かつてのジュヴナイルを思わせるローティーン向けSFシリーズ、「ボクラノSF」の一冊。このシリーズ、どうやら本書以外は復刊のよう。
この著者の持ち味といえば、常識というか世界を認識する大前提を揺さぶられるディックの作品のようなあの読書経験を、空気系ともいうべき日常の描いた世界のなかで味わわせること。その舞台は、すこし・不思議(すなわちSF)な世界。
少女型アンドロイド(物語ではセルロイドと)にしてイベントコンパニオン、アリスの一人称で語られる物語の舞台は、人が姿を消した泥だらけの世界。アリスは宣伝する商品、亀型ロボット(レプリカメ)の万年一号とともにどろんこの世界を旅し、人の行動をなぞる泥人形のヒトデナシとともに人間の姿を探し求める。
模造亀(レプリカメ)もヒトデナシも泥だらけの世界も、北野作品(『
かめくん
』、カメリ・シリーズ)ではおなじみのモチーフ。ティーン向けのためか、いつもは解説されない作品世界の姿が、登場人物のひとりの口から語られることがかえって新鮮。もっとも、それが全貌でも事実でもないのかもしれないけど。(何せ結末にどんでん返し、すごく地味な)
世の中何が正しいのか判らないけど、前には歩いて行きたい(かつて少年だった)大人たちにお勧め。もちろん少年たちにもおすすめ。前向きな気持ちにさせてくれる一冊。
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どろんころんど (ボクラノSFシリーズ) 単行本 – 2010/8/10
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アンドロイドの少女アリスが長い休止状態からから目覚めると、そこにはどこまでも広がる泥の海があり、あれだけ大勢いたはずのヒトは姿を消していた。アリスの「仕事」は人間相手に商品説明をすること。その「仕事」を全うするため、商品である亀型子守りロボット、万年1号をお供に、消えたヒトを探して、アリスはどろんこの世界を行く。その道中、次々に起こる奇妙なできごとにアリスの優秀な電子頭脳もパンク寸前。果たして二体(ふたり)の旅の行きつく先は?そしてヒトはどこに消えたのか?けったいな、だけどもどこかやさしいヒトと世界についての物語。
- 本の長さ512ページ
- 言語日本語
- 出版社福音館書店
- 発売日2010/8/10
- ISBN-104834025772
- ISBN-13978-4834025774
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商品の説明
出版社からのコメント
ヒトの消えた世界でアリスはヒトをまねして生きる泥人形のような、ヒトデナシに出会います。
ヒトデナシは言います。
「ぼくたちは、ここでヒトのかわりをすることに決めたんです。
もしここに昔あったのと同じ世界ができたら、ヒトも帰ってくるかもしれないじゃないですか」。
ヒトデナシたちが作り上げたニセモノの世界で、アリスは考え続けます。
ホンモノとは何だろう、ニセモノとは何だろう。
アンドロイドの私の心がニセモノなんだとして、そもそもヒトの心ってなんなの?
アリスと万年一号と一緒に不思議な世界を旅しながら、
ヒトっていったいなんなのか、その答えを探してみませんか。
ヒトデナシは言います。
「ぼくたちは、ここでヒトのかわりをすることに決めたんです。
もしここに昔あったのと同じ世界ができたら、ヒトも帰ってくるかもしれないじゃないですか」。
ヒトデナシたちが作り上げたニセモノの世界で、アリスは考え続けます。
ホンモノとは何だろう、ニセモノとは何だろう。
アンドロイドの私の心がニセモノなんだとして、そもそもヒトの心ってなんなの?
