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喜知次 (徳間文庫 お 42-1) 文庫 – 2015/6/5
乙川優三郎
(著)
菊枕は頭痛持ちにきくというので先祖が植えた菊が咲き、花を摘み始める頃、妹ができた。日野小太郎は五百石の祐筆の嫡男だ。赤い頬の妹を”喜知次”と呼んだ。友人の牛尾台助の父は郡方で、百姓の動き不穏のため、帰宅が遅い。少年の日々に陰を落とすのは、権力を巡る派閥闘争だった。幼なじみの鈴木猪平の父親が暗殺される。武士として藩政改革に目覚めた小太郎の成長に、猪平が心に秘めた敵討ちと喜知次への恋心を絡めて、清冽に描く傑作時代小説。
- 本の長さ477ページ
- 言語日本語
- 出版社徳間書店
- 発売日2015/6/5
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104198939772
- ISBN-13978-4198939779
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商品の説明
著者について
1953(昭和28)年、東京生れ。千葉県立国府台高校卒。’96(平成8)年に『薮燕』でオール讀物新人賞、’97年に『霧の橋』で時代小説大賞、2001年に『五年の梅』で山本周五郎賞、’02年に『生きる』で直木賞、’04年に『武家用心集』で中山義秀文学賞をそれぞれ受賞。2013年、戦後復員シーンから始まる初の戦後を舞台に木地師や古代史まで言及した壮大な作品『脊梁山脈』で第40回大佛次郎賞を受賞。以降2014年刊行の『トワイライト・シャッフル』は平成の現代を舞台にしている13の短編集。
登録情報
- 出版社 : 徳間書店 (2015/6/5)
- 発売日 : 2015/6/5
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 477ページ
- ISBN-10 : 4198939772
- ISBN-13 : 978-4198939779
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 866,569位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1953(昭和28)年、東京生れ。千葉県立国府台高校卒。’96(平成8)年に『薮燕』でオール讀物新人賞、’97年に『霧の橋』で時代小説大賞、 2001年に『五年の梅』で山本周五郎賞、’02年に『生きる』で直木賞、’04年に『武家用心集』で中山義秀文学賞をそれぞれ受賞。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 さざなみ情話 (新潮文庫) (ISBN-13: 4101192243 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年6月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
冒頭の小菊から、絵画的な美しいシーンが続きます。
また喜知次ことヒロイン・花哉が小太郎に笹舟を渡すシーンなど、いいなあと思わせる場面がいろいろ。
そうした美しさと同時に、猪平の父親がなぜ殺されたか、犯人は誰か、といった謎解きの要素が加わり、飽きさせません。
冒頭の菊を茄子畑に置き換えると、三人の親友、小太郎らの修行する秘剣、小太郎が郡方を志すなど藤沢周平の蝉しぐれや風の果てを思わせる要素があり、ついに犯人が追い詰めるところまでは本当にすばらしいです。
ところが、その後なぜその場に猪平が唐突に現れることができたのか、彼が重要な証人でもある犯人を切ってしまったため裏にあった陰謀の全容がいまひとつ解明されないこと、犯人がなぜ道場で見つからなかったか、3人の中で一番の遣い手であった台助に手傷を負わせた犯人の剣法が猪平のそれに似ていたのはなぜか、などよくわからない点がいろいろ出てきます。
その後、青年時代を過ぎた主人公らの運命が駆け足で語られるのですが、極めつけは、ヒロインが主人公を頑なに拒み学問の道を選んだことがどうやら一つの勘違いが原因だったらしいというのは、はっきり言ってがっかりしました。
この結末は多くの人が絶賛しているようですが、私にはとても納得できない虚しい読後感でした。
主人公の態度にしても、はっきり心の内を打ち明けておけば、誤解していたことが判明したやもしれず、それを武士としてとか男としてなどと母親任せにしていたのは優柔不断にしか見えません。
