● 読み応えのあるのは室町幕府の構造を論じた第一章
● 義昭は信長の傀儡でない、という著者の主張の論拠となるのは、「将軍やそれに直属する武士たちの運営する幕府(=狭義の幕府)」が「京都やその周辺地域の裁判機関の一つとして一定の役割を果たしつづけた」こと(p38)。
● 幕府権力の実体として挙げられるのは以下の三点(財政・徴税には言及がない)
[軍事] 奉公衆を中核とした、千〜二千程度の直属軍、信長軍が応援
[洛中警察] 洛中の警護は幕府の政所が担当、信長勢が補完
[裁判] 幕府奉公人奉書の施行
● 義昭登場以前の幕府の分裂について次の記載がある。1493年の「明応の政変」で十一代将軍の義澄系と十代(前将軍)の義稙系に分裂した。征夷大将軍の官途は常に義澄系にあったが、義稙系の義維も「堺ノ室町殿」「堺之公方」「堺之御所」などと呼ばれ、世人は「江州御所」「朽木御所」などと呼ばれた十二代将軍義晴とほぼ同列(「天下将軍御二人に候」(祇園社執行)と扱いさえしていた。
[今後の課題] 十三代将軍義輝 (1546-65) の時代とそれに続く義昭将軍宣下(1568年)までの三年間、都合20年間の室町政権をどう考えるか。
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戦国時代の足利将軍 (歴史文化ライブラリー 323) 単行本 – 2011/6/20
山田 康弘
(著)
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戦国時代の100年間、なぜ将軍は滅亡しなかったのか。各地の大名は将軍をどう見ていたのか。知られざる将軍・幕府の実態を解明。
- 本の長さ205ページ
- 言語日本語
- 出版社吉川弘文館
- 発売日2011/6/20
- ISBN-104642057234
- ISBN-13978-4642057233
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登録情報
- 出版社 : 吉川弘文館 (2011/6/20)
- 発売日 : 2011/6/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 205ページ
- ISBN-10 : 4642057234
- ISBN-13 : 978-4642057233
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年11月11日に日本でレビュー済み
2015年2月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
足利将軍家は、三代義満以降はパッとせず、管領家や三好・織田と言った戦国大名の
成すがままにされるお飾り神輿というイメージがありましたが、足利将軍家のことを
深く考えたことがないと思い立ち購入してみました。
なぜ足利将軍家が徳川将軍家のように、自ら強大な武力を持たなかったのか。
なぜ戦国大名達は、足利家を将軍家として特別な位置づけをして、尊重していたのか。
足利幕府の存在意義。
上記のような疑問が本書を読むことにより解けました。
また、
織田信長と足利義昭がなぜ対立することになったのか。
足利幕府の訴訟手続きにおける処理方法。
戦国大名が幕府の命令を断る時の方法。
朝廷のしたたかな戦略。
といったことも学べたのが良かったです。
著者様の解説も丁寧で、国連を例に上げた、足利幕府の説明はとても分かり易かったです。
難しい言葉も使用されておらず、スラスラと読むことができます。
ただ、西日本・畿内地域などの大名は足利幕府との交流が密接にあったとのことなのです
が、関東・東北といった東日本の大名との交流についての記述がなされておらず、
なぜ関東・東北と言った、東日本の大名家が西日本の大名家よりも交流が薄かったのかの
理由を記述して頂けると良かったです。
