故高坂正堯の考えを最もよく引き継いでいるのは中西輝政さんだと思う。この本にもそれがよく出ている。
お人好しの日本人、これ自体は大変結構だが、それでは世界は渡っていけない。世界は、例えばカルロス・ゴーンのような人間が通常だ。
よくぞ日本人は明治国家を樹立、独立を維持した。そのあとはいけなかったが。明治日本と昭和日本はどこがちがったのだろうか。
明治の日本人はずるくはなかった。正々堂々としていた。だが、また世界を冷静に監察していた。江戸時代までに蓄積された資産を利用し、殖産興業富国強兵を成し遂げた。大正に大きな変化をして、世界を理性的現実的に観察考察できなくなって、昭和を迎えた。
この本の端々に知恵がかくされている。
一億みな上から下まで総白痴化したいま、明治をもう一度勉強しなおしたがいい。
追記:もう三十年前ごろからだろうか、アメリカが日本の市場についてこんなことを言い始めた。「日本の市場は閉ざされている。例えば大型小売店出店規制などはそれだ。そのためアメリカの資本は進出できない。」
その後の推移をみると、そんなことを言い続けたのはアメリカではなくて、それで得する日本の企業だった。政府は規制を緩和し廃止した。それにより大型のスーパーなどが大きく展開し、地方の店は軒並みに閉店、地域が衰退した。この本を読むと、アメリカは大型小売店の出店を規制しているという(p211)。
「市場にまかせたらいい状態が生まれる」という信仰は、ものと場合による。ものと場合により、市場の自由を規制する必要があり、それは当然国によって違う。
もう三十年近く前のことだが、「アメリカの対日赤字は日本市場の閉鎖性によるものでなく、アメリカの過剰消費によるものだ」(小宮隆太郎)とか、「日本市場はいかなる基準を用いても他の先進国と同じ程度オープンである」(飯田経夫)であった。
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日本人が知らない世界と日本の見方 本当の国際政治学とは (PHP文庫) 文庫 – 2014/4/3
中西 輝政
(著)
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国際社会が重視する「戦争の教訓」とは、第二次世界大戦でなく、日本人に馴染みが薄い第一次世界大戦にこそあった? 長年、加盟を申請しているトルコはなぜEUに入れない? アメリカが主導した「世界のグローバル化」の流れが終焉し、「国家」の果たす役割が再び重要になってくる時代とは――?
国際政治での矛盾とジレンマに満ちた実態を、「歴史的アプローチ」から受講者にまざまざと体感させる“人気の京大講義録"が待望の文庫化。
アングロサクソン的な視点からの“解説学問"になりがちな従来の国際政治学の枠組みを超え、日本人の歴史的な経験や価値観を踏まえた“国家像"と“国家戦略"を指し示すことで、「世界の見方」がクリアになる一冊。
幕末・明治の日本近代史、国際的な戦争の仕組み、革命というものの正体、歴史の因果関係、「一超多強」の世界秩序の構築まで扱うテーマは幅広く、飽きることがない。大人が読んでこそ楽しめる授業内容だ。
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幕末・明治の日本近代史、国際的な戦争の仕組み、革命というものの正体、歴史の因果関係、「一超多強」の世界秩序の構築まで扱うテーマは幅広く、飽きることがない。大人が読んでこそ楽しめる授業内容だ。
- 本の長さ244ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2014/4/3
- 寸法10.7 x 1.2 x 15.1 cm
- ISBN-104569761674
- ISBN-13978-4569761671
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商品の説明
出版社からのコメント
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ロイド・ジョージ内閣の大本営発表
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「現実主義」の起源はルネサンスにある
第3講 幻滅の二十世紀
すべての議論は十九世紀から二十世紀初頭に生まれた
二十世紀最後の「幻滅」
「蟹工船」と日本海軍
第4講 アングロサクソンとは何か
「アングロサクソン的な学問」としての国際政治学
「パクス・アメリカーナ」への違和感
「見た目より知性」が最大の魅力
第5講 「一超多強」の世界
「列強」という言葉は不正確
「パクス・ブリタニカの平和」を崩した露仏同盟
二つの大国が組めば「パクス・アメリカーナ」を弱めることも可能
第6講 日本文明が生き残るために
冷戦後の世界秩序のイメージ
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第6講 日本文明が生き残るために
冷戦後の世界秩序のイメージ
一国で一つの文明圏を形成する日本
キリスト教文明圏のサバイバル
著者について
京都大学名誉教授
登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2014/4/3)
- 発売日 : 2014/4/3
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 244ページ
- ISBN-10 : 4569761674
- ISBN-13 : 978-4569761671
- 寸法 : 10.7 x 1.2 x 15.1 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 465,597位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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昭和22年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。同大学大学院、英国ケンブリッジ大学歴史学部大学院修了。米国スタンフォード大学客員研究員、静岡県立大学教授、京都大学大学院教授などを経て、京都大学名誉教授(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『賢国への道―もう愚かではいられない (ISBN-10: 4884749847)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2016年11月10日に日本でレビュー済み
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中西京都大学教授が2008年前期に「現代国際政治」というテーマで授業を持たれた講義録である。まだ、大学生になって間もない若い人たちや
外部からの聴講生に対する講義らしく、内容は国政政治初心者向き。ずっと年代は遡るが、京都大学で国際政治を専攻したものとして
興味深く読ませて貰った。私はゼミにおいて故高坂正堯教授より国際政治を教えて戴いたが、中西教授もこの高坂教授より少なからぬ
影響を受け、マスコミなどからも、早くして鬼籍に入られた高坂教授の後継者の一人として取り上げられたこともある。ただ、この書物だけ読んで
いても、高坂ー中西間には特に歴史認識や、人間観察においてはっきりとした差異があることは良く分かる。中西教授も高坂教授同様、
欧州史を学んでいるが、英国好きを隠さなかった高坂教授とは異なり、米英中心のアングロサクソン世界には何とも言えぬ反発が、このような
初心者を相手にした講義においてもにじみ出て来ている。ただ、既にこの時点でグローバル化の崩壊とナショナリズムの復権を指摘し、自国の防衛は
自国で考えないといけないと強調しているのは、米国の変貌と、トランプのような人間が大統領に選ばれる可能性も示唆しているようで、
非常に興味を持った。このような観点を多くの日本人が常に共有することで、「一超多強」の中で、日本も真の意味での「多強」での地位を
固めることが出来る切欠となるであろう。
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2017年6月15日に日本でレビュー済み
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複雑な国際政治を音痴な日本人に、わかりやすく解説した本です。作者のほかの本も含めて、おすすめです。
2022年2月20日に日本でレビュー済み
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面白い意見・事実が多いが、少し一面的かつ主観的かな?と思った。
2013年9月1日に日本でレビュー済み
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他の先進国は戦略的な思考があるのに我が国は情緒的、このままでは生きていけない。
という説得力がある。
小生の知り合いに外国語でArmyという日本語を自衛隊と理解している外国人の軍人もいる。
新聞のニュースの視野は国内でのみ通用する。
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2018年12月3日に日本でレビュー済み
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知らないで来た事を幾つか教えて頂き良かった。これからもその様な本に出合えます様に願うばかり
2014年5月2日に日本でレビュー済み
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歴史事例の繰り返しから、国際関係を俯瞰した、その見方が理解させられました。
2013年5月23日に日本でレビュー済み
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現代社会の仕組みが何に基づいて成り立っているのか。水は高い所から低い所へ流れるが、物事はどのような力学で決まっているのか。深い洞察で歴史と社会構造を紐解いて分かりやすく解説。興味深く一気に読めてしまう。