特に根拠はないのだが、戦争や内戦で発生する難民というのは、祖国では農家だったり小さな雑貨屋を営んでいるんだろうという漠然としたイメージがあった。
先進国以外の国々は首都圏を除いて牧歌的な生活を送っているに違いない、という貧相な考えと勝手な決めつけが無意識下にあったのかもしれない。
だが、本書で難民となっている人たちはそうではなかった。
インテリアデザイナーにカーディーラー、水道局の職員に教師や医者。難民たちは我々と変わらないごく普通の人々たちだった。一般的な学生生活を送り就職し、結婚して家族を持つ一方でスキルアップを図りより良い条件の職場に転職する。そんな当たり前の生活を送ってきた人々が、ある日突然戦火に追われ、国を捨てざるを得なくなったのだ。
難民としての彼らは、自身の技能や知識を活かす術を奪われ、どこに行っても歓迎されず、傷つけられ、屈辱的な日々を送らざるをえない。
本書が書かれた当時は250万人だったシリア難民は現在では700万人程度と言われている。改善の兆しは見られない。
各国の政府も、極右的な思想を振りかざす野党指導者やその支持者たちも、難民を数字でしか捉えず、その700万人にそれぞれ人生があることを見ていない。
本書は難民とともに食事をし、密航ルートを歩き、時には藪の中に隠れて息を潜め取材を重ねたドキュメンタリーである。難民一人ひとりの物語を色濃く描き出し、想像力を持たない先進国に警鐘を鳴らす。
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シリア難民 人類に突きつけられた21世紀最悪の難問 単行本 – 2016/11/26
パトリック・キングズレー
(著),
藤原 朝子
(翻訳)
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購入オプションとあわせ買い
【最新情報――迫真のルポに、書評続々】
・2017年2月5日付の「日本経済新聞」にて、書評が掲載されました! (評者は放送大学・高橋和夫氏)
・2017年2月9日号の「週刊文春」にて、書評が掲載されました! (評者は池澤夏樹氏)
・2017年1月29日付の「読売新聞」にて、書評が掲載されました! (評者は稲泉連氏)
・「文藝春秋」(2017年2月号)の「鼎談書評」にて、書評が掲載されました! (評者は久田恵氏、片山杜秀氏、山内昌之氏)
・2017年2月1日号の「Pen」にて、書評が掲載されました! (評者は今泉愛子氏)
・2017年1月23日号の「AERA」にて、書評が掲載されました! (評者は星野博美氏)
「想像力を補う格好の書となるだろう」との評をいただきました。
【内容紹介】
450万もの人が国を追われる――
泥沼化する難民危機の「最前線」で、
いったい何が起こっているのか?
『ガーディアン』紙初の移民専門ジャーナリストが、
3大陸17か国で「道なき道」を取材し尽くし、
難民たちの「声なき声」を拾い上げ、
報道では絶対にわからない「難民危機」の本質をあぶり出す。
EUの分裂、ISISの台頭、終わらない内戦、相次ぐテロ……
全世界を揺るがす問題は、すべてここにつながっている。
・2017年2月5日付の「日本経済新聞」にて、書評が掲載されました! (評者は放送大学・高橋和夫氏)
・2017年2月9日号の「週刊文春」にて、書評が掲載されました! (評者は池澤夏樹氏)
・2017年1月29日付の「読売新聞」にて、書評が掲載されました! (評者は稲泉連氏)
・「文藝春秋」(2017年2月号)の「鼎談書評」にて、書評が掲載されました! (評者は久田恵氏、片山杜秀氏、山内昌之氏)
・2017年2月1日号の「Pen」にて、書評が掲載されました! (評者は今泉愛子氏)
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「想像力を補う格好の書となるだろう」との評をいただきました。
【内容紹介】
450万もの人が国を追われる――
泥沼化する難民危機の「最前線」で、
いったい何が起こっているのか?
