青服のかの髪長きいさなとり陸に來る日をみな隱せよ―與謝野寛
金鈍る三日月は霜かかるらし―渡邊水巴
山を見よ山に日は照る海を見よ海に日は照るいざ唇を君―若山牧水
昔男ありけりわれ等都鳥―富安風生
わかき日は赤き胡椒の實のごとくかなしや雪にうづもれにけり―北原白秋
冬蜂の死にどころなく歩きけり―村上鬼城
いざよひの月のかたちに輪乘りしていにける馬と人を忘れず―與謝野晶子
おほつぶの寒卵おく襤縷の上―飯田蛇笏
電車とまるここは青山三丁目染屋の紺に雪降り消居り―齋藤茂吉
元旦や暗き空より風が吹く―青木月斗〔ほか〕