思いをすくいとった本書の記述に、原稿整理をしながら何度も洟をすすりました。
『世界』連載中も大きな反響がありましたが、著者・吉田千亜さんは単行本化のためにさらに取材を敢行。総勢70名近い消防士のことばが、当時の危機的な状況を立体的に浮かび上がらせます。
地元を愛し、地元に暮らし、人命救助を使命としていた双葉郡の消防士たち。
著者が言うように、彼らが生きていてくれたからこそ聞けた話です。
そして、聞き取り伝えてくれた著者がいてこその本です。
ぜひこの本を、多くの人に読んでいただきますよう、心よりお願いいたします。
■読んでくださった方々の声
○「原発爆発を受けて「遺書」を書く消防士たちの姿が心から離れない。ノンフィクションにもかかわらず、現代文学の切っ先に触れたような衝撃だった。」――盛田隆二さん(小説家)
○「この「生」の翻弄に、いったい誰が責任を取ったのだろう。」――今井照さん(地方自治総合研究所主任研究員)
○「強いられた犠牲を「美談」にせず、忘れないための記録」――清水奈名子さん(宇都宮大学教員)
○「『孤塁』、いわゆるスーパーヒーローものではなく、登場する人たち一人一人が、生身だと感じさせてくれる。」――70代男性
○「『孤塁』は、3・11から10年目にして成し遂げられた、ルポルタージュのひとつの金字塔である。」――金平茂紀さん(ジャーナリスト)
○「事実、なのだ。この声も、涙も。生きて在ることの尊さに、魂が震え、自ずから両手が、祈りの形になりました。」――藤沢周さん(作家)
■目次
プロローグ
1 大震災発生──3月11日
2 暴走する原発──3月12日
3 原発構内へ──3月13日
4 三号機爆発──3月14日
5 「さよなら会議」──3月15日
6 四号機火災──3月16日
7 仕事と家族の間で──3月17日~月末
8 孤塁を守る
エピローグ
あとがき
参考文献
- 本の長さ222ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2020/1/31
- 寸法12.9 x 1.9 x 18.8 cm
- ISBN-104000229699
- ISBN-13978-4000229692
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商品の説明
著者について
吉田千亜(よしだ ちあ) 1977年生まれ。フリーライター。福島第一原発事故後、被害者・避難者の取材、サポートを続ける。著書に『ルポ母子避難』(岩波新書)、『その後の福島──原発事故後を生きる人々』(人文書院)、共著『原発避難白書』(人文書院)など。
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2020/1/31)
- 発売日 : 2020/1/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 222ページ
- ISBN-10 : 4000229699
- ISBN-13 : 978-4000229692
- 寸法 : 12.9 x 1.9 x 18.8 cm
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イメージ付きのレビュー

5 星
原子力災害時の消防士のリアルを記録
本書のあとがきには「私の個人的な思いや感情は排し、証言と事実を書き続けたが、一点だけ、そのルールを横に置いたところがある。」...との記述があるがいやいや、全面に渡り著者の怒りにも似た感情がにじみ出るノンフィクションとなっている。 是非に映画化を望みたい。 全国の防災業務関係者に読んで頂きたい一冊です。
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2023年2月1日に日本でレビュー済み
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2020年11月18日に日本でレビュー済み
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震災後10年になりますが、読みはじめて直ぐに当時の状況が走馬灯の様な思い出され、読み続けるのが辛くなりました。
当時の消防署職員が自分の命をかえりみずに一生懸命対応してくれていたのが良く伝わり、国や東京電力が当時から情報操作をして作業の邪魔をしていた事が良く分かりました。辞めて行った人もいたようですが、皆職務を全うして頑張ってくれていたのが分かりました。実名を出しているのが凄いなと思いました。
当時の消防署職員が自分の命をかえりみずに一生懸命対応してくれていたのが良く伝わり、国や東京電力が当時から情報操作をして作業の邪魔をしていた事が良く分かりました。辞めて行った人もいたようですが、皆職務を全うして頑張ってくれていたのが分かりました。実名を出しているのが凄いなと思いました。
2022年5月4日に日本でレビュー済み
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原発事故での自衛隊や電力会社の動きはニュースでよく目にするものの、地域の消防に注目した報道はこれまでに見たことがありませんでした。この本を読むと、彼らの仕事もやはり私たちが知るべき大切な出来事であったことがわかります。世間の関心の周縁にあった大切な事実を丁寧な取材で掘り起こされた仕事です。素直に尊敬できました。
2020年4月2日に日本でレビュー済み
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2011年3月11日
東北地方を中心に大きな被害をだした東北地方太平洋沖地震。
私を含め多くの人は、報道で流される津波の映像を観て、その被害の大枠は承知していたのかもしれません。
でも報道されることもなく、通信が途絶え、避難命令の出たその町は、緊急援助隊の応援を受けることすらできなかった。
そんな職員わずか125名の小さな消防本部、双葉消防の苦難を後世に伝える数少ない本だと思います。
福島県双葉消防は福島第1原発を管轄する消防本部です。
福島県、東電などと定期訓練は欠かさず行っていて、放射線については他の消防本部の人間よりもはるかに多くの知識を持ち合わせ、有事の際には第一線で対応にあたるべき消防人たちです。
若い隊員が訓練の際、質問を投げかけると「事故はないから大丈夫」と軽くかわされたと書かれています。
当時、東電は『想定外』を口にしていましたが、若い隊員が疑問に思うようなことも想定していなかったのだろうかと、もし想定をしていなかったとしたら、東電は想定外などと口にすべきではなかったと、そんな思いで読み進めていきました。
そしてその日がやってきて、彼らは地震、津波、放射線の恐怖の中、正に不眠不休で見えない敵と戦ってきました。
そもそも原子炉の冷却放水などは消防の任務にはなく、被曝を考えれば、なにより消防力を考えれば、対応不能であったが、彼らはやるしかなかった。
彼らは自らを特攻隊と重ね合わせ、「特攻隊とはこんな気持ちだったのか」と!