『ガーディアン』紙初の移民専門ジャーナリストが、
3大陸17か国で「道なき道」を取材し尽くし、
難民たちの「声なき声」を拾い上げ、
報道では絶対にわからない「難民危機」の本質をあぶり出す。
EUの分裂、ISISの台頭、終わらない内戦、相次ぐテロ……
全世界を揺るがす問題は、すべてここにつながっている。
- 本の長さ376ページ
- 言語日本語
- 出版社ダイヤモンド社
- 発売日2016/11/26
- 寸法13.7 x 2.6 x 19.5 cm
- ISBN-104478068852
- ISBN-13978-4478068854
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商品の説明
著者について
[著者]
パトリック・キングスレー(Patrick Kingsley)
英国『ガーディアン』紙初の移民専門ジャーナリスト。2013年には記者に贈られる「Frontline Club Award」を、また2014年にはBritish Press Awards主催の「ヤング・ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、数々の受賞歴を持つ若手ジャーナリスト。同紙エジプト特派員からキャリアをスタートさせ、これまで25か国以上からレポートを発信している。
本書でも中心的に取り上げられるシリア難民ハーシム・スーキの旅をドキュメントしたガーディアン紙の連載記事『ザ・ジャーニー』で、2015年英ジャーナリズム賞の外国特派員賞を受賞。
Twitter: @PatrickKingsley
[訳者]
藤原朝子(ふじわら・ともこ)
学習院女子大学非常勤講師。フォーリン・アフェアーズ日本語版、ロイター通信、ニューズウィーク日本版などで翻訳を担当。訳書に『MAKE SPACE メイク・スペース』、『ハーバードビジネススクールが教えてくれたこと、教えてくれなかったこと』(ともにCCCメディアハウス)、『未来のイノベーターはどう育つのか』(英治出版)、『撤退するアメリカと「無秩序」の世紀』、『シフト』(ともにダイヤモンド社)など。
パトリック・キングスレー(Patrick Kingsley)
英国『ガーディアン』紙初の移民専門ジャーナリスト。2013年には記者に贈られる「Frontline Club Award」を、また2014年にはBritish Press Awards主催の「ヤング・ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、数々の受賞歴を持つ若手ジャーナリスト。同紙エジプト特派員からキャリアをスタートさせ、これまで25か国以上からレポートを発信している。
本書でも中心的に取り上げられるシリア難民ハーシム・スーキの旅をドキュメントしたガーディアン紙の連載記事『ザ・ジャーニー』で、2015年英ジャーナリズム賞の外国特派員賞を受賞。
Twitter: @PatrickKingsley
[訳者]
藤原朝子(ふじわら・ともこ)
学習院女子大学非常勤講師。フォーリン・アフェアーズ日本語版、ロイター通信、ニューズウィーク日本版などで翻訳を担当。訳書に『MAKE SPACE メイク・スペース』、『ハーバードビジネススクールが教えてくれたこと、教えてくれなかったこと』(ともにCCCメディアハウス)、『未来のイノベーターはどう育つのか』(英治出版)、『撤退するアメリカと「無秩序」の世紀』、『シフト』(ともにダイヤモンド社)など。
登録情報
- 出版社 : ダイヤモンド社 (2016/11/26)
- 発売日 : 2016/11/26
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 376ページ
- ISBN-10 : 4478068852
- ISBN-13 : 978-4478068854
- 寸法 : 13.7 x 2.6 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 613,277位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 4,568位外交・国際関係 (本)
- - 100,497位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2021年3月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2022年10月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
シリア難民の方の中には、インテリ層、医師や技師の方も多く、人材流失という点でも国益が大きく失われているのだ、ということを知りました。
