初めはComics版から読み始めましたが、途中から小説版に乗り換えました。
息をするように他者に手を差し伸べずにはいられないけれど、誰のことも平等に心から締め出していた黄玲琳が、朱慧月だけは心の内側に入れ、彼女の言葉だけには酷く傷つけられるようになる。
初めのうちは、助けてもらえて、自分のために単純に有り難かったのが、いつの間にか相手を心配するようになっている朱慧月。二人がお互いに目を向け始めた心の変化がとても興味深いです。
今回は特に慧月の気持ちを考えると、思わず涙が出てくる場面が多々ありました。
ネタバレ注意↓
いつも黄玲琳に助けられて、ありがたく思う気持ちと、助けが無ければ何もできない自分が歯がゆくて、自分のために玲琳が傷つくところなどもう見たくはないのに、いつも無理をさせてしまう。自分を責める気持ちが人一倍強い彼女だからこそ、「あなたが私を惨めにさせている」という言葉は心からの叫びだったけれど、その言葉がさらに相手への攻撃となってしまう。一番嫌いなのは自分。一番憎いのは自分。
そんな風に「自分」の方に意識が向かう彼女を「自分本位」と取ることも出来るけれど、その根本は玲琳にもう傷ついて欲しくないという優しさから出ているのだということを、いつか彼女が自分で気づける日が来るといいな、と思います。
何が出来るから、優れているから、ではなくて、自分の中の優しさに気づけたら、きっとほかの誰に好かれなくとも、自分のことが好きになれると思うから。
慧月が涙をこぼしながら
「だから、さっさとーーー『助けて』って言いなさいよ！」
と井戸の淵から手を伸ばす場面がとても印象的でした。
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