無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
夏草の記憶 (文春文庫 ク 6-9) 文庫 – 1999/9/1
三十年前の痛ましい事件。被害者の少女に恋心を抱いていた少年が胸に秘めていた事件の真相は、誰もが予想しえないものだった!
- 本の長さ449ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日1999/9/1
- ISBN-104167218585
- ISBN-13978-4167218584
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (1999/9/1)
- 発売日 : 1999/9/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 449ページ
- ISBN-10 : 4167218585
- ISBN-13 : 978-4167218584
- Amazon 売れ筋ランキング: - 163,820位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2018年1月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ジェフリー・ディーヴァーのようなジェットコースター・ミステリも大好きだけど、トマス・H・クックは、全く違う作風ながら、読むのが止められない。全く日常的な、静謐な展開なのに、この先どうなるのか気になり、読むのを止められない。こういう読書体験は記憶になく、作者の力量のすごさを感じる。地味で、すごい。
2012年8月24日に日本でレビュー済み
確かにラストは驚いたのですが、1箇所だけ書き方がアンフェアだった所があります。
それさえなければ、見事に騙されたと素直に思えたと思います。
実は、このお話は1日しか経過していません。その中で、より遠くの過去と
近くの過去と現在が行ったり来たりします。お得意の心理描写はさすがクックで
最後まで読ませるのですが、空想シーン等で少しだらけるところもありました。
しかし、終わりが始まりとなるラストシーンはどこか切ないものがあって
余韻が残ります。
ミステリーともサスペンスとも言いがたい小説なのですが、青春時代の
苦い想い出話であるこの作品は、中々良い出来なのではないかと思います。
それさえなければ、見事に騙されたと素直に思えたと思います。
実は、このお話は1日しか経過していません。その中で、より遠くの過去と
近くの過去と現在が行ったり来たりします。お得意の心理描写はさすがクックで
最後まで読ませるのですが、空想シーン等で少しだらけるところもありました。
しかし、終わりが始まりとなるラストシーンはどこか切ないものがあって
余韻が残ります。
ミステリーともサスペンスとも言いがたい小説なのですが、青春時代の
苦い想い出話であるこの作品は、中々良い出来なのではないかと思います。
2018年11月8日に日本でレビュー済み
それにしたって、この親子を三十数年の間、誰もサポートしてこなかったの?
南部の小さな町ってそんな冷酷な地域なのかなあ?
と書いて終りにするつもりでしたが、書くとなれば、言いたいことが出てきます。
それで、以下の追加。
ついでに書いてしまうと、ハートブレイク・ヒルでいったい何があったのか、保安官がてんで分からないとのたまわっているけど、岩に血があって、頭部のキズの形状を鑑識すれば、事件の経緯はカンタンに分かるはず。そこで、重症を負ってから、被害者自身の力で這い上がったくらいのことも現場を検証すれば分かるでしょう。
タイヤ跡を調べて、ケリー周辺の人物の所有車と照合すればヒルの麓に自動車で乗り付けて、ケリーと会談したとおぼしきその人物が「犯人」だとすぐに割り出せるはず。それくらい出来なければ司法組織ではない。一般市民がまったく独力で事件に当たらなければならないならまた別だけどそういうストーリーではありませんね。
この小説は結局「叙述トリック」。
現在と過去を行ったり来たりして、読者を翻弄すること自体はもちろん大いに結構なのですが、叙述の向こう側にある現実に整合性がないとストーリーは破綻しますね。
ボワロー&ナルスジャックの推理小説論みたいに、小説全体が一つの悪夢であるならいいけど、保安官がまったくの間抜けでないと話が成立しないのでは困ります。
例によって、ぐいぐいと引き込まれてしまうストーリー・テリングは強力なのだけど、
真相を知らされてみると、基本のプロットに無理があるように思います。
南部の小さな町ってそんな冷酷な地域なのかなあ?