2017年3月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
【遠い夜明け】
難民問題が叫ばれて久しい中、ある父親がスウェーデンで難民登録をするまでの話です。
それと平行して、アフリカ難民の話もあります。
どちらも、社会や国家が助けてくれないため、というか国家とテロ組織から平等に虐待されるため、
難民としてヨーロッパを目指す過程が紹介されます。
シリアやイラクでの停戦後も、難民自体は減らない可能性もあるとのことで、今後も世界が考えるべき問題でしょう。
【止まらぬ流入】
インターネットの普及に伴い、あるルートを閉ざしても、別のルートが開拓され、瞬時に共有される流れが出来上がっているようです。
海路は言わずもがな、陸路も山あり谷ありのアジア・ヨーロッパの境を取り締まり切るのは不可能。
一方、人口も多く、特定のモノに依存しない経済を持つヨーロッパの不手際が語られます。
日本と違って中東やアフリカに揉め事の種を蒔いたヨーロッパが御託並べているのは滑稽です。
【非合法な密航業者】
筆者さんが集めたのは難民の声だけでなく、密航業者へのインタビューもあります。
短いですが、インタビューに至る苦労も紹介。
私腹を肥やす奴らがいる一方、現場には本人も難民である密航業者な場合もあるそうです。
考えてみれば、非合法な組織の末端は、他に行くところの無い人間になるので、中東やアフリカでは難民なのでしょう。
日本のように、ニートにしておくのは、経済的・文化的に合わないのでしょうし。
ISの戦闘員になる人もそうですが、経済的な事情で非合法な組織に協力せざるを得ない場合は多そうです。
粗悪な救命胴衣を売る業者もいるなど、人道危機です。
しかも、非合法な組織が儲かっても、国の財政は上がらないという悪循環があるようです。
【何故難民になるのか】
難民になる側も、ヨーロッパまでの道のりは厳しく、辿り着いても差別偏見に晒されることは、理解している。
何故そこまでと言えば、テロ組織だけでなく、自国の軍隊や警察から追われ、また真面目に働いても儲からないから。
似た仕事をするなら時給がいい所となりますし、10倍以上時給に差があったら、多少非合法で危険なことでもやる人は増えるでしょう。
黙っていても殺されるなら、逃げます。それが普通のリアクション。
この本を読んで、難民になる人もやはり人間であると改めて感じました。
難民問題が叫ばれて久しい中、ある父親がスウェーデンで難民登録をするまでの話です。
それと平行して、アフリカ難民の話もあります。
どちらも、社会や国家が助けてくれないため、というか国家とテロ組織から平等に虐待されるため、
難民としてヨーロッパを目指す過程が紹介されます。
シリアやイラクでの停戦後も、難民自体は減らない可能性もあるとのことで、今後も世界が考えるべき問題でしょう。
【止まらぬ流入】
インターネットの普及に伴い、あるルートを閉ざしても、別のルートが開拓され、瞬時に共有される流れが出来上がっているようです。
海路は言わずもがな、陸路も山あり谷ありのアジア・ヨーロッパの境を取り締まり切るのは不可能。
一方、人口も多く、特定のモノに依存しない経済を持つヨーロッパの不手際が語られます。
日本と違って中東やアフリカに揉め事の種を蒔いたヨーロッパが御託並べているのは滑稽です。
【非合法な密航業者】
筆者さんが集めたのは難民の声だけでなく、密航業者へのインタビューもあります。
短いですが、インタビューに至る苦労も紹介。
私腹を肥やす奴らがいる一方、現場には本人も難民である密航業者な場合もあるそうです。
考えてみれば、非合法な組織の末端は、他に行くところの無い人間になるので、中東やアフリカでは難民なのでしょう。
日本のように、ニートにしておくのは、経済的・文化的に合わないのでしょうし。
ISの戦闘員になる人もそうですが、経済的な事情で非合法な組織に協力せざるを得ない場合は多そうです。
粗悪な救命胴衣を売る業者もいるなど、人道危機です。
しかも、非合法な組織が儲かっても、国の財政は上がらないという悪循環があるようです。
【何故難民になるのか】
難民になる側も、ヨーロッパまでの道のりは厳しく、辿り着いても差別偏見に晒されることは、理解している。
何故そこまでと言えば、テロ組織だけでなく、自国の軍隊や警察から追われ、また真面目に働いても儲からないから。
似た仕事をするなら時給がいい所となりますし、10倍以上時給に差があったら、多少非合法で危険なことでもやる人は増えるでしょう。
黙っていても殺されるなら、逃げます。それが普通のリアクション。
この本を読んで、難民になる人もやはり人間であると改めて感じました。
2017年11月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
