"筆者はひそかに、馬車の正確な理解なくして十九世紀フランス文学の理解もありえないと考えているのだが、それは、馬車こそが、すぐれて階級的な文化であったフランス文化の特質をもっとも端的に表している事物だったからである"1990年発刊の本書は19世紀パリの風俗・世相を豊富な資料で描く著者代表作、サントリー学芸賞受賞作。
個人的にフランス文学への理解を深めたいと本書を手にとりました。
さて、そんな本書はフランス文学者・文芸評論家である著者が【偶然通りすぎたパリ街道の由来に疑問を抱いた】ことをキッカケに、フランスの古典文学『ゴリオ爺さん』『幻滅』『感情教育』『レ・ミゼラブル』『赤と黒』等の《我らが主人公》たちが通ったであろうパリへの道筋を解読すべく、交通手段としての馬車はもちろん、文学からの引用や挿絵、豊富な資料を用いて、当時の交通、食生活、盛り場などがどんな様子だったかを明らかにしているのですが。
取り扱っている作品は、ほぼ既読であった為、以前に読んだ時は気づかなかった場面描写の解説はありがたく、作品に対する文化的、社会的理解が深まりました。
また、表題からてっきり馬車のことばかりが解説されているのかと思っていたのですが、それを皮切りに前述のように当時の食生活や盛り場とかの解説もあり、現代文明の豊かさをしみじみと有り難く感じたり。
フランス文学好きはもちろん、パリ、そしてフランスの19世紀事情を知りたい方にもオススメ。
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馬車が買いたい! 単行本 – 2009/6/1
鹿島 茂
(著)
- 本の長さ296ページ
- 言語日本語
- 出版社白水社
- 発売日2009/6/1
- 寸法15.8 x 2.6 x 21.7 cm
- ISBN-104560080003
- ISBN-13978-4560080009
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商品の説明
出版社からのコメント
【十九世紀へのタイムマシン】
十九世紀フランス小説の中で、青雲の志を抱いてパリへやってきた青年たち----『ゴリオ爺さん』のラスチニャック、『幻滅』のリュシアン・ド・リュバンプレ、『赤と黒』のジュリアン・ソレルといった面々には、共通した願望があった。「馬車が買いたい!」
馬車は、小説の中にとどまらず、実際に当時の青年たちが夢見たステイタスシンボルであり、日々の生活から恋愛や出世にまで関わる、切実な問題でもあった。著者は小説の主人公たちを例に、十九世紀パリの衣食住や交通、各種娯楽の実情を、豊富な資料を駆使して生活者の視点から解き明かす。彼らの食費や家賃で実際にどの程度の生活ができたのか。下宿生活をするには、どのくらい仕送りをもらう必要があったのか。馬車の値段はいくらで、維持するにはどれほどの年収が必要なのか。具体的な数字や描写、貨幣価値の説明によって、当時の世相や人々の意識構造がリアルに浮かび上がってくる。
1991年サントリー学芸賞受賞作が、図版・レイアウトを一新し、未収録の新たな原稿を加えて新版で登場!
十九世紀フランス小説の中で、青雲の志を抱いてパリへやってきた青年たち----『ゴリオ爺さん』のラスチニャック、『幻滅』のリュシアン・ド・リュバンプレ、『赤と黒』のジュリアン・ソレルといった面々には、共通した願望があった。「馬車が買いたい!」
馬車は、小説の中にとどまらず、実際に当時の青年たちが夢見たステイタスシンボルであり、日々の生活から恋愛や出世にまで関わる、切実な問題でもあった。著者は小説の主人公たちを例に、十九世紀パリの衣食住や交通、各種娯楽の実情を、豊富な資料を駆使して生活者の視点から解き明かす。彼らの食費や家賃で実際にどの程度の生活ができたのか。下宿生活をするには、どのくらい仕送りをもらう必要があったのか。馬車の値段はいくらで、維持するにはどれほどの年収が必要なのか。具体的な数字や描写、貨幣価値の説明によって、当時の世相や人々の意識構造がリアルに浮かび上がってくる。
1991年サントリー学芸賞受賞作が、図版・レイアウトを一新し、未収録の新たな原稿を加えて新版で登場!
登録情報
- 出版社 : 白水社 (2009/6/1)
- 発売日 : 2009/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 296ページ
- ISBN-10 : 4560080003
- ISBN-13 : 978-4560080009
- 寸法 : 15.8 x 2.6 x 21.7 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 844,172位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 12,135位世界史 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年7月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
バルザックが毎日何を考え、どのような会話をしていたのか生き生きと想像できる。取り扱っているのは馬車で筆者が言うように注が本文のような本なのに一気に読めた。鹿島さんの他の著書も漏れなく読みたくなる快著
2014年2月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
鹿島先生のファンで、文庫化を待ち望んでも出そうにないので購入。
この中身は、文庫化するには濃すぎると納得しました。
『明日は舞踏会』に似たものかと予想していましたが、何倍もの中身があります。
タイトルは知っていても未読のフランス文学が気になって、読んでみようかなと思わせる素敵な本です。
それにしても高いので星マイナス1。
この中身は、文庫化するには濃すぎると納得しました。
『明日は舞踏会』に似たものかと予想していましたが、何倍もの中身があります。
タイトルは知っていても未読のフランス文学が気になって、読んでみようかなと思わせる素敵な本です。
それにしても高いので星マイナス1。
2022年9月10日に日本でレビュー済み
「馬車が買いたい!」
のタイトルですが、ほかの方が仰られていたように、助詞「が」は、しばしば強調の時に使用する「が」だと思います。「馬車を買いたい!」では、締まりがないし、題の意味が多少ずれて違ってしまうかと思います。
昔、バルザックの時代を専門とするフランス語教授の授業でさわりを読み、本をクラスで回して見せて頂きました。先生が、良書だと感心し誉めておられたのを覚えております。著者鹿島茂の名もこの時にしっかり記憶しました。
のタイトルですが、ほかの方が仰られていたように、助詞「が」は、しばしば強調の時に使用する「が」だと思います。「馬車を買いたい!」では、締まりがないし、題の意味が多少ずれて違ってしまうかと思います。
昔、バルザックの時代を専門とするフランス語教授の授業でさわりを読み、本をクラスで回して見せて頂きました。先生が、良書だと感心し誉めておられたのを覚えております。著者鹿島茂の名もこの時にしっかり記憶しました。
2022年5月5日に日本でレビュー済み
「〜たい」などで意思や願望を表すときに、目的格の助詞として「が」を用いることは正しい用法です。誤った知識で低評価をつけるのはやめてもらいたい。
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当時の文学作品からの引用などを利用して、19世紀パリの生活を詳解した素晴らしい作品。
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当時の文学作品からの引用などを利用して、19世紀パリの生活を詳解した素晴らしい作品。
2021年3月7日に日本でレビュー済み
作家であればちゃんと日本語の表現をしてほしい。
最近のYoutubeなんかのタイトルでも、「てにをは」などにとても違和感を覚える表現が多くなってきた。
~「が」買いたい ☓
~「を」買いたい ○
~「が」ほしい ○
~「を」ほしい ☓
最近のYoutubeなんかのタイトルでも、「てにをは」などにとても違和感を覚える表現が多くなってきた。
~「が」買いたい ☓
~「を」買いたい ○
~「が」ほしい ○
~「を」ほしい ☓