いまや国民食ともいえる「カレー」もちろんルーツはインドだが、日本人のいうカレー、そう、給食で食べるあのカレー、お母さんがつくってくれるあのカレーは、インドカレーとはまったく別の食べ物だ。なぜか、それはインドを植民地としていたイギリスで独自に生まれた「ブリティッシュカレー」がそのルーツだから。それが定説。趣味が高じてちょっと名の知れた“カレーの人”となった著者もとくにそのことについては深く考えたことがなかったが、あるときそのブリティッシュカレーがいかなるものだったのかを知りたいという欲求にとりつかれ、その謎を足跡をたどる旅に出る。まずは日本に最初にカレーが入ってきたであろう商用港を、そして「海軍カレー」を追って旧軍用港を巡る。めぼしい成果なし。長崎のバーで常連の女性客になぐさめられたり、佐世保のスナックで老婆と密着ダンスをしたりしたりと、100ページあたりまで、カレー脳が空回りしているとほほ旅が続く。港を巡るというのは筋のいいプランだと思ったけど、全然じゃないか。もうなにやってんだ、はやくイギリス行け!と思いながらこのあたりまで読んだ。
そしていよいよイギリスに旅立つ。そのために著者はなんと会社を辞める。おお、やっと本気出したか!しかしそうまでして行ったロンドンでまたグズグズする。いや、大英図書館でミセス・ビートンの料理本に実際に目を通してみたり、パブでカレーとつくメニューを片っぱしから食べたり、有名シェフに突撃インタビューをしたり、かと思えば超高級モダンインド料理の店で自分を見失いそうになったり……あれ、意外にちゃんと頑張ったんだけど、奮闘もむなしく、日本カレーのルーツについての手がかりはロンドンにはなかった。で、パリへ。フランスでは「カレー=カレー粉」であるということ、フランス料理で玉ねぎをアメ色にするものは「ない」という事実などがわかった。その後カリーヴルストにわずかな望みを次いでドイツに渡るが、それはソーセージ文化の中のカレーであって、イギリス生まれのカレー文化、ましてや日本のカレー文化との接点はなかった。
失意のうちに帰国して再就職。「日本最古のカレーは赤蛙のカレーだった」という定説をくつがえす新発見をしたものの、とくにニュースになることもなく、日々は過ぎて行く。しかし、ロンドンに置いてきたのはほろ苦い思い出だけではなかった。著者に触発されてカレー脳が作動し始めたロンドンの友人が、ブリティッシュカレーの追跡を勝手に引き継いで次々と新たな仮説を打ち立てていた。その際たるものは、ロンドンに滞在してブリティッシュカレーのルーツをさぐるのは「関西で納豆のルーツを探る」くらい的外れなものだったのでは、という指摘。これは著者にとっては天啓のようなものだった。
そして彼は再び旅立つ。その先はネタバレになるから言わないけれど、その先の先をいえば、結局は「青い鳥」の物語だ。
読みながら、『ラーメンと愛国』(速水健朗)という少し前の本を思い出した。中国人居留地の屋台料理だった南京そばが日本の「国民食」に変化した背景を追ったノンフィクションだ。そのなかで著者は、日本全国に出現したご当地ラーメンは戦後の国土開発の落とし子であるとか、作務衣系ラーメンr職人の匠的イメージは自己啓発文化の象徴である、といった論を展開しながら、ジャーナリスティックな視点で語っている。いっぽうで『幻の黒船カレーを追え』は、ジャーナリズムではない。なんというか、もっと肩の力が抜けている。あくまでもパーソナルでセンチメンタル。カレーの話をしていたかと思えば、「幼い頃、僕は死ぬのが怖かった」なんてどきっとするような打ち明け話をしたり、学生のときの貧乏旅行の思い出が語られたりする。こういうくだりを読むと旅というのは空間移動にとどまらず、時間移動の契機なのだなと改めて思ったりする。
ブリティッシュカレーの正体を追うなかで、(ミセス・ビートンのベストセラーとなった料理本のレシピは彼女のオリジナルではなく一般人からの投稿を集めたものだった/ペリー来航より前に函館には黒船がどんどん来ていた/旧帝国海軍に「金曜日の昼ににカレーを食べる」という習慣はなかった/日本最古のカレーは「赤蛙(RED FROG)のカレー」などではなく地鶏(RED FOWL)のカレーだった……)もしかしたらその分野では大発見かもしれないような事実も掘り起こしているのだが、そこは深追いしない。もうちょっと突っ込んでみたらどうか、と正直思うところもなくはなかったが、たかがカレー。このくらいのゆるさがちょうどよいのかもしれない。
