自由、平等についてのロックとルソーの違いを説明したあと、ロック的な社会に対するルソー側からの試みを軸にわかりやすく近現代史をまとめています。
「専門家」からみてどうなのかはわかりませんが、非常にわかりやすく、説得力があります。頭の中に整理しきれてなかったことが綺麗にまとめられたような読後感です。
「専門家」に対する筆者のぼやきなどもありますが、全体的に丁寧で読みやすい本でした。
別のレビューでLとRが逆だとの指摘がありますが、筆者も「LとRの対応がちょうど逆になってしまうのは非常に残念です」と記述しているように、ロックが右の代替でルソーが左、が筆者の意図している構図です。
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資本主義に出口はあるか (講談社現代新書) 新書 – 2019/8/21
荒谷 大輔
(著)
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ネオ・リベラリズムがもたらす現代の苦悩……本当に「この社会しかありえない」のだろうか?
「右/左」に替え、「ロック/ルソー」の対立軸で歴史を読み解けば、この社会の構造がよくわかる。
気鋭の「哲学者」が大胆に描く、歴史の隠された法則と「新しい社会」への道標。
* * *
[目次]
序 社会って、こういうもの?――ゼロから社会を見直すこと
第一章 この社会はどんな社会なのか――「右/左」の対立の本質
第二章 いまはどんな時代なのか――「ロック/ルソー」で辿る近現代史
第三章 いま社会で何が起きているのか――ネオ・リベラリズムの「必然性」
第四章 資本主義社会の「マトリックス」を超えて
あとがき
「右/左」に替え、「ロック/ルソー」の対立軸で歴史を読み解けば、この社会の構造がよくわかる。
気鋭の「哲学者」が大胆に描く、歴史の隠された法則と「新しい社会」への道標。
* * *
[目次]
序 社会って、こういうもの?――ゼロから社会を見直すこと
第一章 この社会はどんな社会なのか――「右/左」の対立の本質
第二章 いまはどんな時代なのか――「ロック/ルソー」で辿る近現代史
第三章 いま社会で何が起きているのか――ネオ・リベラリズムの「必然性」
第四章 資本主義社会の「マトリックス」を超えて
あとがき
- 本の長さ280ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2019/8/21
- 寸法10.6 x 1.3 x 17.4 cm
- ISBN-104065170168
- ISBN-13978-4065170168
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商品の説明
著者について
荒谷 大輔
1974年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、江戸川大学基礎・教養教育センター教授・センター長。専門は、哲学・倫理学。
著書に、『ラカンの哲学:哲学の実践としての精神分析』(講談社選書メチエ)、『「経済」の哲学:ナルシスの危機を越えて』(せりか書房)、『西田幾多郎:歴史の論理学』(講談社)、『ラカン『精神分析の四基本概念』解説』(共著、せりか書房)、『ドゥルーズ/ガタリの現在』(共著、平凡社)。
1974年生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、江戸川大学基礎・教養教育センター教授・センター長。専門は、哲学・倫理学。
著書に、『ラカンの哲学:哲学の実践としての精神分析』(講談社選書メチエ)、『「経済」の哲学:ナルシスの危機を越えて』(せりか書房)、『西田幾多郎:歴史の論理学』(講談社)、『ラカン『精神分析の四基本概念』解説』(共著、せりか書房)、『ドゥルーズ/ガタリの現在』(共著、平凡社)。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2019/8/21)
- 発売日 : 2019/8/21
- 言語 : 日本語
- 新書 : 280ページ
- ISBN-10 : 4065170168
- ISBN-13 : 978-4065170168
