わたしたちはみんな死を下着に着ていた。
わたしの馬は、わたしたち両方が受けた銃弾の夢を見ているんだ。
世界がぜったいあたしを見ない場所をどう見つけるか、あたし知ってるのよ。あたし、影のなかもあるけるし、光のなかもあるけるのよ。
うちの亭主が「希望を虐殺のエサにしに」とか言って出ていったときにフィドル置いていったのよ
この男が怖いのは銃弾ではないからだ。怖いのは太陽であり、大地であり、空気であり、それ全部であり、空だからだ。
なんだか彫像みたいだ。あらゆる時代を貫く、痛みの像。
(それぞれ、本文から抜粋)
レアード・ハント(Laird Hunt) 著 柴田元幸 訳『ネバーホーム』(Never Home)は、南北戦争に従軍した女性兵士の物語です。過去や幻が交錯し、正気と狂気の区別もあいまいになる。野蛮な描写のなかに哀しいくらいロマンチックな風景が重なる。物語とはこういうものだと思います。わけがわからないけれど夢中になって読んでしまう。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
ネバーホーム 単行本 – 2017/12/7
レアード・ハント
(著)
南北戦争がはじまって、インディアナの農場で暮らしていたコンスタンスは
夫のバーソロミューに代わって、北軍への入隊を決意する。
名前をアッシュとかえて、男性の格好をして。
女性にやさしい「伊達男アッシュ」とも呼ばれ、勇敢に戦い続ける。
女であることがばれないかとおびえながら、野営地ですごし戦闘と行軍をくりかえす。
夫と手紙のやりとりをし、亡くなった母と語り合う。
従軍した彼女は何がこわかったのか?
戦争は彼女をどのように変えたのか?
故郷にもどった彼女を待ちうけていたものは?
訥々とした女語りの雄弁さ、死と痛みに浸された世界、
色彩たっぷりの自然描写、静かで容赦ない声。
ポール・オースターが絶賛した長篇を柴田元幸の見事な訳でおくる。
○ポール・オースターの推薦のことば
簡素で美しい小説である。アメリカについて、アメリカの言葉について実に深く語っていて、一文一文が大地そのものから立ちのぼってくるように感じられる。最初の一語から最後の一語まで、私はずっとレアード・ハントの魔法にかけられていた。見事と言うほかない。
○訳者あとがきより
この本でハントが何より力を注いでいるのは、男性兵士としてふるまう女性コンスタンス・トムソンに独自の声を与えること、その声に命を吹き込むことである。素朴で、文法的にも怪しく、だが時たまハッとするような比喩やイメージが忍び込む、それでいて自分の雄弁を意識している気配はみじんもない語り。前作『優しい鬼』でも、あるいは第二作『インディアナ、インディアナ』の一部でも女性の声を見事に立ち上がらせたハントならではの力強さと叙情が、本書にも一貫して、おそらくは前二作以上にみなぎっている。
夫のバーソロミューに代わって、北軍への入隊を決意する。
名前をアッシュとかえて、男性の格好をして。
女性にやさしい「伊達男アッシュ」とも呼ばれ、勇敢に戦い続ける。
女であることがばれないかとおびえながら、野営地ですごし戦闘と行軍をくりかえす。
夫と手紙のやりとりをし、亡くなった母と語り合う。
従軍した彼女は何がこわかったのか?
戦争は彼女をどのように変えたのか?
故郷にもどった彼女を待ちうけていたものは?