シリア難民のこと、日本にいると詳しく報道されないし、周りとの会話でも出て来ない。なんとなくしか知らない。もちろん他の国の難民のこともよくわかりません。この本はジャーナリストが実際にインタビューしたシリア難民本人の体験を書いた物なので、とても読み易く理解が深まりました。高校1年生の娘にも読ませた所、娘も読んで理解が深まったそうです。また日本人はほとんど関心をもっていないであろうアフリカからヨーロッパを目指す難民もしくは移民のことも見聞きした実態を書いています。遠い国のことだから関係ないのではなく、日本人も世界の実情をもっと知り、考える事が必要だと思います。
2017年4月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
リアルな描写に難民問題の難しさを感じました。日本では伝わらない難民問題の多様性を感じ、解決の難しさをあらためて感じました。すごいジャーナリストですね。
2017年7月8日に日本でレビュー済み
内容は100点。
ヨーロッパを目指す難民に特化した、緻密かつ総合的なレポート。
まさに「これを読まずしてヨーロッパの難民問題を語るなかれ」といったレベル。
日本語で本書を読む機会を与えてくれた発行元、訳者に心からお礼と敬意を表したい。
昨年、短期間だったがミュンヘン及びその近郊のローカルな街に滞在する機会があった。
日本でも報道されていた、ミュンヘン中央駅に多数の難民が押し寄せた時期からはだいぶ
経過していたものの、それでもひと目で分かる10~30人のグループを数組見かけた。
それよりも驚いたのは、ミュンヘンから100キロ以上離れたローカルな駅でも彼らを
何組か見かけたこと。
ミュンヘン中央駅同様どのグループも女性は子連れが多く、乳児からお年寄りまで数家族で
グループになっている感じ。
そんな中で印象的だったのが、どのグループもけん引役であろう男性達はしきりに携帯電話で
口角泡を飛ばす勢いで誰かとやり取りしていたこと。
「いったい誰と連絡しているのか?」と疑問に思っていたが、本書を読んで深く納得。
残してきた家族、落ち合う予定だったり逸れてしまった家族やグループ、自分たちよりも
先を行くグループからの情報収集、そして今現在の国境及び滞在国の受け入れ(警備)態勢。
藁をもつかむ思いで知りたい情報は幾らでもあるわけで、あの必死の形相は自らの生存を賭けた
戦いの顔だったのだ。
とある日、所用で訪れたドイツ南部のローカル駅。
駅のベンチに陣取る数組の難民家族は、昨日も同じ場所に居た。
自らの運命を知ってか知らぬか遠足の様にはしゃぐ、5~10歳の子供3人。
その傍らには乳幼児を抱いてどこか虚ろな目の母親。
10m離れたキオスクで飲み物を買いながら、視線の端で彼らから目が離せない当方。
少し逡巡したがキットカットをついでに買い、一番近くに居た7~8歳の男の子に手渡した。
一瞬何が起こったのか分からずキョトンとした男の子は、一秒後口角を少し上げて
キットカットを受け取った。
その後ろからは、当方と同じくネイティブジャーマンには程遠い発音で母親が「ダンケシェン」。
当方は母親と控えめな笑顔を交わし、所用へ。
そして数時間後、所用を終え駅に戻った時に彼らの姿はなかった。
あの家族にも本書のハーシム同様、もしかしたらそれ以上の過酷な運命があった筈で、
そういった人たちが数百万人居る圧倒的な現実。
日本は遠い遠い対岸の火事ではなく、資金援助以外にできる最大の貢献。
すなわち第三国定住地として、自ら名乗りを上げるべきだと思う。
それは単に国際社会の役割とか人道的な救済という観点だけではなく、少子高齢化が
避けられない日本の人的投資でもあると思うのだが。
そういったことを主張している国会議員って居るのかな?
いないだろうなあ、たぶん票にならないし。
本書のレビューに戻ると、内容は文句無しなのだが本としての読みやすさに難あり。
こんなに読むのに時間が掛かった本も久しぶり。
理由は単に文字数ではなく、とにかくブツ切りなのだ。
ブツ切りで全く違う話にポン。
そして唐突に始まる別の話が、またブツ切りでさらに別の話に飛ぶ。
そういった感じで、何ともエンジンがかからないというか、読書のリズムに乗れないのだ。
これだけの膨大なレポートを一冊に纏めているのだから無い物ねだりかもしれないが、
もう少し「読み物」としてスラスラ読ませる工夫が欲しかった。
趣向としての読書と言うより、義務感を伴う勉強のような苦痛も正直あった。
ヨーロッパを目指す難民に特化した、緻密かつ総合的なレポート。
まさに「これを読まずしてヨーロッパの難民問題を語るなかれ」といったレベル。
日本語で本書を読む機会を与えてくれた発行元、訳者に心からお礼と敬意を表したい。
昨年、短期間だったがミュンヘン及びその近郊のローカルな街に滞在する機会があった。
日本でも報道されていた、ミュンヘン中央駅に多数の難民が押し寄せた時期からはだいぶ
経過していたものの、それでもひと目で分かる10~30人のグループを数組見かけた。