- 寸法 : 10.6 x 1.3 x 17.4 cm
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- - 413位近代西洋哲学
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2021年7月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
資本主義が絶対的なヘゲモニーとなった今日の社会においてもはや資本主義を批判する人は存在しないのでしょうか。いえ、著者がいう「既存の価値観から離れてゼロから社会を見直す「哲学者」」がいます。
特にグローバル資本主義の脆弱性が暴露されたリーマン・ショックあるいは人間の無限の欲望に対して地球が先に限界を迎えたことによって引き起こされた気候危機や新型コロナウイルスの大流行によって資本主義システムに批判的な人々は、哲学者のみならず市井の人々にも増えてきました。
本書は、左と右の対立はそれぞれロックとルソーの思想的対立から出発していたとし、その思想的対立を歴史的に分析していくことが現在社会を覆う資本主義からゲームチェンジできるのかという検討を行っています。
全体的に資本主義そのものに対する分析と批判が弱い気がしていますが、新宗教のようなマトリックスの外の救済の提示に頼ることなく(結局は神秘体験している時間しか外に出る感覚を獲得できない)、いかに資本主義のマトリックスを超克していくかを、近代から現代に渡る18世紀から21世紀にかけて、ロックとルソーの対立が歴史の基軸になっているかを踏まえながら思索を深めていく契機となりました。
特にグローバル資本主義の脆弱性が暴露されたリーマン・ショックあるいは人間の無限の欲望に対して地球が先に限界を迎えたことによって引き起こされた気候危機や新型コロナウイルスの大流行によって資本主義システムに批判的な人々は、哲学者のみならず市井の人々にも増えてきました。
本書は、左と右の対立はそれぞれロックとルソーの思想的対立から出発していたとし、その思想的対立を歴史的に分析していくことが現在社会を覆う資本主義からゲームチェンジできるのかという検討を行っています。
全体的に資本主義そのものに対する分析と批判が弱い気がしていますが、新宗教のようなマトリックスの外の救済の提示に頼ることなく(結局は神秘体験している時間しか外に出る感覚を獲得できない)、いかに資本主義のマトリックスを超克していくかを、近代から現代に渡る18世紀から21世紀にかけて、ロックとルソーの対立が歴史の基軸になっているかを踏まえながら思索を深めていく契機となりました。
2019年12月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
良い本でした。
1人の人間が許容できる多様性の限界点を無いものとして理論を構築することは不可能かと経験的に思われます🤔
先生はかような経験はございませんか?
1人の人間が許容できる多様性の限界点を無いものとして理論を構築することは不可能かと経験的に思われます🤔
先生はかような経験はございませんか?
2021年7月28日に日本でレビュー済み
☆新たな右/左の図式から今日の社会を見通そうとする意欲的な内容。
○今日では部分的な所に焦点をあて拡大した内容のものが多い。そのような風潮に反して本書は、右/左という大きな図式を用いて社会を見通そうとする非常に意欲的な作であり刺激的で面白い。
◎本書で印象的なのは
①右=ロック/左=ルソーの図式で社会を分析していること
②戦後の民主主義は本来共存不可の右=ロックと左=ルソーが同居しているということ
③その本来共存不可の2つは経済的な豊かさに支えられていたが、今日の社会では限界がきている
以上の3点がより印象的であった。以下で述べてゆく。
①ロック=右/ルソー=左の図式
○本書の醍醐味は従来あるような右/左の図式でなく、「ロック=右/ルソー=左」という図式を用いて分析をしていることである。これが非常に面白い。
端的に言えば、歴史的にロックの自由放任的な競争主義が基本的機能として社会で運用されてきた。それは合理的ではあるのだが、どうしてもそこから零れ落ちる人や不幸せになる人が生まれる。そこからそのような人らを掬い上げる、ある種の理想を掲げたルソーの思想に基づく動きが対抗する形ででてきていることが本書では明らかになっている。