アリスと万年一号と一緒に不思議な世界を旅しながら、
ヒトっていったいなんなのか、その答えを探してみませんか。
著者について
北野勇作 著者北野勇作1962年、兵庫県生まれ。甲南大学理学部卒業。在学中は落語研究会に所属していた。卒業後は、会社勤務の傍らSF短編や創作落語の台本などを執筆する。「SFマガジン」誌や、「SFアドベンチャー」誌の「森下一仁のショートノベル塾」などへの投稿を経たのち、92年に『昔、火星のあった場所』で第4回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、作家デビュー。同年、落語台本「天動説」で第1回桂雀三郎新作落語〈やぐら杯〉最優秀賞受賞。2001年、『かめくん』で第22回日本SF大賞を受賞。他に『どーなつ』『空獏』『レイコちゃんと蒲鉾工場』『メイド・ロード・リロード』などの著書がある。
鈴木志保 画鈴木志保青森県生まれ。漫画家。同志社大学文学部卒業。1989年、集英社「ぶ~け」にて『ろっか まい べいびい』でデビュー。その後、同誌に連載した長篇『船を建てる』が好評を博す。99年、映像作品『海洋系ちむちむDEPT』でアーバナート展大賞を受賞。これをもとに、漫画作品『ちむちむ☆パレード』を執筆。2001年からは、NHKの『バケルノ小学校 ヒュードロ組』、同年の北九州博覧会TOTO館などでキャラクターデザインを務める。他に『ヘブン…』『コミック 食堂かたつむり』などの著書がある。
鈴木志保 画鈴木志保青森県生まれ。漫画家。同志社大学文学部卒業。1989年、集英社「ぶ~け」にて『ろっか まい べいびい』でデビュー。その後、同誌に連載した長篇『船を建てる』が好評を博す。99年、映像作品『海洋系ちむちむDEPT』でアーバナート展大賞を受賞。これをもとに、漫画作品『ちむちむ☆パレード』を執筆。2001年からは、NHKの『バケルノ小学校 ヒュードロ組』、同年の北九州博覧会TOTO館などでキャラクターデザインを務める。他に『ヘブン…』『コミック 食堂かたつむり』などの著書がある。
登録情報
- 出版社 : 福音館書店 (2010/8/10)
- 発売日 : 2010/8/10
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 512ページ
- ISBN-10 : 4834025772
- ISBN-13 : 978-4834025774
- Amazon 売れ筋ランキング: - 895,021位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 66,207位絵本・児童書 (本)
- - 230,801位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1962年生まれ
『昔、火星のあった場所』でデビュー。
SFとか書く。
暗闇で朗読をする。
たまに芝居とかする。
著作
『かめくん』『きつねのつき』『カメリ』
『大怪獣記』『人面町四丁目』
『水から水まで』他
カスタマーレビュー
星5つ中4.8つ
5つのうち4.8つ
7グローバルレーティング
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年12月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最近よく名前を聞くことが多い作品なので購入してみました。
ほのぼのした感じですが、ちゃんとSFで哲学的な部分もあって自分としては買ってよかった作品です。
ほのぼのした感じですが、ちゃんとSFで哲学的な部分もあって自分としては買ってよかった作品です。
2011年8月1日に日本でレビュー済み
福音館から出た新シリーズ「ボクラノSF」第一期の作品
5作品がリリースされましたが、4作品は復刻がメインの模様
本著が唯一のオリジナル作品かと
(余談ですが、第二期が出されるのか少し心配です)
少女型、カメ型、泥製、アンドロイドによるロードノベル
終末を迎え変容した世界を描くことの多い著者ですが、
今回は世界が「泥」に覆われています
また、いつものごとく色々なことが曖昧になっていますが、
今回はジュブナイル作品ということもあり、いつもよりはわかりやすいです
鈴木志保氏のイラストが多用され、
文章も一部タイポグラフィー的な配置となっており
視覚的にも楽しい作品です
少女(型アンドロイド)の成長で幕を閉じるのかと思いきや