と書いて終りにするつもりでしたが、書くとなれば、言いたいことが出てきます。
それで、以下の追加。
ついでに書いてしまうと、ハートブレイク・ヒルでいったい何があったのか、保安官がてんで分からないとのたまわっているけど、岩に血があって、頭部のキズの形状を鑑識すれば、事件の経緯はカンタンに分かるはず。そこで、重症を負ってから、被害者自身の力で這い上がったくらいのことも現場を検証すれば分かるでしょう。
タイヤ跡を調べて、ケリー周辺の人物の所有車と照合すればヒルの麓に自動車で乗り付けて、ケリーと会談したとおぼしきその人物が「犯人」だとすぐに割り出せるはず。それくらい出来なければ司法組織ではない。一般市民がまったく独力で事件に当たらなければならないならまた別だけどそういうストーリーではありませんね。
この小説は結局「叙述トリック」。
現在と過去を行ったり来たりして、読者を翻弄すること自体はもちろん大いに結構なのですが、叙述の向こう側にある現実に整合性がないとストーリーは破綻しますね。
ボワロー&ナルスジャックの推理小説論みたいに、小説全体が一つの悪夢であるならいいけど、保安官がまったくの間抜けでないと話が成立しないのでは困ります。
例によって、ぐいぐいと引き込まれてしまうストーリー・テリングは強力なのだけど、
真相を知らされてみると、基本のプロットに無理があるように思います。
2016年6月20日に日本でレビュー済み
「アメリカ南部アラバマ州の小さな田舎町。献身的な町の名医として尊敬を集めるベンは、高校時代の親友ルークと今もよく会っている。ベンの妻はやはり同級生だったノーリーン。高校当時、全校女子生徒憧れの的だったモデルのようにハンサムなトッドは、やはり当時のガールフレンドで美貌で有名だったメアリーと結婚しているが、今は酒におぼれて見る影もない。二人共すっかり老け込んでしまいあまり幸せそうではない。
ベンは当時、転校生としてやってきたケリーと共に学校新聞の編集に携わっていた。強い意志と鮮烈な個性を持っていた魅力的なケリー。彼は彼女に恋していたが、それは苦しい片思いだった。
ある日、通称ブレイクハート・ヒルというまだ黒人奴隷がいた時代にひどい差別が行われていた丘で、ケリーが何者かに襲われる。そしてその事件は終生、当時の関係者たちの人生に暗い影を落としたままだ。実際に起きたのはいったいどういうことだったのか?誰が、誰に、何をしたのか?
ベンをはじめとして関係者たちには、みんな口をつぐんで隠していることがあった・・・それは・・・。」
他の少女にはない鮮烈な魅力を持つヒロイン。苦しいくらいの思い、けれど怖くて伝えることができない、主人公は、あくまでも親友のポジションでいようとして、ふられる恐怖から逃げています。その情けなさ。思い切って告白しようとしたまさにその時、彼女の心は他の男にあるとわかってしまいます。2人の両思いによって、彼らを愛していたまわりの人たちも苦しみます。どこかよそへ行けば忘れられるのかもしれない、けれど田舎の小さな町で、同じ人たちが同じように年を取りながら、顔をあわせて暮らしていくような場所だから、苦しみが終わることがありません。
ただただ名作だとしか言いようがないと思いました。有名なトマス・クックの名前はよく聞いていたけれど、読んだのは実は初めてでした。言っちゃなんですが、アメリカ人がこんな話を書けるとは思いませんでした(^^;。静謐で哀愁に満ちて、取り返しのつかない過去を慕い、ひしひしと胸に迫るような、そんな物語。しかも舞台が荒くれの印象があるアメリカ南部だというから、それもまた意外でした。ミステリのジャンルに分類されていますが、むしろ青春小説の要素が強いと思います。真相はすでにそこにあって、それにまつわる主人公の過去の回想を描いているだけで、今から過去の事件を解決するとかそういう話ではありません。謎解きにおもしろさを求める人にはイマイチかと思います。むしろ文学に近いのでは・・。けれど、強烈な印象でした。このような見事な小説を今まで知らずにいたなんて。クック氏の他の作品もぜひ読んでみたいと思いました。
ベンは当時、転校生としてやってきたケリーと共に学校新聞の編集に携わっていた。強い意志と鮮烈な個性を持っていた魅力的なケリー。彼は彼女に恋していたが、それは苦しい片思いだった。
ある日、通称ブレイクハート・ヒルというまだ黒人奴隷がいた時代にひどい差別が行われていた丘で、ケリーが何者かに襲われる。そしてその事件は終生、当時の関係者たちの人生に暗い影を落としたままだ。実際に起きたのはいったいどういうことだったのか?誰が、誰に、何をしたのか?