また、そんな大事な人の苦境を知りながら忙しさを理由に為替一つ送れないというのも、藩の重職を勤めるほどの上士としておかしいです。
この作家は、私にとって途中まで非常に面白いのですが、結末においてそりゃないでしょ、という虚しさや中途半端な終わり方をさせるものが多く、この作品も例外ではありませんでした。
面白く読めはしますが、蝉しぐれのすばらしさには遠く及びません。
また喜知次ことヒロイン・花哉が小太郎に笹舟を渡すシーンなど、いいなあと思わせる場面がいろいろ。
そうした美しさと同時に、猪平の父親がなぜ殺されたか、犯人は誰か、といった謎解きの要素が加わり、飽きさせません。
冒頭の菊を茄子畑に置き換えると、三人の親友、小太郎らの修行する秘剣、小太郎が郡方を志すなど藤沢周平の蝉しぐれや風の果てを思わせる要素があり、ついに犯人が追い詰めるところまでは本当にすばらしいです。
ところが、その後なぜその場に猪平が唐突に現れることができたのか、彼が重要な証人でもある犯人を切ってしまったため裏にあった陰謀の全容がいまひとつ解明されないこと、犯人がなぜ道場で見つからなかったか、3人の中で一番の遣い手であった台助に手傷を負わせた犯人の剣法が猪平のそれに似ていたのはなぜか、などよくわからない点がいろいろ出てきます。
その後、青年時代を過ぎた主人公らの運命が駆け足で語られるのですが、極めつけは、ヒロインが主人公を頑なに拒み学問の道を選んだことがどうやら一つの勘違いが原因だったらしいというのは、はっきり言ってがっかりしました。
この結末は多くの人が絶賛しているようですが、私にはとても納得できない虚しい読後感でした。
主人公の態度にしても、はっきり心の内を打ち明けておけば、誤解していたことが判明したやもしれず、それを武士としてとか男としてなどと母親任せにしていたのは優柔不断にしか見えません。
また、そんな大事な人の苦境を知りながら忙しさを理由に為替一つ送れないというのも、藩の重職を勤めるほどの上士としておかしいです。
この作家は、私にとって途中まで非常に面白いのですが、結末においてそりゃないでしょ、という虚しさや中途半端な終わり方をさせるものが多く、この作品も例外ではありませんでした。
面白く読めはしますが、蝉しぐれのすばらしさには遠く及びません。
2007年9月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み進むほどに話の展開が速くなり、また項の立て方も巧みで、読むのをやめられなくなる。
作者の技量の高さが伺える作品。
喜知次とは、主人公・小太郎の家に6歳でもらわれて来た義妹・花哉のあだ名。
長編が小刻みに14章に分かれているのだが、各章のポイントごとに花哉と小太郎との語らいの場面が描かれている。
その中で小太郎は、幼子だった花哉が少女へと成長して行く様子を感じ取り、同時に小太郎自身も大人へと成長して行く。
物語は、小太郎を中心とした3人の親友たちをメインに展開するのだが、
後に藩を去る猪平との別れを描いたくだりは、読んでいて涙がこみ上げて来る名シーンだ。
名前に覚えがある程度だった“郡方”“郡奉行”などといった仕事の内容もよくわかり、なかなかタメになる。
他のレビュアーの方も書いているが、内容としては藤沢周平の「蝉時雨」を思わせるような作品。
後半では幼かった兄妹や親友同士がそれぞれの道を歩み、やがて物語の終焉を迎える。
その優しさと切なさと心弱さに、なんだか読み終わったときに心が破裂するような作品である。
これは名作。
作者の技量の高さが伺える作品。
喜知次とは、主人公・小太郎の家に6歳でもらわれて来た義妹・花哉のあだ名。
長編が小刻みに14章に分かれているのだが、各章のポイントごとに花哉と小太郎との語らいの場面が描かれている。
その中で小太郎は、幼子だった花哉が少女へと成長して行く様子を感じ取り、同時に小太郎自身も大人へと成長して行く。
物語は、小太郎を中心とした3人の親友たちをメインに展開するのだが、
後に藩を去る猪平との別れを描いたくだりは、読んでいて涙がこみ上げて来る名シーンだ。
名前に覚えがある程度だった“郡方”“郡奉行”などといった仕事の内容もよくわかり、なかなかタメになる。
他のレビュアーの方も書いているが、内容としては藤沢周平の「蝉時雨」を思わせるような作品。
後半では幼かった兄妹や親友同士がそれぞれの道を歩み、やがて物語の終焉を迎える。
その優しさと切なさと心弱さに、なんだか読み終わったときに心が破裂するような作品である。
これは名作。
2009年3月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
皆さん、絶賛の作品ですが、気になった点を書きます。
