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みみずくは黄昏に飛びたつ: 川上未映子 訊く/村上春樹 語る (新潮文庫) 文庫 – 2019/11/28
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- 本の長さ469ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2019/11/28
- 寸法10.6 x 1.5 x 15.1 cm
- ISBN-104101001758
- ISBN-13978-4101001753
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 文庫版 (2019/11/28)
- 発売日 : 2019/11/28
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 469ページ
- ISBN-10 : 4101001758
- ISBN-13 : 978-4101001753
- 寸法 : 10.6 x 1.5 x 15.1 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 67,954位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン 歯ー、または世界』で第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』、『すべて真夜中の恋人たち』など著書多数。
2019年、第73回毎日出版文化賞受賞した『夏物語』は、20年ニューヨーク・タイムズが選ぶ「今年読むべき100冊」やTIMEの「今年のベスト10冊」などにも選ばれ、現在40カ国以上で刊行が進められている。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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私は、川上さんよりもっと下の世代ですが、村上春樹さんの小説は10代から読んでいて、すごく身近な作家です。こんな感じに切って煮たり、焼いたりできるのは川上さんしか、いないんじゃないかと春樹さんファンとしては、感じました。
今回の対談も、「どれケチをつけてやるか」と言う程度の不純な動機で手にしたが、意外にも不快は感じなかった。おそらく川上が大物作家の前で自分を抑制したため、彼女のアクの強さが薄まり、代わりに村上春樹の作品への真摯な姿勢だけがクローズアップされたためだろう。
だが、不快に感じなかったというだけで、面白く心に残ったかというとそうでもない。思うにこの本を手にとったとき、無意識に言葉上でのデスマッチを期待していたのだろう。何せ川上は今やヒステリックなジェンダー論の急先鋒である。それは村上春樹の手当たりしだいのセックス描写とは相容れないものなのではないか。村上にしつこく噛みつき、付け焼き刃のジェンダー論の化けの皮が剥がれる、もしくは村上の方の皮が剥がれてただのエロオヤジの本性がむき出しになる、と言ったような下世話な期待をしていたのだが、そんなことは起こらず至極大人の問答が続く。不快は感じないが予定調和な問答に、読後残るものはなかった。そもそも村上は本人が認めるように「普通の人」で小説を書くときだけ異様な熱量を発揮する。一種のトランス状態なのかもしれない。だが一度執筆を離れれば、語り口は非常に淡々としており、他のインタビューや講演記録を読んでも、例えば辻邦夫の「言葉の箱」のような、胸に迫るような「これしかない」と言う熱量を感じない。芸術家というより、有能なビジネスマンのような風情なのだ。炎上芸を封印した新進作家と、有能なビジネスマンの対話であるから、盛り上がらないはずである。ただ抑制した川上の前では村上の冷淡な容赦のなさは魅力的に感じられた。特に、所謂半径5メートルの物語に終始する現代純文学を担う重要人物の一人である川上に、私小説における近代的自我に興味がないと終始言い続ける、また「地下二階」談義において、「地下一階」をうろつく現代小説への冷めた態度を崩さない様には溜飲が下がった。抑制した川上はそれに反論することもなく自らそれを「クヨクヨ室」などと揶揄する。それも自嘲的にですらなく、完全に自分を棚に置いて村上に同調するそのコウモリ具合である。村上がどのような質問に対しても動揺も見せず確固たる意志を貫いているのに対し、その卑小さは気の毒にすら感じた。これが格闘技だとしたら村上の不戦勝と言ったところか。
結局のところ、川上の鼻っ柱の強さは、チャームポイントでもあるのかもしれない。次回があれば川上も少しそれを自覚して、人気者におもねるばかりではなく、何にでも噛み付く面倒臭い女、という個性を大いに発揮して欲しいところである。
結構突っ込んで聞くんだなと興味深い質疑応答でした。
楽しく読ませてもらいました。