注意点としては、本書はあくまでも足利幕府全体の仕組み・存在意義を論じていますので
各歴代将軍ごとの状況や政策等が記述されている訳ではありません。※義昭と信長は別ですが。
私と同じように、足利幕府を軽く甘くみていた方にはぜひ1度読んで頂きたいおすすめの本です。
最後に目次を記しておきます。本書購入の参考になれば幸いです。
1・戦国時代の足利将軍を問い直す
2・将軍存立をめぐる基礎知識
・相互に補完しあう将軍と大名
・戦国時代の幕府と<幕府>
3・戦国時代の将軍と大名
・大名間における栄典の機能
・ゆるやかな連合としての将軍と大名
・征夷大将軍と足利氏
4・将軍義昭と織田信長
・義昭を利用する信長
・義昭、信長「二重政権」の構造と淵源
5・<天下>の次元の三和音
・<天下>の次元と<国>の次元
・<天下>をめぐる三つの視点
6・戦国時代の足利将軍をどうイメージすべきか
全203Pです。
成すがままにされるお飾り神輿というイメージがありましたが、足利将軍家のことを
深く考えたことがないと思い立ち購入してみました。
なぜ足利将軍家が徳川将軍家のように、自ら強大な武力を持たなかったのか。
なぜ戦国大名達は、足利家を将軍家として特別な位置づけをして、尊重していたのか。
足利幕府の存在意義。
上記のような疑問が本書を読むことにより解けました。
また、
織田信長と足利義昭がなぜ対立することになったのか。
足利幕府の訴訟手続きにおける処理方法。
戦国大名が幕府の命令を断る時の方法。
朝廷のしたたかな戦略。
といったことも学べたのが良かったです。
著者様の解説も丁寧で、国連を例に上げた、足利幕府の説明はとても分かり易かったです。
難しい言葉も使用されておらず、スラスラと読むことができます。
ただ、西日本・畿内地域などの大名は足利幕府との交流が密接にあったとのことなのです
が、関東・東北といった東日本の大名との交流についての記述がなされておらず、
なぜ関東・東北と言った、東日本の大名家が西日本の大名家よりも交流が薄かったのかの
理由を記述して頂けると良かったです。
注意点としては、本書はあくまでも足利幕府全体の仕組み・存在意義を論じていますので
各歴代将軍ごとの状況や政策等が記述されている訳ではありません。※義昭と信長は別ですが。
私と同じように、足利幕府を軽く甘くみていた方にはぜひ1度読んで頂きたいおすすめの本です。
最後に目次を記しておきます。本書購入の参考になれば幸いです。
1・戦国時代の足利将軍を問い直す
2・将軍存立をめぐる基礎知識
・相互に補完しあう将軍と大名
・戦国時代の幕府と<幕府>
3・戦国時代の将軍と大名
・大名間における栄典の機能
・ゆるやかな連合としての将軍と大名
・征夷大将軍と足利氏
4・将軍義昭と織田信長
・義昭を利用する信長
・義昭、信長「二重政権」の構造と淵源
5・<天下>の次元の三和音
・<天下>の次元と<国>の次元
・<天下>をめぐる三つの視点
6・戦国時代の足利将軍をどうイメージすべきか
全203Pです。
2014年3月27日に日本でレビュー済み
著者は、大学と高校で非常勤講師をされている方らしい。戦国時代の足利将軍たち一人一人がどんな活躍をしたのか、というスポットライト的な話ではなく、戦国時代の足利将軍たちは一般に思われているような無力な傀儡というわけではなく、ソフト・パワーを駆使しながらちゃんと「君臨」していたという論旨である。
曰く・・・
守護大名(二十一屋形)は在京を義務づけられており、勝手に国元に下国することは謀反とみなされ討伐の対象になるが、応仁の乱以降は大名たちはつぎつぎに京都を離れ領国に居座ってしまった。守護大名の自立性が強まる。もともと、室町幕府は大名たちと将軍が相互に補完しあうシステムだったのだが、多くの大名が在国するようになると在京することの多かった細川京兆家(細川宗家)のウェイトが高くなる。しかし、将軍にとって細川京兆家への過度の依存は安全保障上望ましくない。そこで、戦国時代の歴代将軍は危険分散のためにかつてのような「複数の在京大名に支えられる体制」の再構築を目指し、武田氏やら大内氏、六角氏などを京都に呼んでいる。