文章が暗いし何かねっとりとした感じでさわやかでない。この点藤沢周平などに比べ落ちます。
また、ある意味今の時代に訴えるものがあるかといえば、キチジのような女<妹>は何処にも居ない。
男が理想とするような、ありもしない女を描いている点も、やや、リアリティにかけます。
それと、国替え以降の記述が急に、雑になっていること。
藤沢周平さんや、池波正太郎さんレベルの時代小説と比べると、やや落ちます。
文章が暗いし何かねっとりとした感じでさわやかでない。この点藤沢周平などに比べ落ちます。
また、ある意味今の時代に訴えるものがあるかといえば、キチジのような女<妹>は何処にも居ない。
男が理想とするような、ありもしない女を描いている点も、やや、リアリティにかけます。
それと、国替え以降の記述が急に、雑になっていること。
藤沢周平さんや、池波正太郎さんレベルの時代小説と比べると、やや落ちます。
2020年3月11日に日本でレビュー済み
やっぱりはずさない乙川作品。淡々とした語り口が余計に切なさを浮き立たせる。
またつい、ほかの作品が読みたくなります。
またつい、ほかの作品が読みたくなります。
2008年2月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
義理の妹として引き取られた花哉が魚の喜知次(キンキ)に似ていたので、喜知次とあだ名をつけた主人公小太郎、その友人の台助と猪平の4人の成長を描いた物語です。それぞれの人間が困難とぶつかりながら、まっすぐな人生を歩んでいきます。小太郎は次第に花哉に思いを寄せるようになり、花哉も小太郎を慕っているようですが、小太郎が花哉に求婚したとき花哉は学問の道を行くときっぱり断ります。花哉はなぜ、小太郎を断ったのか?心の底では小太郎をどう思っていたのか、その秘密が最後の章で明かされます。最後の章は「ワッ!」という感じで一気に涙があふれ出そうになる感動を覚えます。
読んでいる途中では部分的に藤沢周平の「風の果て」や「蝉しぐれ」、山本周五郎の「さぶ」などを彷彿させるような感じもありますが、最後の章を読んだときはそれらのどれでもない乙川優三郎の世界が拡がっていました。幼い頃から不幸をしっかり受け止めて生きていく花哉がとても魅力的に描かれています。台助や猪平も個性的な人物として描かれていますが、なぜか主人公の小太郎に強烈な印象が残らないのは裕福な家に育ったからでしょうか?
読んでいる途中では部分的に藤沢周平の「風の果て」や「蝉しぐれ」、山本周五郎の「さぶ」などを彷彿させるような感じもありますが、最後の章を読んだときはそれらのどれでもない乙川優三郎の世界が拡がっていました。幼い頃から不幸をしっかり受け止めて生きていく花哉がとても魅力的に描かれています。台助や猪平も個性的な人物として描かれていますが、なぜか主人公の小太郎に強烈な印象が残らないのは裕福な家に育ったからでしょうか?
2003年12月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小太郎が中心となって話は進んでいるが、主役は喜知次。喜知次って一体どんな男かと思ったら、違うんだよねぇ(笑)。それでも喜知次を通し素直になっていく小太郎、感性が穏やかになれる小太郎を見てると、喜知次というタイトルにも頷ける。
小太郎と台助と猪平との三人の幼なじみが、政治の渦に巻き込まれ苦悩する。
理不尽な仕打ちに苦しむ猪平、それは下級武士であるがためなのか。そんな猪平に何もしてやれず何も言ってあげられない二人のもどかしさ。さらに小太郎は上級武士の息子で生活が保障されてる側であり、なおさら友の窮地を自分の責のように感じる。
損得や上下関係を超えた友達は本当に何物にもかえがたいもの。そんな三人の友情が固く結ばれているのを読むのは嬉しい。
苦難にめげることなく前向きに生きて欲しい。
自分の信念を信じ世のために働いていって欲しい。
小太郎と台助と猪平との三人の幼なじみが、政治の渦に巻き込まれ苦悩する。
理不尽な仕打ちに苦しむ猪平、それは下級武士であるがためなのか。そんな猪平に何もしてやれず何も言ってあげられない二人のもどかしさ。さらに小太郎は上級武士の息子で生活が保障されてる側であり、なおさら友の窮地を自分の責のように感じる。
損得や上下関係を超えた友達は本当に何物にもかえがたいもの。そんな三人の友情が固く結ばれているのを読むのは嬉しい。
苦難にめげることなく前向きに生きて欲しい。
自分の信念を信じ世のために働いていって欲しい。
2015年6月9日に日本でレビュー済み
藩の抗争に紛れ込んだ、3人の若者の人生を描く、傑作。喜知次とは、魚のなまえとは、白なんだ。