原子炉の放水はのちに東京消防庁が国からの命を受け、臨場し衆目を集めることになりましたが、そこに至るまでの彼らの存在はどこからも報じられていませんでした。
最盛期から数日経ち、なんとか仮眠をとることができても、横になると家族の安否や自身の被爆など、様々な不安が頭をよぎり、むしろ活動していた方が不安を抱えなくて済むと感じるほど、精神的にも追い詰められている様は生々しくて熱くこみ上げてくるものを感じました。
彼らの存在を知らなかった訳ではなかったと思います。でもその存在は今日まで知らされることはなく、現実には想像を絶する世界がこの本には記されています。
そんな双葉消防の活動は報道もされず、情報通信も途絶えた彼らの苦悩を当時知るものは殆ど居なかったのではないでしょうか!
そして彼らは自衛隊や東京消防庁などが活躍する報道を目の当たりにしたとき、自分たちの存在がそこにないことに落胆したと、素直な心情が吐露されています。
あれから9年が経ち、当時の職員の半数は離職したようですが、今も彼らは自分たちの街を守り続けています。
彼らは勇敢だったのでしょうか?
逃げ出したかったし恐怖に襲われたりもした。
事実、休暇を取れるようになり、避難している家族のもとを訪れた若い職員は、しばらく戻らなかったことも真実として記されています。
また、避難家族のもとを訪れた際には、被爆に対する差別的な扱いも受けたともありました。
彼らは決して勇猛果敢に放射線災害に立ち向かっていた訳ではなかったと理解しています。
郷土愛とか、使命とか、何が、どんな気持ちが、彼らを動かしたのか。私の軽率な言葉で語ることは彼らに失礼だと思います。
ですからどうか読んでもらいたいと思います。
消防人にとっては、今後の参考資料としての側面もあるやもしれません。
一般の人にとっても普段見かける消防車や救急車の仕事とは全く違う視点で消防を見る機会になると思います。
拙い紹介で双葉消防の皆さんには申し訳ないと思いますが、同じ消防人として感謝と尊敬の念を込めて皆さまにお勧めさせていただきます。
東北地方を中心に大きな被害をだした東北地方太平洋沖地震。
私を含め多くの人は、報道で流される津波の映像を観て、その被害の大枠は承知していたのかもしれません。
でも報道されることもなく、通信が途絶え、避難命令の出たその町は、緊急援助隊の応援を受けることすらできなかった。
そんな職員わずか125名の小さな消防本部、双葉消防の苦難を後世に伝える数少ない本だと思います。
福島県双葉消防は福島第1原発を管轄する消防本部です。
福島県、東電などと定期訓練は欠かさず行っていて、放射線については他の消防本部の人間よりもはるかに多くの知識を持ち合わせ、有事の際には第一線で対応にあたるべき消防人たちです。
若い隊員が訓練の際、質問を投げかけると「事故はないから大丈夫」と軽くかわされたと書かれています。
当時、東電は『想定外』を口にしていましたが、若い隊員が疑問に思うようなことも想定していなかったのだろうかと、もし想定をしていなかったとしたら、東電は想定外などと口にすべきではなかったと、そんな思いで読み進めていきました。
そしてその日がやってきて、彼らは地震、津波、放射線の恐怖の中、正に不眠不休で見えない敵と戦ってきました。
そもそも原子炉の冷却放水などは消防の任務にはなく、被曝を考えれば、なにより消防力を考えれば、対応不能であったが、彼らはやるしかなかった。
彼らは自らを特攻隊と重ね合わせ、「特攻隊とはこんな気持ちだったのか」と!
原子炉の放水はのちに東京消防庁が国からの命を受け、臨場し衆目を集めることになりましたが、そこに至るまでの彼らの存在はどこからも報じられていませんでした。
最盛期から数日経ち、なんとか仮眠をとることができても、横になると家族の安否や自身の被爆など、様々な不安が頭をよぎり、むしろ活動していた方が不安を抱えなくて済むと感じるほど、精神的にも追い詰められている様は生々しくて熱くこみ上げてくるものを感じました。
彼らの存在を知らなかった訳ではなかったと思います。でもその存在は今日まで知らされることはなく、現実には想像を絶する世界がこの本には記されています。
そんな双葉消防の活動は報道もされず、情報通信も途絶えた彼らの苦悩を当時知るものは殆ど居なかったのではないでしょうか!