戦国大名は、将軍から停戦を命じられると、受け入れるかどうか悩むし、毛利元就、武田信玄、斎藤龍興らは、断るときにも仕方なく上意を拒否せざるをえなかったと将軍にアピールしている。
また、戦国大名は、将軍から栄典を貰いたがる。ある程度の領主になったらなんらかの称号を名乗るべきという認識があり、こういう認識が栄典獲得のモチベーションになったのではないか。戦国時代までは、将軍による栄典授与基準は厳格で、高ランクの栄典は名門大名にしか授与されなかった。しかし、戦国時代になると将軍はこの基準を緩め、奉公の度合い(献金額)によって栄典を授与する。栄典獲得競争が激化し、多くの大名が将軍に引き寄せられる。守銭奴という見方もあるが、著者はクレバーな戦略だと認識している。
敵に譲歩すると面目を失い、それがきっかけで領内に騒乱が起きるかもしれない。そんなとき将軍が調停してくれれば名誉ある退却ができる。将軍にはメンツを失うショックを吸収する装置としての機能もある。
赤松氏は、尼子氏に播磨を奪われ、この危機を乗り越えるために将軍義晴に尼子に撤退するよう斡旋を頼む。一方の尼子氏も将軍に贈献して良好な関係にある。それだけに将軍の斡旋を断れないと赤松氏は読む。もともと、尼子氏は東方進出のために大内氏と関係改善を進める必要があって将軍に接近していたと思われる。また、大内氏は日明貿易独占のために将軍との良好な関係が必要だったという事情がある。ただ、こうやって将軍を利用しようとすればするほど上意を拒否しにくくなる。義晴は、当時頼っていた六角定頼に赤松問題について相談する(細川京兆家以外のカウンターバランスとして六角氏を必要とした)。こういう構造では六角氏には上意に影響を及ぼせるという旨味がある。六角氏は大内氏と相談することで大内氏を関与させ、大内氏に恩を売っている。
明応の政変で、足利将軍家は義稙系と義澄系に系統分裂する。義稙系の義維(よしつな)は将軍になれなかったけれども紛争調停や権利安堵などの訴訟を受け付けている。征夷大将軍のブランドを持っている者が唯一別格、という認識が浸透していなかったとも考えられる。それゆえに征夷大将軍叙任権を持つ天皇をめぐった争いになり、結果的に天皇が復権する、という事態も生じなかった。
戦国時代以前は、大名は敵対大名を将軍に「御敵」指定してもらえば幕府に所属する大名たちから合力してもらい敵を圧倒できた。一種の集団安全保障体制。戦国時代になると各大名が自立傾向を強めてこの集団安全保障体制が崩れ、各大名は大名同士で同盟しながらパワーバランスを図るようになる。
信長は義昭を手元において上意独占を行う。一方、義昭は信長だけに支えられる体制というのも危うい。父祖たちと同じように幅広い大名と連携しようとする。義昭は信長以外と連携を図ろうとして危険分散しようとし、信長は上意独占を図ろうとし、これが二人を対立に導いた。
みたいな話。
曰く・・・
守護大名(二十一屋形)は在京を義務づけられており、勝手に国元に下国することは謀反とみなされ討伐の対象になるが、応仁の乱以降は大名たちはつぎつぎに京都を離れ領国に居座ってしまった。守護大名の自立性が強まる。もともと、室町幕府は大名たちと将軍が相互に補完しあうシステムだったのだが、多くの大名が在国するようになると在京することの多かった細川京兆家(細川宗家)のウェイトが高くなる。しかし、将軍にとって細川京兆家への過度の依存は安全保障上望ましくない。そこで、戦国時代の歴代将軍は危険分散のためにかつてのような「複数の在京大名に支えられる体制」の再構築を目指し、武田氏やら大内氏、六角氏などを京都に呼んでいる。
戦国大名は、将軍から停戦を命じられると、受け入れるかどうか悩むし、毛利元就、武田信玄、斎藤龍興らは、断るときにも仕方なく上意を拒否せざるをえなかったと将軍にアピールしている。
