20歳の時に「不確実性の時代」を読みました。
「これからは不確実な時代になるんだ」とタイトルのまま思ったのを覚えています。
アメリカの政治経済の変遷、思想の社会的背景、そしてガルブレイスの人となり、
から書き始めたこの本を事前に読んでいれば、「不確実性の時代」の理解が違っていたかもしれません。
思うに、「理論」とは誰でも知っている当たり前の事をどうやって証明するか、
という事のように思います。
伊東先生3部作のうち2つ「ケインズ」(一般理論)、「シュンペーター」(景気循環論)も
・お金たくさん刷ったら物価は上がるけど給料も上がる
・景気はいくら良くてもどっかで悪くなる、でもいつだか、誰もわからない。
を証明するための膨大な英知を費やした書物だと思います。
信長、秀吉、三成、家康あたりは一般理論も景気循環論も感覚でわかっていたのではないかと思います。
*日本統一で刀・槍・鉄砲、さらに侍などの軍需産業はニーズがなくなる
->海外に攻め込んで軍需産業を維持・拡大する
or
->一気に産業構造を土木型に変えて大都市(江戸)をつくる
の帰結が「関ケ原」だったのではないでしょうか。
アインシュタインの、世界で一番有名な方程式「E=MC^2」は火打石使ってる人は誰でも知っていたのではないでしょうか。
原始には火をおこすのに「木」をこすり合わせてました。
「木」より重いもの(質量のあるもの)、火打石、をこすり合わせると火が起きやすい、
というのは数百年前のひとでも知っていたはずです。
とてつもなく重い石(ウランとかプルトニウム)をこすれば莫大なエネルギーが発生する、だろう
というのをアインシュタインが証明したのが、ケインズ、シュンペーターと同じ1920,30年代だったと思います。
偉大なのは、理論を実践した人ではないか、と僕は思っています。
アインシュタインの理論に則り原爆を作ったオッペンハイマーは、
世界で一番重い石のある場所を突きとめ多くの反対を押し切り試作品を作り製品化しています。
*ちなみに日本Wikipediaではアインシュタインは物理学者、オッペンハイマーは実業家です。
この本をよんで、ガルブレイスにオッペンハイマーが僕の中でかぶりました。
「ケインズ」と「シュンペーター」の理論を元に、公共の概念、通念にとらわれずに現実を徹底的に分析すること、
を言いたかったのではないでしょうか。
また、この本は、「不確実性の時代」以降の社会の変化を経済学の歴史書として読むといいかもしれません。
第5章「現代資本主義の提起」ではレーガン、サッチャーの税政、福祉政策。
第6章「成熟した巨大企業体制の解剖」で株主総会も矛盾点と巨額報酬。
第7章「公共国家のすすめ」ではガルブレイス3部作最後の「経済学と公共目的」
->ソ連崩壊から、公共国家あるいは「新しい社会主義」。
と一連の流れはこの4,50年の世界の変化として読んでも十分勉強になります。
補章「大恐慌」
終章「新しい産業国家」から「新しい金融国家へ」
の描写も良く調べておられますね。1929/10/24も「普通の日だった」(ガルブレイス)
この終わりに2章は、次の時代への含み・暗示を書いたもののように思います。
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ガルブレイス――アメリカ資本主義との格闘 (岩波新書) 新書 – 2016/3/19
伊東 光晴
(著)
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二〇世紀アメリカを代表する「経済学の巨人」は何と闘い続けたのか? アメリカ思想の二極対立をえぐり、経済学研究の水準を社会思想史研究の水準に高めてきた著者が、病をおして筆を進めた渾身の作。ケインズによってイギリス論を、シュンペーターをかりてドイツ社会を論じてきた社会経済思想史研究三部作の完結編!