一捻りを加えたラストも大好きです
著者が良く描く、マシンやプログラムであることのもの悲しい雰囲気も残しつつも
今回は主人公が少女(型アンドロイド)なので、全体的に前向きな感じでした
5作品がリリースされましたが、4作品は復刻がメインの模様
本著が唯一のオリジナル作品かと
(余談ですが、第二期が出されるのか少し心配です)
少女型、カメ型、泥製、アンドロイドによるロードノベル
終末を迎え変容した世界を描くことの多い著者ですが、
今回は世界が「泥」に覆われています
また、いつものごとく色々なことが曖昧になっていますが、
今回はジュブナイル作品ということもあり、いつもよりはわかりやすいです
鈴木志保氏のイラストが多用され、
文章も一部タイポグラフィー的な配置となっており
視覚的にも楽しい作品です
少女(型アンドロイド)の成長で幕を閉じるのかと思いきや
一捻りを加えたラストも大好きです
著者が良く描く、マシンやプログラムであることのもの悲しい雰囲気も残しつつも
今回は主人公が少女(型アンドロイド)なので、全体的に前向きな感じでした
2018年5月27日に日本でレビュー済み
人類不在の世界でのアンドロイドとカメ型ロボットのお話。北野勇作が書く人間がいなくなってしまった世界感と鈴木志保のイラストがマッチ。ヒトデナシたちの動きがよい味を出している。
2011年10月15日に日本でレビュー済み
イラストも文章の融合と装丁がオシャレで可愛い
世界観も好みで、ずっと読んでいたくなる作品でした
ここ最近の北野作品の中ではベスト
楽しませて貰いました
世界観も好みで、ずっと読んでいたくなる作品でした
ここ最近の北野作品の中ではベスト
楽しませて貰いました
2011年1月3日に日本でレビュー済み
一面の泥の海に覆われた世界を、少女型アンドロイドと亀型ボディガードロボと泥人間”ヒトデナシ”の3人
が、消えた人間を捜して旅する物語。
人間はどこに消えたのか?世界はどうして泥の海に覆われたのか?
その理由は衝撃のSFアクションにでも、ホラーにでもできる程、すごく恐ろしいことが起きたはずなのに、
全然衝撃的な文章にはならず、終始泥の海のようにノッタリクッタリとぼけている。
解説調の少々くどい文もその世界観に合ってるような、眠気を誘うような…
そういえば日本って神様が混沌の海をかき混ぜた矛の先からのしたたりでできたのではなかったかしら?
この奇妙な物語に不思議な懐かしさと切なさを感じるのは、神話に通じる世界観のため?
それとも無意識の世界(夢の中)で見た風景が広がるような既視感のためかもしれない。
目の前のリアルが現実か否か?現実とは何か?
この古典的にして現代的な問いかけの解答はあると言えばあるし、無いと言えばないような。
(以下ネタばれ)
さらにすべてが分解し解け合うことで自己と他者の区別もなくなり、よって戦争も成り
立たず究極の平和が訪れるという発想には脳みそを糠味噌のごとくかき回された気分!
編集デザインがとても凝っていて、文字がイラストの一部を担っている遊び心あふれた1冊。
読み終えて福音館という児童書の出版社から出ていることに気づいた。
図書館だと児童室にあるのだろうか?この諧謔は大人にこそお勧めですが。
が、消えた人間を捜して旅する物語。
人間はどこに消えたのか?世界はどうして泥の海に覆われたのか?
その理由は衝撃のSFアクションにでも、ホラーにでもできる程、すごく恐ろしいことが起きたはずなのに、
全然衝撃的な文章にはならず、終始泥の海のようにノッタリクッタリとぼけている。
解説調の少々くどい文もその世界観に合ってるような、眠気を誘うような…
そういえば日本って神様が混沌の海をかき混ぜた矛の先からのしたたりでできたのではなかったかしら?
この奇妙な物語に不思議な懐かしさと切なさを感じるのは、神話に通じる世界観のため?
それとも無意識の世界(夢の中)で見た風景が広がるような既視感のためかもしれない。
目の前のリアルが現実か否か?現実とは何か?
この古典的にして現代的な問いかけの解答はあると言えばあるし、無いと言えばないような。
(以下ネタばれ)
さらにすべてが分解し解け合うことで自己と他者の区別もなくなり、よって戦争も成り
立たず究極の平和が訪れるという発想には脳みそを糠味噌のごとくかき回された気分!
編集デザインがとても凝っていて、文字がイラストの一部を担っている遊び心あふれた1冊。
読み終えて福音館という児童書の出版社から出ていることに気づいた。
図書館だと児童室にあるのだろうか?この諧謔は大人にこそお勧めですが。