この本の本当の読みどころはそういうところではではなく、もっといえばカレーですらない。「そぞろ神のものにつきて心をくるはせ、道祖神のまねきにあひて取るもの手につかず……」と芭蕉がうまいこといってるあの、ある日突然日常に挿しこんでくる漂泊願望をそのまま行動にうつしてしまったという非常識な大人の心の軌跡。ちょっとした葛藤と後悔と希望と発見と、そんなものをいっしょくたにぐつぐつ煮込んで料理に仕立てたような不思議な味わいのある本だ。
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幻の黒船カレーを追え 単行本 – 2017/8/8
水野 仁輔
(著)
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カレーライスのルーツを探りにヨーロッパへ
幕末に日本に上陸したといわれるカレー。それは一体どこから来たのか、そしてその味はどんなものだったのか?40冊以上のレシピ本を上梓し、カレー研究家として絶大な人気を誇る著者。その著者が、長年に渡って疑問に抱いていたカレーライスのルーツを追跡する旅に出た。黒船が寄港した横須賀、舞鶴、函館、呉、長崎の港町へ。そして、海を渡りイギリス・ロンドン、フランス、ドイツ、アイルランド……。国内外を4年間かけて徹底取材。150年前に日本に上陸したカレーのルーツは果たしてどこに?取材を続けるうちに、妻と3人の子供を抱えた著者の人生も激変……。前代未聞の熱くて笑えるエンタメノンフィクション!
幕末に日本に上陸したといわれるカレー。それは一体どこから来たのか、そしてその味はどんなものだったのか?40冊以上のレシピ本を上梓し、カレー研究家として絶大な人気を誇る著者。その著者が、長年に渡って疑問に抱いていたカレーライスのルーツを追跡する旅に出た。黒船が寄港した横須賀、舞鶴、函館、呉、長崎の港町へ。そして、海を渡りイギリス・ロンドン、フランス、ドイツ、アイルランド……。国内外を4年間かけて徹底取材。150年前に日本に上陸したカレーのルーツは果たしてどこに?取材を続けるうちに、妻と3人の子供を抱えた著者の人生も激変……。前代未聞の熱くて笑えるエンタメノンフィクション!
- 本の長さ269ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2017/8/8
- ISBN-104093885699
- ISBN-13978-4093885690
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登録情報
- 出版社 : 小学館 (2017/8/8)
- 発売日 : 2017/8/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 269ページ
- ISBN-10 : 4093885699
- ISBN-13 : 978-4093885690
- Amazon 売れ筋ランキング: - 789,175位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 205,954位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年9月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年12月3日に日本でレビュー済み
p222で「海軍兵が嘘をついているとは思わない」と、慎重な言いかたをしていますが、テレビ番組は、都合のいい少数の証言を集めて作られているかもしれません。
TBSの人気番組『世界ふしぎ発見!』が放送した「日本カレー秘話」(2015.11.7)に疑問を呈すのは、それなりの冒険です。一度広まってしまった(間違った)情報や知識を覆すのは大変なことです。それに挑戦している水野さんは、それなりに応援したいです。
森枝卓士さんが書いた『カレーライスと日本人』(1989年、講談社新書)は、「日本のカレー史」の礎石になったことは疑いありません。しかし30年近くたった今、見直しが行われてもいいでしょう。
(一度目の投稿)
これ、水野さんの作家デビュー作になるんでしょうか。日本のカレーマニアの間では有名とはいえ、40代のおじさんの冒険記です。大量のカレー料理のレシピを出版していて、私も何冊も買わされましたが、GMナイルさんへのインタビューをまとめた『銀座ナイルレストラン物語』はいい仕事でした。