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2016/3/19
- 寸法10.7 x 1.1 x 17.3 cm
- ISBN-10400431593X
- ISBN-13978-4004315933
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商品の説明
著者について
伊東光晴 (いとうみつはる)
1927年東京都生まれ
1951年東京商科大学(現一橋大学)卒業
専攻─理論経済学,経済政策
現在─京都大学名誉教授
著書─『ケインズ』『現代に生きるケインズ』(岩波新書),『コンメンタール ケインズ一般理論』(共著,日本評論社),『シュンペーター』(共著,岩波新書),『伊東光晴 経済学を問う』(全3巻,岩波書店),『経済学は現実にこたえうるか』『アベノミクス批判 四本の矢を折る』(岩波書店)ほか
1927年東京都生まれ
1951年東京商科大学(現一橋大学)卒業
専攻─理論経済学,経済政策
現在─京都大学名誉教授
著書─『ケインズ』『現代に生きるケインズ』(岩波新書),『コンメンタール ケインズ一般理論』(共著,日本評論社),『シュンペーター』(共著,岩波新書),『伊東光晴 経済学を問う』(全3巻,岩波書店),『経済学は現実にこたえうるか』『アベノミクス批判 四本の矢を折る』(岩波書店)ほか
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2016/3/19)
- 発売日 : 2016/3/19
- 言語 : 日本語
- 新書 : 256ページ
- ISBN-10 : 400431593X
- ISBN-13 : 978-4004315933
- 寸法 : 10.7 x 1.1 x 17.3 cm
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- - 416位経済思想・経済学説 (本)
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- - 1,687位岩波新書
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2016年5月3日に日本でレビュー済み
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2016年7月28日に日本でレビュー済み
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ガルブレイスは、既存の経済学者の知的枠組み(通念)に挑戦した経済思想家である。「アメリカの資本主義」(1952)では、市場を律するのは「競争」であるとする通念に挑戦し、「ゆたかな社会」(1958)では、「消費者主権」という通念に挑戦し、「新しい産業国家」(1967)では、「企業における権力の所在」についての通念に挑戦し、「経済学と公共目的」(1973)はあるべき国家観の通念に対する挑戦であった。このガルブレイスの通念への挑戦は、いずれも現実を調べ、新しい事実の発見に支えられている。(以上本書より)
ガルブレイスはアメリカ現代資本主義の特質を上記の手法によって明らかにした直感力に優れた時代を代表する社会科学者のひとりであったことが説得ある口調で記述された著者晩年の傑作である。
ガルブレイスはアメリカ現代資本主義の特質を上記の手法によって明らかにした直感力に優れた時代を代表する社会科学者のひとりであったことが説得ある口調で記述された著者晩年の傑作である。
2016年6月14日に日本でレビュー済み
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時代の示す課題と真っ向から切り結んだ、ガルブレイスの経済学の要点が、分かり易く、伊東光晴によって解説されている。
ガルブレイスの業績を通覧するには、最適の一冊!
ガルブレイスの業績を通覧するには、最適の一冊!
2016年5月2日に日本でレビュー済み
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内容については、他の方々のレビューにおまかせするとして、はしがきの、「ガルブレイスの通念への挑戦は、いずれも現実を調べ、新しい事実の発見に支えられている。ファクト・ファインディングは理論の発展ともに、経済学(も含む社会研究 評者追記)を豊かにしてきた双輪であった。」終章の「経済学を、現実との格闘の場に引き戻し、・・中略・・行動様式と市場について「実証的解明」をした、・・個人の合理的行動の上に演繹的理論をつくりあげていく、既存のミクロ理論の否定である。これによって、プラグマティズムにもとづく有意な政策を示すことで、適者生存の社会ダーウィニズムのイデオロギーを葬ることでもある。」という満干の思いが託されている二つのフレーズにに社会研究に携わる者への著者からのメッセージと受け取った。ケインズ、シュンペーターそして、ガルブレイス論がリーダブルな形で完結したことを門外漢の読者として、著者の著作を経済学の思考様式を学ぶときのよりどころにしてきた者として、喜びたい。
2016年3月31日に日本でレビュー済み
20世紀のほとんどを生きた経済学者ガルブレイスの思想を、アメリカ社会の思想的・経済的文脈に位置づけながらコンパクトに概観した本です。著者の伊東光晴さんはイギリス社会の文脈に即して『ケインズ』(岩波新書1962)、ドイツ社会に即して『シュンペーター』(岩波新書1993)を書かれており、本書もその流れと問題意識に沿ったものと言えます。ですので、ひとりの経済学者の思想を、社会や経済のような広い視点から徐々に個々の人生・個々の著作へと狭めていきながら詳しく検討していくという著述スタイルをとっています。本書の前半部でアメリカ社会とガルブレイスの半生が描かれ、後半部が著作の紹介になっています。