○図式自体を単純化していえば、ロック=右の従来の社会のシステムに対抗する形で理想主義的なルソー=左がでてきているのである。
○では、ロック的な社会とは、またロックとルソーの思想とはどれ程違うのか。それは本書で明らかにされてるように「平等」と「自由」の考え方を見るだけでもよく分かる。
○まず、ロックのいう「平等」とは機会の平等である。人間はそれ程大差がないという認識に基づき、機会は平等であるべきだが、その結果についての平等性は求めない。
他方でルソーのいう「平等」は結果の平等もある程度調整される必要があるという結果の平等も求めている。
○また自由についてはどうか。ロックのいう「自由」とは自由放任である。外からの介入を少なくすべきという今日の私たちにも想像がしやすい自由である。
他方でルソーのいう「自由」は共同体の法を忠実に守ることこそが自由であるという。つまり外からの介入を良しとする自由である。これらを言い換えればロックを小さな政府、ルソーを大きな政府ということができる。
○以上のような2つをとってもロックとルソーが大きくことなる思想、かつ相入れないものであることが分かる。
○なるほど。ここまで聞けば、ルソーの思想の方が福祉的であり人に優しく理想的であるように思われる。しかし、ルソー的な理想は一般意志の強制を各人に求める。裏から言えば、それに従えない人を排除する論理へと傾くことが分かる。
○そのような社会を本書で明らかにしている。それはマルクス主義に基づくソ連のような社会である。
本来のマルクス主義もロック的な社会での労働者の貧困という不平等からでてきた。そういった意味ではロック=右の社会に対抗する、理想的なルソー=左としてマルクス主義の社会が本書の図式で当てはまることが分かる。
○しかし、それはマルクス主義的なものだけではない。この図式から見れば、ファシズムも左であることが分かる。
ファシズムやナチズムと聞けば、今日の我々には右のようなものに感じられる。しかし、ナチズムが国会社会主義の略であることから分かるように当時の国内の経済的不況や貧困などから、従来の社会に対抗する理想を掲げてでてきたのがナチズムなのである。そうした意味ではナチズムやファシズムは左という図式に当てはまることがわかる。
○以上、みてきたように単にルソー的な社会というのもかなりの危険性があることも本書では明らかにされている。
②戦後民主主義の右と左の同居
○先に見たようにロック=右とルソー=左の思想は大きく異なる。そしてそれは本来は相入れない思想である。が、戦後の民主主義は競争的な資本主義=右と、福祉的な=左が同居している。つまり、相入れない思想が同居している。これはなぜか。端的に言えば、金になるからだという事が本書を通じて分かる。
○なぜ金になるか。それは労働者の福祉的な充実が、消費者としての労働者を創出するからである。それが資本主義の社会において金になったのである。
③戦後民主主義の限界
○だが、本質的には相入れない思想であることは変わりはない。それは経済的な豊かさのみに支えられている非常に不安定なものである。そして、それは今日ではかなり限界にきていることが本書を読めば理解できる。
☆以上、総じて非常に素晴らしい内容であった。唯一の不満点を述べれば、そのような社会において我々はどうしていくべきか、について上手い処方箋をだせていないように感じることである。
●著者は処方箋として、新たな思考の枠組みを作るべきだという。今日の社会の前提を外し、ゼロ地点に立つ。その上で、自分で納得のいく思考の枠組みを得る「自由」と、多様な言説と背景を同等に扱う「平等」を最低限のルールとし、新たな思考の枠組みを作ることが必要だという。
○このことに関しては理想的ではあるが、同意はできない。今日の社会ではとても実現が可能だとも思えないからである。
☆著者の言うような社会の根底に疑問を感じ、自らが思考していくのは哲学的で良いとも思うが、少々最後の結論で抽象的で少し肩透かしを食らった感じがして残念ではあった。しかし内容自体は総じて素晴らしいものである。是非御一読を勧める。
○今日では部分的な所に焦点をあて拡大した内容のものが多い。そのような風潮に反して本書は、右/左という大きな図式を用いて社会を見通そうとする非常に意欲的な作であり刺激的で面白い。