訥々とした女語りの雄弁さ、死と痛みに浸された世界、
色彩たっぷりの自然描写、静かで容赦ない声。
ポール・オースターが絶賛した長篇を柴田元幸の見事な訳でおくる。
○ポール・オースターの推薦のことば
簡素で美しい小説である。アメリカについて、アメリカの言葉について実に深く語っていて、一文一文が大地そのものから立ちのぼってくるように感じられる。最初の一語から最後の一語まで、私はずっとレアード・ハントの魔法にかけられていた。見事と言うほかない。
○訳者あとがきより
この本でハントが何より力を注いでいるのは、男性兵士としてふるまう女性コンスタンス・トムソンに独自の声を与えること、その声に命を吹き込むことである。素朴で、文法的にも怪しく、だが時たまハッとするような比喩やイメージが忍び込む、それでいて自分の雄弁を意識している気配はみじんもない語り。前作『優しい鬼』でも、あるいは第二作『インディアナ、インディアナ』の一部でも女性の声を見事に立ち上がらせたハントならではの力強さと叙情が、本書にも一貫して、おそらくは前二作以上にみなぎっている。
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2017/12/7
- 寸法18.8 x 13 x 1.9 cm
- ISBN-104022515090
- ISBN-13978-4022515094
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2017/12/7)
- 発売日 : 2017/12/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4022515090
- ISBN-13 : 978-4022515094
- 寸法 : 18.8 x 13 x 1.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 731,586位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 246位その他の外国文学作品
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2018年10月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
数ページで断念しました。せっかくヤフー知恵袋ですすめてもらった作家さんですが
、取り扱っているアメリカの南北戦争には興味があるのに、全く時代性、地域(南部という)性を感じないまるで現代の話のような文体です。柴田元幸の翻訳では、私には胃から戻しそうなくらい合わないとわかりました。
、取り扱っているアメリカの南北戦争には興味があるのに、全く時代性、地域(南部という)性を感じないまるで現代の話のような文体です。柴田元幸の翻訳では、私には胃から戻しそうなくらい合わないとわかりました。
2018年2月28日に日本でレビュー済み
主人公の独り言の様な語りで物語は展開する。
南北戦争を背景に男装した北軍従軍兵士の血なまぐさい冒険譚。しかし、まるでファンタジーのように感じられる。
今となっては失われてしまった命のように大切な何か。かあさん。ハズバンド。愛。持っていたはずの自由。家(ホーム)。
大切なものを守りたいが故に戦いに出た者たちが、身体を、魂を、家族を、自分自身を失ってしまう情景が声を潜めて淡々と綴られてゆく。
主人公のあたまにリフレインするかあさんの言葉に読み手のわたしもハッとした。
わたしもこわがる心にみつかったひとりだったのだ。
何度も読み返したくなる不思議な読後感である。
南北戦争を背景に男装した北軍従軍兵士の血なまぐさい冒険譚。しかし、まるでファンタジーのように感じられる。
今となっては失われてしまった命のように大切な何か。かあさん。ハズバンド。愛。持っていたはずの自由。家(ホーム)。
大切なものを守りたいが故に戦いに出た者たちが、身体を、魂を、家族を、自分自身を失ってしまう情景が声を潜めて淡々と綴られてゆく。
主人公のあたまにリフレインするかあさんの言葉に読み手のわたしもハッとした。
わたしもこわがる心にみつかったひとりだったのだ。
何度も読み返したくなる不思議な読後感である。
2018年5月5日に日本でレビュー済み
舞台は南北戦争時。戦争に行けない夫に代わり、戦争に行く妻。
ここから始まる本書のお話は、雄々しい期待にも、奇妙な予感が付き纏うものです。大義に覆われ進んで行く事態の中、戦う日々に引き摺られるように起きる出来事に、出来事。最後まで読まないと分からない事実。歴史にあるような結末が当然にそこにあるのでなく、ただただ主人公が迎えるのは、どこまでも一人称な終わりであって、個人のもの。このお話は、戦争だけを語ってはいません。
語り口がきちんとしていない印象のうちに、見える描写が砂混じりに色褪せ、ぎこちなくカタコトしながらされる会話にも、ちくちくとして感じるものが必ず残っていくその結末は、主人公が待ちわびるものなのだろうと思う、拠り所に響いている色々な悲しさ、そして終われない心残りでしかないように思えます。行進、という言葉に導かれる延々と続く地面を含む、人事に関わりなくあり続ける自然に対し行われる詩的な表現も、人の間に在り続け、わたし、の言葉は読む人に問うものです。人として出来ることは、人としてしか行えない。「あなたはどうだろう」と、わたしに問われるまま、この本をお勧めします。
是非、一読してみて下さい。
ここから始まる本書のお話は、雄々しい期待にも、奇妙な予感が付き纏うものです。大義に覆われ進んで行く事態の中、戦う日々に引き摺られるように起きる出来事に、出来事。最後まで読まないと分からない事実。歴史にあるような結末が当然にそこにあるのでなく、ただただ主人公が迎えるのは、どこまでも一人称な終わりであって、個人のもの。このお話は、戦争だけを語ってはいません。
語り口がきちんとしていない印象のうちに、見える描写が砂混じりに色褪せ、ぎこちなくカタコトしながらされる会話にも、ちくちくとして感じるものが必ず残っていくその結末は、主人公が待ちわびるものなのだろうと思う、拠り所に響いている色々な悲しさ、そして終われない心残りでしかないように思えます。行進、という言葉に導かれる延々と続く地面を含む、人事に関わりなくあり続ける自然に対し行われる詩的な表現も、人の間に在り続け、わたし、の言葉は読む人に問うものです。人として出来ることは、人としてしか行えない。「あなたはどうだろう」と、わたしに問われるまま、この本をお勧めします。
是非、一読してみて下さい。