思うに、ガルブレイスという人間を語る上では二つの視点が重要です。一つ目は、主流の経済学や社会的通念にたいする異議申し立てとしての思想全般。二つ目は、リベラルとしての精力的な社会活動。つまり著作活動、社会活動の両論を併記しないと、ジョン・ケネス・ガルブレイスなる人間の全体像がつかめないわけです。本書は一つ目の著作活動・思想に焦点を絞って書かれています。二つ目の政治活動について知りたいのならば、評伝を読むと良いでしょう。日本語で読めるものには、1980年頃までの人生を簡潔に示した、ペギー・ラムソン『ガルブレイス その発想と人間ドラマ』(プレジデント社 1992)、邦訳が三巻にも及ぶ詳細な、リチャード・パーカー『ガルブレイス 闘う経済学者 上中下』(日経BP社 2005)があります。
本書の特色は三つあると思います。まず、ガルブレイスが知的に成熟していく頃までのアメリカ社会・アメリカ哲学・アメリカ経済学の歩みが彼の人生と共に書かれており、どのようなコンテキストにおいて生まれ出でた思想なのかが分かりやすくなっている点。もう一つは、ガルブレイスの著作を検討するにあたって、具体的な事例を適宜提示して実証性を高め、かつ読者が理解しやすいようにしている点。最後に、ミクロ経済学の理論をガルブレイスの理論と比較している点です。
ただ、本書には物足りないところはあります。ガルブレイスは政治と経済が交わるようなところで活動し、著作においても政治と経済の相互連関を分析しているのですが、本書では分量の都合のせいかそれらについて触れられていません。また、批判や反論はあまり取り上げていません。
これらの点は、先に述べた評伝や、根井雅弘『ガルブレイス』(丸善ライブラリー 1995)、中村達也『ガルブレイスを読む』(岩波現代文庫 2012)と比較するとはっきりします。根井の本は、主流の経済学を紹介しながらガルブレイスの著作を追っていきます。ガルブレイスの思想における異端性を強調しているのだと思います。中村の本は、同時代のアメリカ経済の状況も鑑みながらガルブレイスの著作を丹念に読み込み、著作ごとの思想の変遷や出版当時の反響や批判を浮き彫りにします、そして、ガルブレイスが依拠したと思われる著作や類似の主張を行う思想についても検討しており、かなり精緻な議論が行われています。
著者によるガルブレイス像は「通念へ挑戦」し、「経済的現実を直視」した経済学者である、と言えます。ガルブレイスが反発したのは主流の経済学に流れている通念です。非現実的な仮定から演繹的に理論を積み上げていくのが当たり前とされる通念を批判するために、ガルブレイスはアメリカ社会の現実を観察しみずからの直観を信じて実証的な社会評論を組み立ててきます。このような姿勢はアメリカ哲学のプラグマティズムからアメリカ独自の制度学派へと流れていく、非常にアメリカ的な思想の潮流でもありました。ガルブレイスが提示した分析や処方箋は多岐にわたります。しかしそれらに通底するのは、主流の経済学が見落としがちな視点(たとえば公共の問題など)を指摘し、リベラルな視点を失わずに処方箋を提示した、という点です。
ガルブレイスの思想は20世紀における「産業国家」アメリカとともに育まれてきたものであり、20世紀後半に「金融国家」化したアメリカには該当しないのかもしれません。しかし逆に言えば、20世紀アメリカを優れた洞察力で分析し、問題提起をしたと言えるのではないでしょうか。
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本書の特色は三つあると思います。まず、ガルブレイスが知的に成熟していく頃までのアメリカ社会・アメリカ哲学・アメリカ経済学の歩みが彼の人生と共に書かれており、どのようなコンテキストにおいて生まれ出でた思想なのかが分かりやすくなっている点。もう一つは、ガルブレイスの著作を検討するにあたって、具体的な事例を適宜提示して実証性を高め、かつ読者が理解しやすいようにしている点。最後に、ミクロ経済学の理論をガルブレイスの理論と比較している点です。
ただ、本書には物足りないところはあります。ガルブレイスは政治と経済が交わるようなところで活動し、著作においても政治と経済の相互連関を分析しているのですが、本書では分量の都合のせいかそれらについて触れられていません。また、批判や反論はあまり取り上げていません。
これらの点は、先に述べた評伝や、根井雅弘『ガルブレイス』(丸善ライブラリー 1995)、中村達也『ガルブレイスを読む』(岩波現代文庫 2012)と比較するとはっきりします。根井の本は、主流の経済学を紹介しながらガルブレイスの著作を追っていきます。ガルブレイスの思想における異端性を強調しているのだと思います。中村の本は、同時代のアメリカ経済の状況も鑑みながらガルブレイスの著作を丹念に読み込み、著作ごとの思想の変遷や出版当時の反響や批判を浮き彫りにします、そして、ガルブレイスが依拠したと思われる著作や類似の主張を行う思想についても検討しており、かなり精緻な議論が行われています。
著者によるガルブレイス像は「通念へ挑戦」し、「経済的現実を直視」した経済学者である、と言えます。ガルブレイスが反発したのは主流の経済学に流れている通念です。非現実的な仮定から演繹的に理論を積み上げていくのが当たり前とされる通念を批判するために、ガルブレイスはアメリカ社会の現実を観察しみずからの直観を信じて実証的な社会評論を組み立ててきます。このような姿勢はアメリカ哲学のプラグマティズムからアメリカ独自の制度学派へと流れていく、非常にアメリカ的な思想の潮流でもありました。ガルブレイスが提示した分析や処方箋は多岐にわたります。しかしそれらに通底するのは、主流の経済学が見落としがちな視点(たとえば公共の問題など)を指摘し、リベラルな視点を失わずに処方箋を提示した、という点です。
ガルブレイスの思想は20世紀における「産業国家」アメリカとともに育まれてきたものであり、20世紀後半に「金融国家」化したアメリカには該当しないのかもしれません。しかし逆に言えば、20世紀アメリカを優れた洞察力で分析し、問題提起をしたと言えるのではないでしょうか。