◎本書で印象的なのは
①右=ロック/左=ルソーの図式で社会を分析していること
②戦後の民主主義は本来共存不可の右=ロックと左=ルソーが同居しているということ
③その本来共存不可の2つは経済的な豊かさに支えられていたが、今日の社会では限界がきている
以上の3点がより印象的であった。以下で述べてゆく。
①ロック=右/ルソー=左の図式
○本書の醍醐味は従来あるような右/左の図式でなく、「ロック=右/ルソー=左」という図式を用いて分析をしていることである。これが非常に面白い。
端的に言えば、歴史的にロックの自由放任的な競争主義が基本的機能として社会で運用されてきた。それは合理的ではあるのだが、どうしてもそこから零れ落ちる人や不幸せになる人が生まれる。そこからそのような人らを掬い上げる、ある種の理想を掲げたルソーの思想に基づく動きが対抗する形ででてきていることが本書では明らかになっている。
○図式自体を単純化していえば、ロック=右の従来の社会のシステムに対抗する形で理想主義的なルソー=左がでてきているのである。
○では、ロック的な社会とは、またロックとルソーの思想とはどれ程違うのか。それは本書で明らかにされてるように「平等」と「自由」の考え方を見るだけでもよく分かる。
○まず、ロックのいう「平等」とは機会の平等である。人間はそれ程大差がないという認識に基づき、機会は平等であるべきだが、その結果についての平等性は求めない。
他方でルソーのいう「平等」は結果の平等もある程度調整される必要があるという結果の平等も求めている。
○また自由についてはどうか。ロックのいう「自由」とは自由放任である。外からの介入を少なくすべきという今日の私たちにも想像がしやすい自由である。
他方でルソーのいう「自由」は共同体の法を忠実に守ることこそが自由であるという。つまり外からの介入を良しとする自由である。これらを言い換えればロックを小さな政府、ルソーを大きな政府ということができる。
○以上のような2つをとってもロックとルソーが大きくことなる思想、かつ相入れないものであることが分かる。
○なるほど。ここまで聞けば、ルソーの思想の方が福祉的であり人に優しく理想的であるように思われる。しかし、ルソー的な理想は一般意志の強制を各人に求める。裏から言えば、それに従えない人を排除する論理へと傾くことが分かる。
○そのような社会を本書で明らかにしている。それはマルクス主義に基づくソ連のような社会である。
本来のマルクス主義もロック的な社会での労働者の貧困という不平等からでてきた。そういった意味ではロック=右の社会に対抗する、理想的なルソー=左としてマルクス主義の社会が本書の図式で当てはまることが分かる。
○しかし、それはマルクス主義的なものだけではない。この図式から見れば、ファシズムも左であることが分かる。
ファシズムやナチズムと聞けば、今日の我々には右のようなものに感じられる。しかし、ナチズムが国会社会主義の略であることから分かるように当時の国内の経済的不況や貧困などから、従来の社会に対抗する理想を掲げてでてきたのがナチズムなのである。そうした意味ではナチズムやファシズムは左という図式に当てはまることがわかる。
○以上、みてきたように単にルソー的な社会というのもかなりの危険性があることも本書では明らかにされている。
②戦後民主主義の右と左の同居
○先に見たようにロック=右とルソー=左の思想は大きく異なる。そしてそれは本来は相入れない思想である。が、戦後の民主主義は競争的な資本主義=右と、福祉的な=左が同居している。つまり、相入れない思想が同居している。これはなぜか。端的に言えば、金になるからだという事が本書を通じて分かる。
○なぜ金になるか。それは労働者の福祉的な充実が、消費者としての労働者を創出するからである。それが資本主義の社会において金になったのである。
③戦後民主主義の限界
○だが、本質的には相入れない思想であることは変わりはない。それは経済的な豊かさのみに支えられている非常に不安定なものである。そして、それは今日ではかなり限界にきていることが本書を読めば理解できる。
☆以上、総じて非常に素晴らしい内容であった。唯一の不満点を述べれば、そのような社会において我々はどうしていくべきか、について上手い処方箋をだせていないように感じることである。
