第1章 一五二七年秋、ヴェネツィア、書籍ブームの到来。カスティリオーネの『宮廷人』が印刷にかけられようとしているが、出版者はまだ決心がつかない。
第2章 碇とイルカの印刷所、アルド・マヌーツィオとその後継者たち。世代交代。校正者は誰か。
第3章 『宮廷人』の仲間たち。ローマに遊ぶヴェネツィアの文人たち。誰もが蒐集熱に取り憑かれていた。
第4章 ついに校正者は仕事にとりかかる。略奪されるローマからヴェネツィアへ。
第5章 「熾烈な競争」。盗難、横領、暴力、虚偽、詐欺。争う出版者たち。激怒する著者たち。
第6章 死者は横たわり生者はみなボローニャに赴く。教皇と皇帝の到着。遺産争奪戦。
第7章 ペンは剣よりも強し。ヴェネツィアの文士たち。
第8章 奢侈、祝祭、放縦。『ヴェネツィア婦人』。良家の子女と巷の噂。
第9章 一五四二年九月末。砕かれた野望。仮借ない共和国の審判。われらの編集者には悲劇が。そして忘却、すべてが無に沈む。おそらく。