感想は、おもしろかったです。ただし著者の奮闘の甲斐なく、日本のカレーの原型はみつかりませんでした。蜃気楼のように近づいたと思ったら遠ざかる。その繰り返し。
本の終盤、アイルランドのパブで「ようやく日本のカレーのツールがみつかった!」と感激したのもつかのま、シェフにどうやって作っているのか聞くと、なんとインスタントのカレーペーストを使っていたことがわかりました。しかもそれは中国メーカーの製品でした。
著者もわれわれもがっかりされられますが、インスタント製品ができる前はきっと手間をかけて一から作っていたのでしょう。ラストで水野さんが、「私はこれからもカレーを追い続ける」みたいな決意表明をしていて、ここらへんは個人的に、麻薬中毒の作家として知られるウィリアム・バロウズの作家デビュー作『ジャンキー』を思い出させました。カレーは麻薬です。
TBSの人気番組『世界ふしぎ発見!』が放送した「日本カレー秘話」(2015.11.7)に疑問を呈すのは、それなりの冒険です。一度広まってしまった(間違った)情報や知識を覆すのは大変なことです。それに挑戦している水野さんは、それなりに応援したいです。
森枝卓士さんが書いた『カレーライスと日本人』(1989年、講談社新書)は、「日本のカレー史」の礎石になったことは疑いありません。しかし30年近くたった今、見直しが行われてもいいでしょう。
(一度目の投稿)
これ、水野さんの作家デビュー作になるんでしょうか。日本のカレーマニアの間では有名とはいえ、40代のおじさんの冒険記です。大量のカレー料理のレシピを出版していて、私も何冊も買わされましたが、GMナイルさんへのインタビューをまとめた『銀座ナイルレストラン物語』はいい仕事でした。
感想は、おもしろかったです。ただし著者の奮闘の甲斐なく、日本のカレーの原型はみつかりませんでした。蜃気楼のように近づいたと思ったら遠ざかる。その繰り返し。
本の終盤、アイルランドのパブで「ようやく日本のカレーのツールがみつかった!」と感激したのもつかのま、シェフにどうやって作っているのか聞くと、なんとインスタントのカレーペーストを使っていたことがわかりました。しかもそれは中国メーカーの製品でした。
著者もわれわれもがっかりされられますが、インスタント製品ができる前はきっと手間をかけて一から作っていたのでしょう。ラストで水野さんが、「私はこれからもカレーを追い続ける」みたいな決意表明をしていて、ここらへんは個人的に、麻薬中毒の作家として知られるウィリアム・バロウズの作家デビュー作『ジャンキー』を思い出させました。カレーは麻薬です。
2018年6月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ドラマチックな体験談を楽しませてもらいました。カレーに関する歴史的な理解が深まります。
2017年10月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
カレーは好きな方だが、毎日食べたり、カレーイベントに出かけたりする訳ではない。が、日本のカレーがインドからではなく、イギリスからもたらされたと言われていることは知っていた。著者はカレー界の有名人で、日本のカレーのオリジンを探す旅がこの本。サラリーマンを辞めて旅に出るセンチメンタルな感情を絡めて綴っている。カレーの本としては、ずいぶん回り道をしたり、詰めが甘い感じはする。が、ちょっとひいき目に見れば『深夜特急』を思い出させる旅の本だと考えれば、サラリーマンとしては、こんな旅がしてみたいと思う。
2018年9月9日に日本でレビュー済み
書いてもいいんじゃないかな。
結局著者は、海軍カレーのルーツは見つけられませんでした。でもまだ探すって。
本として。途中がちょっともういいよ、ってなった。中だるみ…
カレーの大家の本について書くのははばかられるけど…
カレーはインド発祥といわれるけれど、日本に入ってきたカレーは、イギリスの…まいっか。S&Bのカレー粉に基づきます。…といわれている。そして、玉ねぎをあめ色になるまで炒めるのが基本と言われますが…
なおたぶんインドにカレーは存在しません。ありふれすぎててそれなぁに?の次元。日本の煮物料理をすべて醤油煮でくくられてそれに名前つけろと言われても困る…と同じじゃないかと思う。
そもそも日本で上記常識が覆されます。
じゃぁベースは何よ? 実はフランス料理の技法がベースか?