また、戦国大名は、将軍から栄典を貰いたがる。ある程度の領主になったらなんらかの称号を名乗るべきという認識があり、こういう認識が栄典獲得のモチベーションになったのではないか。戦国時代までは、将軍による栄典授与基準は厳格で、高ランクの栄典は名門大名にしか授与されなかった。しかし、戦国時代になると将軍はこの基準を緩め、奉公の度合い(献金額)によって栄典を授与する。栄典獲得競争が激化し、多くの大名が将軍に引き寄せられる。守銭奴という見方もあるが、著者はクレバーな戦略だと認識している。
敵に譲歩すると面目を失い、それがきっかけで領内に騒乱が起きるかもしれない。そんなとき将軍が調停してくれれば名誉ある退却ができる。将軍にはメンツを失うショックを吸収する装置としての機能もある。
赤松氏は、尼子氏に播磨を奪われ、この危機を乗り越えるために将軍義晴に尼子に撤退するよう斡旋を頼む。一方の尼子氏も将軍に贈献して良好な関係にある。それだけに将軍の斡旋を断れないと赤松氏は読む。もともと、尼子氏は東方進出のために大内氏と関係改善を進める必要があって将軍に接近していたと思われる。また、大内氏は日明貿易独占のために将軍との良好な関係が必要だったという事情がある。ただ、こうやって将軍を利用しようとすればするほど上意を拒否しにくくなる。義晴は、当時頼っていた六角定頼に赤松問題について相談する(細川京兆家以外のカウンターバランスとして六角氏を必要とした)。こういう構造では六角氏には上意に影響を及ぼせるという旨味がある。六角氏は大内氏と相談することで大内氏を関与させ、大内氏に恩を売っている。
明応の政変で、足利将軍家は義稙系と義澄系に系統分裂する。義稙系の義維(よしつな)は将軍になれなかったけれども紛争調停や権利安堵などの訴訟を受け付けている。征夷大将軍のブランドを持っている者が唯一別格、という認識が浸透していなかったとも考えられる。それゆえに征夷大将軍叙任権を持つ天皇をめぐった争いになり、結果的に天皇が復権する、という事態も生じなかった。
戦国時代以前は、大名は敵対大名を将軍に「御敵」指定してもらえば幕府に所属する大名たちから合力してもらい敵を圧倒できた。一種の集団安全保障体制。戦国時代になると各大名が自立傾向を強めてこの集団安全保障体制が崩れ、各大名は大名同士で同盟しながらパワーバランスを図るようになる。
信長は義昭を手元において上意独占を行う。一方、義昭は信長だけに支えられる体制というのも危うい。父祖たちと同じように幅広い大名と連携しようとする。義昭は信長以外と連携を図ろうとして危険分散しようとし、信長は上意独占を図ろうとし、これが二人を対立に導いた。
みたいな話。
2012年4月20日に日本でレビュー済み
室町「幕府」という言葉が学術用語として使われる場合
「将軍を頂点とし、管領や侍所、政所といった京都にある中央機関」と
これに地方機関(守護等)を併せた組織の総称の広狭二義あり
本書では広義の幕府を特に〈幕府〉と表記している。
-
守護が大名化していく過程では
分国の有力武士からの支持・権力委譲の獲得が重要性を増していくものの
在地の支持獲得に際し守護権力が
「上(=将軍)からの承認に基づく公権」であることの意義は大きく
上意を拒み難い。
それゆえ強大な直轄軍など持たずとも
「軍事・洛中警察・上意の実効性といった将軍存立の重要部分」を
守護に補完されるという仕組は「将軍にとってそれなりに合理的・経済的なものであった」。
-
この構図は最末期の義昭・信長「二重政権」に至っても確認され
「相互に補完しあう将軍と大名としての〈幕府〉(=広義の幕府)」が形成された。
「つまり上洛後の義昭は、それなりに独自の基盤をもち、
信長の傀儡となることなく独自に裁判なども遂行しえた」のである。
但し彼の父祖が細川京兆家への過度の依存を忌避した如く
危険の分散の観点から将軍を補完する勢力は複数でなければならず
義昭と信長の訣裂が不可避であることが理解された。
-
終盤では戦国時代の大名領国=〈国〉及び日本列島全体=〈天下〉と、