それよりも驚いたのは、ミュンヘンから100キロ以上離れたローカルな駅でも彼らを
何組か見かけたこと。
ミュンヘン中央駅同様どのグループも女性は子連れが多く、乳児からお年寄りまで数家族で
グループになっている感じ。
そんな中で印象的だったのが、どのグループもけん引役であろう男性達はしきりに携帯電話で
口角泡を飛ばす勢いで誰かとやり取りしていたこと。
「いったい誰と連絡しているのか?」と疑問に思っていたが、本書を読んで深く納得。
残してきた家族、落ち合う予定だったり逸れてしまった家族やグループ、自分たちよりも
先を行くグループからの情報収集、そして今現在の国境及び滞在国の受け入れ(警備)態勢。
藁をもつかむ思いで知りたい情報は幾らでもあるわけで、あの必死の形相は自らの生存を賭けた
戦いの顔だったのだ。
とある日、所用で訪れたドイツ南部のローカル駅。
駅のベンチに陣取る数組の難民家族は、昨日も同じ場所に居た。
自らの運命を知ってか知らぬか遠足の様にはしゃぐ、5~10歳の子供3人。
その傍らには乳幼児を抱いてどこか虚ろな目の母親。
10m離れたキオスクで飲み物を買いながら、視線の端で彼らから目が離せない当方。
少し逡巡したがキットカットをついでに買い、一番近くに居た7~8歳の男の子に手渡した。
一瞬何が起こったのか分からずキョトンとした男の子は、一秒後口角を少し上げて
キットカットを受け取った。
その後ろからは、当方と同じくネイティブジャーマンには程遠い発音で母親が「ダンケシェン」。
当方は母親と控えめな笑顔を交わし、所用へ。
そして数時間後、所用を終え駅に戻った時に彼らの姿はなかった。
あの家族にも本書のハーシム同様、もしかしたらそれ以上の過酷な運命があった筈で、
そういった人たちが数百万人居る圧倒的な現実。
日本は遠い遠い対岸の火事ではなく、資金援助以外にできる最大の貢献。
すなわち第三国定住地として、自ら名乗りを上げるべきだと思う。
それは単に国際社会の役割とか人道的な救済という観点だけではなく、少子高齢化が
避けられない日本の人的投資でもあると思うのだが。
そういったことを主張している国会議員って居るのかな?
いないだろうなあ、たぶん票にならないし。
本書のレビューに戻ると、内容は文句無しなのだが本としての読みやすさに難あり。
こんなに読むのに時間が掛かった本も久しぶり。
理由は単に文字数ではなく、とにかくブツ切りなのだ。
ブツ切りで全く違う話にポン。
そして唐突に始まる別の話が、またブツ切りでさらに別の話に飛ぶ。
そういった感じで、何ともエンジンがかからないというか、読書のリズムに乗れないのだ。
これだけの膨大なレポートを一冊に纏めているのだから無い物ねだりかもしれないが、
もう少し「読み物」としてスラスラ読ませる工夫が欲しかった。
趣向としての読書と言うより、義務感を伴う勉強のような苦痛も正直あった。
2017年2月17日に日本でレビュー済み
実際のシリア難民と一緒に行動し、問題の本質に迫る。
今ヨーロッパに押し寄せる難民達とはどういう存在なのか。今までそれをちゃんと分かっていなかったことを痛感させられる一冊。
シリアだけではない。他の中東やアフリカからも難民はヨーロッパへ向けてやってきている。母国で人権を踏みにじられ命の危険さえある彼らは、同じく人権を踏みにじられ命の危険を冒しながら旅をしている。だから彼らに引き返すとか止めるという選択肢はない。
筆者の言うとおりだ。難民は止められないのだから止めようとしても意味がない。何百万人の難民を受け入れる体制をつくらなければより混乱が広がるだけなのだ。世界はそれを理解すべきだ。
今ヨーロッパに押し寄せる難民達とはどういう存在なのか。今までそれをちゃんと分かっていなかったことを痛感させられる一冊。
シリアだけではない。他の中東やアフリカからも難民はヨーロッパへ向けてやってきている。母国で人権を踏みにじられ命の危険さえある彼らは、同じく人権を踏みにじられ命の危険を冒しながら旅をしている。だから彼らに引き返すとか止めるという選択肢はない。
筆者の言うとおりだ。難民は止められないのだから止めようとしても意味がない。何百万人の難民を受け入れる体制をつくらなければより混乱が広がるだけなのだ。世界はそれを理解すべきだ。
2017年3月26日に日本でレビュー済み
英国誌「 ガーディアン」の移民ジャーナリストが、シリア難民ハーシム氏がスウェーデンにたどり着くまでの半年間「旅」を記録したドキュメンタリー。
この旅と交互に密航業者のビジネスや東欧諸国などの現状が織り込まれ、話に深みを与えています。
難民発生の政治的な背景までは言及されていませんが、現場の息遣いが伝わってくる、良いドキュメンタリー書だと思います。
この旅と交互に密航業者のビジネスや東欧諸国などの現状が織り込まれ、話に深みを与えています。
難民発生の政治的な背景までは言及されていませんが、現場の息遣いが伝わってくる、良いドキュメンタリー書だと思います。