ベンをはじめとして関係者たちには、みんな口をつぐんで隠していることがあった・・・それは・・・。」
他の少女にはない鮮烈な魅力を持つヒロイン。苦しいくらいの思い、けれど怖くて伝えることができない、主人公は、あくまでも親友のポジションでいようとして、ふられる恐怖から逃げています。その情けなさ。思い切って告白しようとしたまさにその時、彼女の心は他の男にあるとわかってしまいます。2人の両思いによって、彼らを愛していたまわりの人たちも苦しみます。どこかよそへ行けば忘れられるのかもしれない、けれど田舎の小さな町で、同じ人たちが同じように年を取りながら、顔をあわせて暮らしていくような場所だから、苦しみが終わることがありません。
ただただ名作だとしか言いようがないと思いました。有名なトマス・クックの名前はよく聞いていたけれど、読んだのは実は初めてでした。言っちゃなんですが、アメリカ人がこんな話を書けるとは思いませんでした(^^;。静謐で哀愁に満ちて、取り返しのつかない過去を慕い、ひしひしと胸に迫るような、そんな物語。しかも舞台が荒くれの印象があるアメリカ南部だというから、それもまた意外でした。ミステリのジャンルに分類されていますが、むしろ青春小説の要素が強いと思います。真相はすでにそこにあって、それにまつわる主人公の過去の回想を描いているだけで、今から過去の事件を解決するとかそういう話ではありません。謎解きにおもしろさを求める人にはイマイチかと思います。むしろ文学に近いのでは・・。けれど、強烈な印象でした。このような見事な小説を今まで知らずにいたなんて。クック氏の他の作品もぜひ読んでみたいと思いました。
2003年8月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
過去と現在をカットバックで描く記憶シリーズのスタイルが、
見事にストーリーと結びついた作品。
結末は、意外で、そして、切なく、心にグサリときます。
クックの作品の中では、「心の砕ける音」と並んで、
私の、一番、好きな作品です。
見事にストーリーと結びついた作品。
結末は、意外で、そして、切なく、心にグサリときます。
クックの作品の中では、「心の砕ける音」と並んで、
私の、一番、好きな作品です。
2011年5月13日に日本でレビュー済み
ベンは町の名医として尊敬をあつめている。ただ、30年前に起こった痛ましい事件が彼の表情や内面に暗い翳を射している。
本書の表紙であるが、この少女が痛ましい犠牲になったモデルと思われる。それはまた、ベンの初恋の女性でもあった。
このような感情を秘めながら、事件を語っていくのだが、いつものように様々な事象が、静かな語り口の中で小出しされていく。
歳は取ったが、初恋の感情は自然に感情移入ができた。
本書は「記憶シリーズ」の3巻目(「緋色の記憶」「死の記憶」「夏草の記憶」)で、これが最終巻になる。それにしてもラストはびっくりした。
本書の表紙であるが、この少女が痛ましい犠牲になったモデルと思われる。それはまた、ベンの初恋の女性でもあった。
このような感情を秘めながら、事件を語っていくのだが、いつものように様々な事象が、静かな語り口の中で小出しされていく。
歳は取ったが、初恋の感情は自然に感情移入ができた。
本書は「記憶シリーズ」の3巻目(「緋色の記憶」「死の記憶」「夏草の記憶」)で、これが最終巻になる。それにしてもラストはびっくりした。
2011年6月25日に日本でレビュー済み
クックの作品はこの夏草の記憶がはじめてでした。中盤までは起伏もなだらかでたんたんと話が進みますが、驚くほどにそれが苦痛にならない。クックの一文一文があまりにも心地良い。時間さえあればいつまでも読んでいたくなるような切なくて心に響くすばらしい文体でした。ここまで心地良かったのは(私は基本的に一日一冊本を読むが)久々でした。また主人公に多くの読者が共感しただろうと推測できます。ラストも衝撃的でした。まさか……ね。心に深く残留する作品が私は好みなので、そういった意味ではこの著書はかなりの高得点でした。
2007年8月8日に日本でレビュー済み
書評というより感想ですが、衝撃でした。宮部みゆきのように「ぐいぐい」とひっぱるスピード感はないが、 淡々と語られる過去につながる事実と主人公の心象風景に自分の青年時代を重ねてしまいます。 そう、誰でもが通過する切ない、しかし真剣で思いつめた頃を自分に重ねて読み進んでしまいます。描写はミステリーという領域ではなく、文学と言って良いのではないないでしょうか。夏目漱石の「こころ」と比べても良いかと思います。そして、衝撃の結末です。久しぶりに感動、堪能しました。