そして彼らは自衛隊や東京消防庁などが活躍する報道を目の当たりにしたとき、自分たちの存在がそこにないことに落胆したと、素直な心情が吐露されています。
あれから9年が経ち、当時の職員の半数は離職したようですが、今も彼らは自分たちの街を守り続けています。
彼らは勇敢だったのでしょうか?
逃げ出したかったし恐怖に襲われたりもした。
事実、休暇を取れるようになり、避難している家族のもとを訪れた若い職員は、しばらく戻らなかったことも真実として記されています。
また、避難家族のもとを訪れた際には、被爆に対する差別的な扱いも受けたともありました。
彼らは決して勇猛果敢に放射線災害に立ち向かっていた訳ではなかったと理解しています。
郷土愛とか、使命とか、何が、どんな気持ちが、彼らを動かしたのか。私の軽率な言葉で語ることは彼らに失礼だと思います。
ですからどうか読んでもらいたいと思います。
消防人にとっては、今後の参考資料としての側面もあるやもしれません。
一般の人にとっても普段見かける消防車や救急車の仕事とは全く違う視点で消防を見る機会になると思います。
拙い紹介で双葉消防の皆さんには申し訳ないと思いますが、同じ消防人として感謝と尊敬の念を込めて皆さまにお勧めさせていただきます。
2020年3月27日に日本でレビュー済み
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今まで意識しなかった、気づかなかった消防の見えない活躍。
それは熾烈を極めるものだった。
なぜ、彼らはこんなにも苦しめられたのか。
あまりにも酷い。
著者が丁寧に聞き取りまとめた貴重な記録になりうる一冊。
それは熾烈を極めるものだった。
なぜ、彼らはこんなにも苦しめられたのか。
あまりにも酷い。
著者が丁寧に聞き取りまとめた貴重な記録になりうる一冊。
2022年1月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大災害直後の原子力発電事故に対し、消防士諸氏が自らの命を懸け戦った様子が生々しく記されている。
表の苦労よりも裏の苦労は 我々凡人には伝わらないので、改めて彼らの活動には感謝したい
表の苦労よりも裏の苦労は 我々凡人には伝わらないので、改めて彼らの活動には感謝したい
2020年7月31日に日本でレビュー済み
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3.11で事故を起こした福島原発のそばで、危険を顧みずに頑張っていた地元の小さな消防本部の記録。
原発に危険が迫ることを知らされることなく、線量計を持たずに避難区域のなかで救助活動に従事。自衛隊や東京消防庁のハイパーレスキューが原子炉への放水活動で注目されたのに対して、地域の消防は存在すら忘れられ、搬送先の病院では放射能を浴びた汚染物として扱われる始末。爆発した原発の構内で救助活動に向かうとき、もう戻れない覚悟をした隊員は「今まで、ありがとうね」と同僚に呟いたといいます。それは、帰る確証のない特攻に向かう心境だったのかもしれません。
取り上げられなければ埋もれてしまっていた被災地での苦闘を淡々と綴り、地域に生きる人の命が危険に晒されたことの不条理を訴えます。
原発に危険が迫ることを知らされることなく、線量計を持たずに避難区域のなかで救助活動に従事。自衛隊や東京消防庁のハイパーレスキューが原子炉への放水活動で注目されたのに対して、地域の消防は存在すら忘れられ、搬送先の病院では放射能を浴びた汚染物として扱われる始末。爆発した原発の構内で救助活動に向かうとき、もう戻れない覚悟をした隊員は「今まで、ありがとうね」と同僚に呟いたといいます。それは、帰る確証のない特攻に向かう心境だったのかもしれません。
取り上げられなければ埋もれてしまっていた被災地での苦闘を淡々と綴り、地域に生きる人の命が危険に晒されたことの不条理を訴えます。
2020年4月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
補助金は受けていたでしょうが小さな組織、限界があります。
その中でも職員の意識の高さに感銘しました。
報道で取り上げられるものは、消防では東京消防庁また海上保安庁、自衛隊
組織が大きく、予算のある所ばかりです。
それが悪いわけではありません。しかし、過去の災害もすべて現地の消防の対応は評価されず、
前記した組織の高評価ばかりです。
弱小組織であっても消防士の志は同じはずです。
報道も真実を、そして災害現場の組織の努力を評価してほしいものです。
その中でも職員の意識の高さに感銘しました。
報道で取り上げられるものは、消防では東京消防庁また海上保安庁、自衛隊
組織が大きく、予算のある所ばかりです。
それが悪いわけではありません。しかし、過去の災害もすべて現地の消防の対応は評価されず、
前記した組織の高評価ばかりです。
弱小組織であっても消防士の志は同じはずです。
報道も真実を、そして災害現場の組織の努力を評価してほしいものです。