現代の国内社会及び国際社会とを相似形に見立て、
戦国時代の将軍の主たる活動域が〈天下〉であったことを指摘して
現代国際社会に於ける国連に擬える。
またリアリズム(主権国家体制)・リベラリズム(国際共同体)・コスモポリタニズムという
国際政治学の三つの視点を援用して将軍を
「戦国期〈天下〉の次元におけるリベラリズム的側面を生み出す要素の一つ」と捉える。
極めて興味深い試みと言えよう。
「将軍を頂点とし、管領や侍所、政所といった京都にある中央機関」と
これに地方機関(守護等)を併せた組織の総称の広狭二義あり
本書では広義の幕府を特に〈幕府〉と表記している。
-
守護が大名化していく過程では
分国の有力武士からの支持・権力委譲の獲得が重要性を増していくものの
在地の支持獲得に際し守護権力が
「上(=将軍)からの承認に基づく公権」であることの意義は大きく
上意を拒み難い。
それゆえ強大な直轄軍など持たずとも
「軍事・洛中警察・上意の実効性といった将軍存立の重要部分」を
守護に補完されるという仕組は「将軍にとってそれなりに合理的・経済的なものであった」。
-
この構図は最末期の義昭・信長「二重政権」に至っても確認され
「相互に補完しあう将軍と大名としての〈幕府〉(=広義の幕府)」が形成された。
「つまり上洛後の義昭は、それなりに独自の基盤をもち、
信長の傀儡となることなく独自に裁判なども遂行しえた」のである。
但し彼の父祖が細川京兆家への過度の依存を忌避した如く
危険の分散の観点から将軍を補完する勢力は複数でなければならず
義昭と信長の訣裂が不可避であることが理解された。
-
終盤では戦国時代の大名領国=〈国〉及び日本列島全体=〈天下〉と、
現代の国内社会及び国際社会とを相似形に見立て、
戦国時代の将軍の主たる活動域が〈天下〉であったことを指摘して
現代国際社会に於ける国連に擬える。
またリアリズム(主権国家体制)・リベラリズム(国際共同体)・コスモポリタニズムという
国際政治学の三つの視点を援用して将軍を
「戦国期〈天下〉の次元におけるリベラリズム的側面を生み出す要素の一つ」と捉える。
極めて興味深い試みと言えよう。
2011年8月14日に日本でレビュー済み
応仁の乱から足利義昭まで、全国を支配するにはほど遠い足利将軍がなぜ存続し得たか。書籍も少なく大きな謎だった。本書はその答を明らかにしてくれる。将軍と大名たちとの持ちつ持たれつの関係があったのだ。その種々の側面を様々な資(史)料の引用により明らかにしてくれる。残念ながら各将軍のプロフィルはほとんどない。織田・足利両家という当時の二重権力に仕えたという明智光秀など重要人物への言及もほしかった。
2015年3月28日に日本でレビュー済み
確かに緩やかな連合ということで、足利将軍と戦国大名の関係を国際連合に例えたのは、なかなか上手だし、
室町幕府、足利将軍に対する理解を深めることはできました。
ただ、足利将軍家のもう一つの面、天下=京都を中心とする畿内を支配領域とし静謐に保つことを職(しき)とされていたという面を全く無視されるのはいかがなものか?
その点で、当然のことながら一切直轄領を持たない国際連合に例えるのは、いささか無理を感じる
室町幕府、足利将軍に対する理解を深めることはできました。
ただ、足利将軍家のもう一つの面、天下=京都を中心とする畿内を支配領域とし静謐に保つことを職(しき)とされていたという面を全く無視されるのはいかがなものか?
その点で、当然のことながら一切直轄領を持たない国際連合に例えるのは、いささか無理を感じる
2011年9月30日に日本でレビュー済み
いかにその時その時の将軍が奮闘したか、個別に網羅してほしかったですね。本書の内容は、それぞれの将軍を1章ずつたてて、最終章で「まとめ」で記述されるような内容を、全編にわたって書かれています。正直、自分にはつまらない中身でした。本来なら☆一つのところですが、新ジャンルということでもう一つサービスです。