●著者は処方箋として、新たな思考の枠組みを作るべきだという。今日の社会の前提を外し、ゼロ地点に立つ。その上で、自分で納得のいく思考の枠組みを得る「自由」と、多様な言説と背景を同等に扱う「平等」を最低限のルールとし、新たな思考の枠組みを作ることが必要だという。
○このことに関しては理想的ではあるが、同意はできない。今日の社会ではとても実現が可能だとも思えないからである。
☆著者の言うような社会の根底に疑問を感じ、自らが思考していくのは哲学的で良いとも思うが、少々最後の結論で抽象的で少し肩透かしを食らった感じがして残念ではあった。しかし内容自体は総じて素晴らしいものである。是非御一読を勧める。
2022年6月1日に日本でレビュー済み
大胆な仮説というか、ビッグピクチャーを描ける構想力に感心しました。
2019年12月14日に日本でレビュー済み
近現代の政治思想史、経済思想史をロック、ルソーの二つの「社会契約論」を用いて、左右、保守、リベラル、ネオコン、ネオリベなど混迷する、現代の政治思想、哲学をスッキリ整理わかりやすく説明。
また、資本主義のエンジンである成長を持続する為、本来の「お金」仕組みを逆転させた金融資本主義のカラクリ暴き、資本主義を中心とする現代の政治経済システムの継続性に疑問を呈す。
そして、二つの対立する「社会契約論」を現代の神話として、ポスト資本主義、近代の超克するには、この神話を壊して新たに神話をうち建てる事が必要と述べる。筆者は、神話の外つまり「マトリックス」の外に出て覚醒するには、デカルトの「我思う、故に我あり」から導き出される「自己意識」による「私」から考え直さなければならないとする。
目から鱗が落ちるような、本書の後半部分のポスト資本主義を巡る展開は、秀逸です。
また、資本主義のエンジンである成長を持続する為、本来の「お金」仕組みを逆転させた金融資本主義のカラクリ暴き、資本主義を中心とする現代の政治経済システムの継続性に疑問を呈す。
そして、二つの対立する「社会契約論」を現代の神話として、ポスト資本主義、近代の超克するには、この神話を壊して新たに神話をうち建てる事が必要と述べる。筆者は、神話の外つまり「マトリックス」の外に出て覚醒するには、デカルトの「我思う、故に我あり」から導き出される「自己意識」による「私」から考え直さなければならないとする。
目から鱗が落ちるような、本書の後半部分のポスト資本主義を巡る展開は、秀逸です。
2019年11月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容自体は分かりやすく、良いです。タイトル通り、見出しを挙げて説明(字数)を減らして結論を最初に持ってきたらもっと良かったと思います。今は絶版になった実務教育出版(?)から出ていた「社会学の要点」のような本を期待していました。しかし大学の一斉講義口調であるため、まだるっこしく感じます。内容は良いので、経済ジャーナリストの荻原博子氏のような内容構成だったらもっと分かりやすくて良かったと思います。
2020年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ロックとルソーの2軸で捉えた近現代までの解説は悪くないしこの分野の理解をこれから深めようと思っている素人にも理解できる。
ただ、最終結論、資本主義の次、出口は?という問いに対しては何も答えていない。「ゼロベースで考えて作り上げていきましょう」「ゼロベースで作り上げるべきなので具体的な枠組みは示しません」って、それ詐欺かと思いました。そんなの今の私でも言えます。専門性を高めて研究をし続けた結果の回答がそれか?と失望感と虚無感を覚えた。
もし仕事で同じよう構成の提案をしたら、間違いなく無能認定です。久しぶりに本を読んでツッコミの言葉をあげたよ。。。
ただ、最終結論、資本主義の次、出口は?という問いに対しては何も答えていない。「ゼロベースで考えて作り上げていきましょう」「ゼロベースで作り上げるべきなので具体的な枠組みは示しません」って、それ詐欺かと思いました。そんなの今の私でも言えます。専門性を高めて研究をし続けた結果の回答がそれか?と失望感と虚無感を覚えた。
もし仕事で同じよう構成の提案をしたら、間違いなく無能認定です。久しぶりに本を読んでツッコミの言葉をあげたよ。。。