そんなことを考えつつ、渡英します。
そしたら…カレーっぽいのがなかった。ありゃ。
そういえば、タンドリーチキンもカレーっぽい何かか?
言われてみれば…
技法的には、カレーってどこの料理よ?そこそこ料理をしてて、カレーの技法がどこ系統と聞かれると、かなりごった煮。
本読んでて、う、って思ったのが、カレーはどこの国ですか? と言われて、知ってはいたけど出てこなかったのはドイツとアイルランド。カリーヴルストなんて、あまりドイツって考えなかった。でもあっちじゃメジャーみたい。
アイルランドはシチューのイメージあるけど、シチューにカレー粉ぶち込めばカレーだしね…
もしかするとラーメンと同じ様に、ルーツを探るとよくわかんないことになるのかも。
錯乱した感じのレビューになりました。
著者と一緒にカレーを追いかけてみたい人はぜひ読んでください。
なお著者が書いてまして、んーと思いましたが…
欧風カレーは存在しません…
著者と一緒に
結局著者は、海軍カレーのルーツは見つけられませんでした。でもまだ探すって。
本として。途中がちょっともういいよ、ってなった。中だるみ…
カレーの大家の本について書くのははばかられるけど…
カレーはインド発祥といわれるけれど、日本に入ってきたカレーは、イギリスの…まいっか。S&Bのカレー粉に基づきます。…といわれている。そして、玉ねぎをあめ色になるまで炒めるのが基本と言われますが…
なおたぶんインドにカレーは存在しません。ありふれすぎててそれなぁに?の次元。日本の煮物料理をすべて醤油煮でくくられてそれに名前つけろと言われても困る…と同じじゃないかと思う。
そもそも日本で上記常識が覆されます。
じゃぁベースは何よ? 実はフランス料理の技法がベースか?
そんなことを考えつつ、渡英します。
そしたら…カレーっぽいのがなかった。ありゃ。
そういえば、タンドリーチキンもカレーっぽい何かか?
言われてみれば…
技法的には、カレーってどこの料理よ?そこそこ料理をしてて、カレーの技法がどこ系統と聞かれると、かなりごった煮。
本読んでて、う、って思ったのが、カレーはどこの国ですか? と言われて、知ってはいたけど出てこなかったのはドイツとアイルランド。カリーヴルストなんて、あまりドイツって考えなかった。でもあっちじゃメジャーみたい。
アイルランドはシチューのイメージあるけど、シチューにカレー粉ぶち込めばカレーだしね…
もしかするとラーメンと同じ様に、ルーツを探るとよくわかんないことになるのかも。
錯乱した感じのレビューになりました。
著者と一緒にカレーを追いかけてみたい人はぜひ読んでください。
なお著者が書いてまして、んーと思いましたが…
欧風カレーは存在しません…
著者と一緒に
2017年10月4日に日本でレビュー済み
物事の調査というのは難しいものです。かの川口浩探検隊、そして近いところでは藤岡弘探検隊でも、何か不可思議な生物の噂があってすぐ現地を探していましたが、実際にはそれを見つけることは出来ず、しかし何らかの痕跡をもって「確かに実在した!」と断言して終わるのが定番となっていました。この本はそれによく似ています。
自らを「カレースター」と名乗る水野氏は日本でカレーのルーツを見つけることができず、英国に飛びます。大英図書館の奥底にある明治維新少し前に発行された「ビートン夫人の家政読本」という本を熟読します。そしてそこに、自分の求めるものがあり、求めているものがないことを知ります。
非常に探検隊シリーズにそっくりな展開です。なぜなら「ビートン婦人の家政読本」は、原題「The Book of Household Management」(Mrs. Beetonを加えて検索するとなおいい)で検索すれば、邦訳の本こそないものの、Project Gutenberg(海外版青空文庫というか、青空文庫のルーツとも言えるサイトです)に全文が公開されているからです。別にイギリスにまで言って調べる必要のないものをわざわざ渡英してまで調べ、調べた結果に喜んだり落胆したりしてみせる。
調べる必要があると思われる方はProject Gutenbergで件の本を読んで読み比べればいいでしょう。時間のない人はこのレビューの表題で検索すれば、おそらく水野氏がこの本を読んでいないであろうことを指摘するブログのエントリが見つかります。
その上でもう一度この本の表題を読み返してください。タイトルが「探検隊」シリーズに酷似していることに気がつくはずです。おそらく水野氏は自分がカレーの第一人者であるという肩書を捨ててまで「探検隊」テイストのある本を作りたかったのでしょう。そういう自虐が好きな方にはおすすめです。逆に、何か真面目な調査結果があると期待する方にはおすすめしません。ここにレビューを書かれた方の中にもそういうのを期待して真面目なレビューを書いている方がいるようです。その方に心から同情します。
自らを「カレースター」と名乗る水野氏は日本でカレーのルーツを見つけることができず、英国に飛びます。大英図書館の奥底にある明治維新少し前に発行された「ビートン夫人の家政読本」という本を熟読します。そしてそこに、自分の求めるものがあり、求めているものがないことを知ります。
非常に探検隊シリーズにそっくりな展開です。なぜなら「ビートン婦人の家政読本」は、原題「The Book of Household Management」(Mrs. Beetonを加えて検索するとなおいい)で検索すれば、邦訳の本こそないものの、Project Gutenberg(海外版青空文庫というか、青空文庫のルーツとも言えるサイトです)に全文が公開されているからです。別にイギリスにまで言って調べる必要のないものをわざわざ渡英してまで調べ、調べた結果に喜んだり落胆したりしてみせる。
調べる必要があると思われる方はProject Gutenbergで件の本を読んで読み比べればいいでしょう。時間のない人はこのレビューの表題で検索すれば、おそらく水野氏がこの本を読んでいないであろうことを指摘するブログのエントリが見つかります。
その上でもう一度この本の表題を読み返してください。タイトルが「探検隊」シリーズに酷似していることに気がつくはずです。おそらく水野氏は自分がカレーの第一人者であるという肩書を捨ててまで「探検隊」テイストのある本を作りたかったのでしょう。そういう自虐が好きな方にはおすすめです。逆に、何か真面目な調査結果があると期待する方にはおすすめしません。ここにレビューを書かれた方の中にもそういうのを期待して真面目なレビューを書いている方がいるようです。その方に心から同情します。
2017年9月14日に日本でレビュー済み
これを論文だとすれば未完。公表は時期尚早だ。探していたもののしっぽを掴んだのかもしれないのだ。それも、もう自由の身。調べる時間はいくらでもあるのに。
ただ、等身大のサラリーマン(と言い難いところは多いが)が、自分のこだわりを追い求めるノンフィクションと捉えれば面白い。趣味の枠を超えてしまったカレーに対する気持ちを整理できない、子供も抱えて身動きできないはずの不惑の男が、会社を辞めてしまう。。。妻に許された3ヵ月だって決して効率的に過ごしているとは思えない。他人事なのに(自己?)嫌悪みたいなものや焦燥感を感じてしまう。
そして、とうとう探していた黒船カレーのしっぽを掴んだ(かもしれない)。お題が国民食のカレーということもあり、楽しく読める、新しいタイプの冒険ノンフィクションといってもいいくらいだ。
ただ、等身大のサラリーマン(と言い難いところは多いが)が、自分のこだわりを追い求めるノンフィクションと捉えれば面白い。趣味の枠を超えてしまったカレーに対する気持ちを整理できない、子供も抱えて身動きできないはずの不惑の男が、会社を辞めてしまう。。。妻に許された3ヵ月だって決して効率的に過ごしているとは思えない。他人事なのに(自己?)嫌悪みたいなものや焦燥感を感じてしまう。
そして、とうとう探していた黒船カレーのしっぽを掴んだ(かもしれない)。お題が国民食のカレーということもあり、楽しく読める、新しいタイプの冒険ノンフィクションといってもいいくらいだ。